神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

『犬神の悪霊』

 2020年11月16日。この日はCSのチャンネルNECOで、“幻の作品”と言われた『犬神の悪霊』(伊藤俊也監督)が放映される日だ。ずっと以前から期待して待っていたので、録画はしつつも、オンタイムで観賞した。観賞後の率直な意見は、「A級な不条理劇をB級テイストで描いた」という印象だ(※以下ネタバレあり)。 

 

 大和田伸也演じる主人公のウラン技師・加納は、同僚の安井(『ワイルド7』の飛葉チャンこと小野進也!)・西岡(畑中猛重)と共に、ウラン鉱脈を探してとある寒村に訪れ、そこで全裸で川で戯れる麗子(「ロマンポルノ界の百恵ちゃん」こと泉じゅん!)とかおり(『番格ロック』の山内恵美子!)を目撃する。その後彼らは待望のウラン鉱脈を発見するが、その際、安井は犬神の祠をジープで蹴散らしてしまい、後を追ったかおりの弟・勇(加藤淳也)の飼い犬を轢き殺してしまう。そしてうろたえる安井に代わって加納がハンドルを握ったところに勇が駆けつけたため、彼は犬や祠を轢いたのが加納と思い込んでしまう。

 

 その次のシーンでいきなり加納と麗子の村での祝言のシーンが映し出されたので面を喰らった。それまで二人のプロセスが全く描かれていなかったからだ。しかし、観客(そして視聴者)の戸惑いも関係なく、二人はそのまま家族と共に、加納の就職先で披露宴を行うために、車に乗って東京へ向かう。その車を追って麗子との別れを惜しもうとする親友のかおり。しかし彼女のために停車することを許さない麗子の父・剣持剛造(鈴木瑞穂)。そこでかおりの一家が犬神に祟られていると村八分にされていることが知らされる。ところで、彼らの乗る自動車は何故か大分ナンバー。え、そうだったの? でも原作本もないのに何で? 別に伊藤監督の故郷でもないのに……? まあ個人的には大分は“第三の故郷”なんで普通に嬉しかったけどね(;^_^A

 

 東京での披露宴の最中、同僚の安井が突如発狂し、その挙句、(おそらく)新宿副都心のビルの屋上から転落死を遂げる。また西岡も、加納の眼前で野犬の群れ(といってもシェパードの群れだったが)に喰い(嚙み)殺されて命を落とす。その頃から加納の新妻・麗子も犬神が取り憑いたかのような奇行を繰り返し、医療機関にかかっても埒が明かず、やがて加納と共に大分の実家に戻るこ。そこで彼女は怪しげな祈祷師や村人たち、そして彼女の家族や加納自身による悪魔払いの儀式を受けることになる。この一連の祈祷の中で印象深いのは、何故か横たわる麗子の体に無数の握り飯をこすりつけて犬神を追い払おうとする、全く以て意味不明の行為だった。皆が真剣なだけに、何ともシュールなシーンだったが、白と赤の巫女衣装を身に纏い、太腿もあらわに横たわり、“握り飯攻撃”に身もだえる泉じゅんの姿は何とも艶めかしい。そういえば、冒頭の泉と山内恵美子が全裸で川で戯れるシーンを筆頭に、乳房が惜しげもなく露出するシーンが前半はやたら多く、あたかも本作は日活ロマンポルノや東映ポルノの系譜では?、って勘ぐってしまうぐらいのサービスぶりだったヾ(- -;)

 

 結局、祈祷も空しく、というか祈祷の激しさに堪え切れずに麗子は絶命する。失意の加納は、それでも東京に帰らず、麗子の実家に厄介になりながら、例のウラン鉱を掘削するために出来た作業場で働くことになる。だが、そこでも掘削ドリルが突如作業員を襲うという不可解な事件が起こる。

 

 麗子の妹・磨子(長谷川真砂美)は、因習の残る村や剣持家の中では数少ない加納の理解者だ。彼女はまた、世間体にとらわれず勇とも仲良しだ。彼の姉・かおりが農作業に従事している時、村のドラ息子たち(愚連隊?)が彼女の許にバイクで乗り付け、彼女を襲おうとする。彼らから逃れるために、思い余って崖から滝つぼに飛び込んだかおりは、たまたま通りかかった加納に救われ、それが縁で彼女の実家で村八分にされている垂水家にしばし厄介になることとなる(ここで多少のわだかまりを見せつつも、結局加納と打ち解ける勇の姿の「ええ、それでいいの?」って突っ込みを入れたくなったよ(;^_^A)  しかし、かおりに逃げられたことへの逆恨みから、ドラ息子たちが麗子の死は犬神の祟りと村人を焚き付け、家に糞尿を撒くなど垂水家への陰湿な嫌がらせを敢行する。更に、ウラン鉱脈採掘のため作業場で使用した硫酸が村の井戸水を汚染し、それによって村人が何人も命を落としたのを、垂水家の嫌がらせに対する仕返し(腹いせに井戸に毒を盛った云々)だと勘違いした村人たち(特にドラ息子たち)によって、主・降作(室田日出男!)の留守に垂水家は女子供も含め皆殺しの憂き目に遭う。そういえば、この垂水家は父親が前述の室田日出男、そして母親が神代辰巳版『地獄』の岸田“キョンキョン”今日子という、濃過ぎるキャスティング(そして娘が『番格ロック』!)で、通も唸らせる豪華な人選だった(;^_^A

 

 この蛮行で村への復讐を誓った降作は、犬神を憑依させようと、黒い愛犬を穴に埋めて首だけ出し、それを日本刀で一刀両断に斬り捨てる。するとその斬り取られた犬の生首が降作の首に噛みつき、それで彼は絶命。それと同時に、犬神の祟りがたまたま近くにいた磨子に憑依する。その間、剛造と妻の佐和(大島渚夫人の小山明子!)は、かつて犬神の祟りで発狂し長らく蔵に幽閉されていた息子の手によって絶命し、また一目散に逃げたドラ息子たちや村の衆も、飛んできた犬の生首によって悉く命を落としていく。犬神の呪いはそのままウラン鉱石の採掘場も襲い、硫酸流出を隠蔽しようとした加納の上司・梶山所長(川合伸旺)をはじめ作業員を皆殺しにしてしまう。

 

 その後、加納が犬神に憑依された義理の妹・磨子を、激しすぎる格闘の果てに、自らの命を引き換えに悪霊から救い出したところで、物語は一応の結末を迎える。しかしながら、ラスト、村人たちの葬列とは別の場所で荼毘に付された棺の蓋がいきなり開き、磨子の見守る中、加納の遺体がぴょんと起き上がり、そのまま溶けていく不条理すぎるシーンでエンドマークとなる。

 

 物語は『エクソシスト』であり『オーメン』であり『化け猫』であり『ポルノ』であり、中川信夫版と神代辰巳版双方の『地獄』の雰囲気もあり、時として仮面ライダー1号の初期のテイストもあり、さらにはのちに公開された『多羅尾伴内 鬼面村の惨劇』のおどろおどろしい味わいもありという、何とも欲張りな、それでいて破綻しかかりながらすんでのところで踏みとどまっている危うさもあったり、という印象を受けた映画だった。動物愛護団体から抗議を受けたという「犬の首切り」シーンは、観れは明らかにダミーで、どうも本当の犬を斬った云々は東映サイドが世間を煽ることを意図したフェイクだったようだ。

 

 それにしても、本作の同時上映が『新女囚さそり特殊房X』だったそうだから、当時の映画ファンはこの二本立てでいかがわしい映画を十分堪能できたんだろう。嗚呼、なんて羨ましい話だ(;^_^A こんな“観てはならない”ような二本立てが堂々一般の映画館で上映されていた、当時の東映というか70年代の邦画界の邪なパワーには今更ながら圧倒される!(;^_^A  あと10年早く生まれたかったよ(;^_^A

 

 ところで、本作で磨子役を務め、序盤の“純朴”を絵にかいたようなキャラクターから、犬神の憑依によって一転“化け猫”さながらに変幻自在に動き回り、加納を翻弄するという素晴らしい演技を魅せてくれた長谷川真砂美は、本作が映画デビューだったんだそうだけど、僅か4本しかない彼女の映画出演作がこの『犬神の悪霊』を筆頭に、『多羅尾伴内 鬼面村の惨劇』(山口和彦監督)、『愛の亡霊』(大島渚監督)、そして『ねらわれた学園』(大林宣彦監督)ってのが凄い! 特に1~3作目までの“濃さ”っていったら……!!(;^_^A

“お目覚め”フィギュア

  かつて、拙作『女子高生戦士☆英あいり』で初のシネコン上映が実現したイオンシネマ広島を有する、「広島段原ショッピングセンター」(元広島サティ)。ここが現在の形にリニューアルする際、それまであったホビーショップが撤退することとなり、在庫一掃性分を行ったことがあった。かれこれ10年位前の話だ。

 

 その際、店頭にあったフィギュアも処分することになったようで、500円で販売された袋に詰め放題、という大盤振る舞いが実施された。そこで勇んでその袋詰めに参加したわけだが、当初は一枚の袋に気に入った物を入れるだけで十分だと思っていたのに、いつの間にか競うように、それも高額の者ばかりを狙って、家内と一緒に詰め込みまくった。別に転売する気はさらさらないのに……(;^_^A

 

 それで分かったのは、圧倒的に元値が高いのは、女性のフィギュアだったってこと。しかしながらいくら値が張るからといってその手のものを集めるのは忍びなく、そっちの方は家内に任せて、専ら東宝大映谷東ピープロといったブランドのヒーロー・怪人。怪獣を片っ端から袋に詰めた。結局二人合わせて小ぶりな段ボール一杯分のミニチュアフィギュアを手に入れることが出来た。表示されている元の額面通りならば数万円単位のものが手に入った計算になる(;^_^A

 

 同じ特撮ヒロインでも、モモレンジャー(「秘密戦隊ゴレンジャー」)は1,000円なのに、ユリアン(「ウルトラマン80」)は3分の1以下の300円。これもシビアな市場論理なのでしょうか……ヾ(- -;)ヾ(- -;)

 

 

 そうやって買い集めたのはいいんだけれど、過去に集めたフィギュア同様、ずっと段ボール箱の“肥し”と化していた。それが最近になって、散らかり放題の自室の片づけの過程で、「段ボール箱に眠らせておくくらいだったら、並べた方がまし」って思い、急遽百均ショップで陳列ケースを購入し、今せっせとケース内に並べているところである。それも、「円谷のケーズ」「東映ヒーローのケース」「東宝特撮のケーズ」「大映怪獣・怪人のケーズ」と仕訳けながら、ホビーショップの袋詰め以前からあったものも含め、あれこれ配置を考えながら、結構楽しく作業をさせてもらっている。以前紹介したピグモンも(先日の)アザーウルトラヒーローも、その過程で出てきたものだった。

 

 なにぶん数が膨大で、果たして用意したケースに収まりきるか甚だ心配だが、こういう展示レイアウトを考えるのも立派な“創作活動”なんで、しばらくは気晴らしに続けてみようと思っている(;^_^A

“アザーウルトラ”な特撮ヒーローたち

 過日、部屋の片づけを始めて、過去集めたガチャや食玩のフィギュアが多く出てきたことをブログにしたためたが、今回もそんなフィギュアの話。

 

 

 これはおそらく新婚間がない2000年台頃だったと思うから。かれこれ20年近く前のことになるが、食玩で面白い企画があって、せっせと買い揃えたフィギュアのシリーズがあった。それは販売サイドが敢えて“アザーウルトラ”を意識したとしか思えいない企画で、1960~1970年代の、マイナー且つマニアックな特撮ヒーローばかりを集めたものだった。

 

 幸いにして、というか奇跡的に、一回も被ることなく、6体全てのヒーローを手に入れることが出来た。その一覧が今回掲載した写真だ。

 

 

 右から順に「魔神ハンターミツルギ」、「ファイヤーマン」、「スーパーロボット レッドバロン」、「アイアンキング」、「流星人間ゾーン」、そして「快傑ハリマオ」の6体。「ハリマオ」は時期的に“別格”としても、多くは70年台に百花繚乱(雨後の筍?)の如く量産された一連の特撮ヒーローたちで、「宣弘社」(「レッドバロン」「アイアンキング」)「国際放映」(ミツルギ)「東宝映像」(ゾーン)といった、円谷プロ全盛期には“傍流”といっていい制作会社が世に送り出したヒーローで、唯一「円谷プロ」ブランドの「ファイヤーマン」も、その「円谷」関連では”非ウルトラ”の傍流である。

 

 しかしながら、これらマイナーといっていいい特撮ヒーローの方が、実は強く惹かれるのである。これは、今回はラインナップされていない、東映でいえば“アザー仮面ライダー”“アザー戦隊シリーズ”“アザーメタルヒーロー”の「人造人間キカイダー」「キカイダー01」「宇宙鉄人キョーダイン」「アクマイザー3」「超神ビュビューン」「ロボット刑事」「イナズマン」「スパイダーマン」「悪魔くん」「ジャイアントロボ」「大鉄人17」、他社でいえば「愛の戦士レインボーマン」「ダイヤモンドアイ」「コンドールマン」「マグマ大使」「宇宙猿人ゴリ」「電人ザボーガー」「鉄人タイガーセブン」「バトルホーク」「プロレスの星アステカイザー」「サンダーマスク」「メガロマン」「行け!ゴットマン」「行け!グリーンマン」「行け!牛若小太郎」「UFO大戦争戦え!レッドタイガー」「シルバー仮面」「スーパーロボットマッハバロン」「小さなスーパーマン ガンバロン」、件の円谷プロでも「ミラーマン」「ジャンボーグA」「トリプルファイター」「レッドマン」といったマイナーヒーローたちである(恐ろしいことに、これらのヒーロードラマの主題歌は、おそらく全部そらで歌うことが出来る(;^_^A)。勿論「ウルトラシリーズ」も「昭和仮面ライダーシリーズ」も「超人機メタルダー」も大好きだが、上記の、ほとんど再放送の機会に恵まれない、俗にいう“レア”な特撮ヒーローについ思いを馳せてしまう(;^_^A

 

 こんなことを書いていると、晩秋(初冬?)の深夜に、すっかり”昭和の少年”に戻ってしまいそうだ(;^_^A

『”鬼”滅の刃』なクライマックスになるか?

 いよいよ今日からNPBパシフィックリーグクライマックスシリーズプレーオフ)が始まる。一足先に“終戦”を迎えたセントラルと異なり、パシフィックはまだまだ熱い。

 

 とはいうものの、マリーンズファンとしてはどうも期待が持てないシリーズでもある。一時はゲーム差0まで追いついたのに、そこからまさかの歴史的大失速。2位自体、土壇場で何とか猛追するライオンズをうっちゃって、滑り込みで勝ち取ったに過ぎない。しかも、今まで圧倒的優位にあったホークスとの対戦成績も、大失速の煽りを喰って今や互角。とにかく打てない打てない打てないで、圧倒的戦力を誇るホークスには到底太刀打ちできそうもない。しかも優勝したホークスには1勝のアドバンテージさえある。せめて1勝はして一矢報いることが出来れば、って思ってしまうくらい現状は厳しい。

 

 しかし、これは単なる“ゲン担ぎ”に過ぎないが、1位ホークス、2位マリーンズ、3位ライオンズという並びは、マリーンズが31年ぶりにリーグ優勝・日本一を成し遂げた2005年と同じなのである。今年は2位3位のプレーオフはなかったものの、最終的にマリーンズがライオンズをうっちゃったのは、千葉マリン(と敢えて書く)の最終戦直接対決だったんだから、これを“ミニプレーオフ”って強引にこじつければ、これまた2005年とおんなじだ。

 

 

 2枚とも、去る2005年10月の千葉マリンにおけるプレーオフファーストステージ対ライオンズ戦を“弾丸移動”で観戦した時のもの。あの時は全盛期の松坂大輔アンダースロー渡辺俊介が投げ勝って弾みをつけたんだったよな(^^)

 

 ただあの当時は、「マリンガン打線:と呼ばれた、西岡・今江・福浦・サブロー・李承ヨプ・ベニー・フランコ・里崎といった強力打線に、清水・コバヒロ・渡辺俊介・久保・小野・セラフィニといった先発陣に、“YFK”と呼ばれた薮田・藤田・コバマサという鉄壁のリリーフ陣を要していたので、それを上回る活躍を現マリーンズナインに求められるかどうか……そこら辺が勝負のあやになってくるだろう。

 

「短期決勝の鬼」の采配に注目 パで2度目、異例のポストシーズン
https://news.yahoo.co.jp/articles/03182ac9b817b65615adc5392cb6d061036541f9

 

 ところで、今回引用した記事の見出しの「短期決戦の鬼」とは、クライマックスや日本シリーズで圧倒的な勝率を誇るホークス監督。工藤のことらしいが、その記事にヤフコメに、マリーンズファンと思しきコメントが載せられていて、そこには「短期決戦の鬼」に対して今年は“鬼滅”がブームだと、見事な“返し技”を披露していて、「なかなかうまいことを考えてるな」って感心してしまった。確かにホークスは“鬼”のように強かろうが、まずは「一矢報いる」気持ちで頑張ってほしい。そして短期決戦故成長を待っている暇はないが、鬼との戦いを通してたくましい剣士となっていく竈門炭治郎のように、凛々しい戦いぶりを魅せてほしいね。とにかく「見逃しの三振」はもう見たくないから!

デジタル映像編集故の”手作業”感覚

 CSのディスカバリーチャンネルで「名車再生 クラシックカー・ディーラーズ」なる番組が放映されていて、機会があれば好んで観ている。この番組は、イギリスの制作会社が作ったバラエティーで、ディーラーのマイクが素材は素晴らしいがかなり傷んだほぼ“クラシックカー”といっていい車両を安く買い入れ、それをメカニックのエドかアントが丹念に修理・改造して、それをマイクが次なるオーナーに好条件で売る、というプロセスが毎回繰り広げられる本格レストア番組である。日本車が取り扱われるケースも多く、特に地元広島のメーカー・マツダの初代ロードスターが対象になった回は、その見事なレストアぶりと共に、ロードスターがイギリスでいかに愛されているかを知れて嬉しくなったものだった。

 

 ところで、ちょっと前に観たのは、1972年式 ダットサン・510、要は石原プロの『栄光への5000キロ』に登場した日産ブルーバードのレストアで、担当はアントだったが、日本円にして50数万円でマイクが購入した、無茶な改造、雑な塗装、ボロボロの内装、トランスミッションの不調といったトラブルを抱える中古車を、ボディーの切断・溶接から始まって、外装の研磨および再塗装、トランスミッションの交換やそれに伴う部品の手作り交換といった細かいプロセスを踏んでよみがえらせ、結局200万円以上の値での販売に成功する、という過程が描かれていた。

 

 

 私にはとてもそんな技術はないが、ずっと以前、水溶性アクリル塗料が出回り始めた頃、プラモデルの塗装を、それなりに丹精込めて行っていた記憶が蘇って、観ていて何だか嬉しくなってしまう。それと共に、今行っている映画制作の、それもポスプロ作業が、意外とこのレストア作業に似ているなぁって実感した。

 

 勿論、映画の場合は新撮なので、別にレストアではないのだけれど、一応ロケが終了してから編集作業に入る過程で、その時点で手にした素材をただ単に予定通りにつなげるだけでなく、その素材を使って新たに映画を作り上げていく感覚はある。その過程で改めてインサートカットを必要に応じて撮り直すとか、映像を並べ替えたり自在にトリミングしたりするとか、時には元々計画していなかった効果音を挿入することによって新たに“演出”するとか、事細かな“手作業”を積み重ねて、一本の映画に仕上げていく。しかも、そんな手作業も、意外とフィルムを使ったアナログ編集よりも、現在のデジタル映像・ノンリニア編集の方が手数が多くなった気がする。それもそのはず、一度と撮ったら加工が不可能なフィルムと違い、デジタル映像は色合いからスピードまで、かなりの部分、後作業・加工が可能だからだ。それこそ、単純な効果であるフェードイン・フェードアウトからオーバーラップといったものも、フィルム時代は撮影時に操作しておかないといけなかったもの(;^_^A

 

 今、映画を制作するにあたって、今より条件の厳しかったフィルム撮影を経験したことは大きな強みだが、だからといってフィルムが現在のデジタルよりも格が上なんて思ったこともないし、当然思うべきではない。デジタルには工夫の楽しさとその膨大な選択肢の中から自分でベストな効果を選ぶ大変さもある。しかし、そんな“手作業”は大きな魅力だ。

 

 実は現在、他の監督さんが撮った映像の編集を請け負っていて、気分的には「クラシックカー・ディーラーズ」なんだけど(勿論「クラシック」なんて書くのは失礼な、あくまでれっきとした新撮映像なんだけれど、外部から素材を預かった、という点においてです(;^_^A)、これからお預かりした映像をどのように完パケに仕上げるか、エドやアントに負けない、きめ細かな作業を続けていきたいと思っている。

映画は常に「いい音」を目指して

 映画をやっていると、どうしても「音」には敏感になる。8ミリフィルムの頃から「同録」なんてまずやってなくて(ノイズが嫌いな故)、専らセリフはアフレコ、音声は後録音を常としている。セリフ・音楽以外の音源は、効果音に求めることが多いが、時として、録音中に生音で音をこしらえることもしばしばある。

 

 実はこの録音が、ある意味映画制作で一番厄介で、それ故一番熱の入る作業となる。だから効果音が映像に見事シンクロした時の快感は、言葉では言い表せられないほどであり、反面同じシーンでしばらく行き詰ることもしばしばある。

 

 中には、「音で拘ることはない。ノイズが入ろうとお構いなし」という作風を貫いている方もいらっしゃるし、作風に関しては人それぞれ拘るところには個性が色濃く反映するもんだろうけど、私がことさら音声に拘るのは、観てくださる観客の方々に不快な思いをさせないためと、「所詮インディーズの作品なんて音は適当」なんて思われたくないからだ。

 

 過日、30年近く前の8ミリフィルム映画『シューリンクス』を上映した際、8ミリの脆弱な磁器トラックに録音した音声・効果音なのに、意外にも「音声がよく聞き取れた」云々のお褒めの意見を多く頂いた。また今のところ、昨今制作している“広島発ヒロインアクションムービー”シリーズの諸作品で、音について指摘を頂いたことはない。

 

 

 音声をゼロから入れ直す作業は実に煩雑だ。でもそこに拘ることに、映画における我がアイデンティティーを求めている……なんてね(;^_^A

“ハンカチ王子”は何処へ行く?

 二日連続日ハムネタになってしまった………(;^_^A

 

 去る2006年の全国高校野球選手権大会決勝において、駒大苫小牧の3連覇を阻む形で、早稲田実業を優勝に導いた右腕・斎藤佑樹は、その後早稲田大学を経て、2010年ドラフトで、競合の末、よりによって駒大苫小牧3連覇の夢を阻んだ地元北海道の球団・日本ハムファイターズへ入団することとなった。

 

 それから10年、未だ初年度の6勝を超える活躍を魅せることなく、現時点で15勝26敗。ここ3年間に限っていえば0勝3敗で、すっかり“2軍の肥やし”と化している。

 

 この世代は、夏の甲子決勝の印象が鮮烈だったせいか、未だ「ハンカチ世代」といわれるが、その同期の田中将大前田健太も、NPBでは無双の活躍を魅せた上で、現在はMLBでもなくてはならない存在となっている。一方、斉藤と同様、早稲田から鳴り物入りでNPBに入団した大石は既に引退し、福井も広島→楽天と移りながら、未だパッとしていない。福井は一浪で一世代前とはいえ、他の同期の多くが斉藤以上の活躍を魅せながら、未だ“ハンカチ世代”というカテゴリーで語られるのは、何とも不憫な限りだ。

 

 斎藤佑樹本人にしても、ここまでの成績を考えたら、既に“肩たたき”されてもおかしくないが、そんな彼が、劇的な復活を期待できるわけでもないのに、早々に来季の現役続行を発表されるのも、一重に彼の“商品価値”を日ハム球団が認めているからに他ならない。これは彼が未だ“客寄せパンダ”に甘んじているからに他ならない。

 

 彼には多くの“タニマチ”もいるようで、その気になれば高級外車でもプレゼントされるらしい。まあ、それはそれで、彼のステータスなんだろうけど、やはりプロ野球選手は一軍で活躍してなんぼ。二軍にくすぶっていたんでは何にもならない。

 

 そりゃ、北の札幌よりは、首都圏に近い2軍本拠地の千葉・鎌ヶ谷の方が住みやすいんだろうけど、そんな彼の活躍を未だ期待している北海道のファンは多いはずだ。それ故、斎藤佑樹投手には、毎年のことなんだろうが、「今年が最後のチャンス」、ぐらいに思って、今から精進を重ねて、来期こそは大輪の花を咲かせてほしいな。

 

 

 

 これらのスチールは去る2012年5月19日の交流戦マツダズムスタで観戦した際撮った、斎藤佑樹投手が登板した際の写真。特に3枚目は、DHを敷くパ球団では珍しい、斉藤投手のバッティングシーン。

 

 


日本ハム斎藤佑樹投手が来季も現役続行 右肘痛の治療からスタート
https://news.yahoo.co.jp/articles/2c0746256ac0f92c41ad5ba1213e6a49e6f35c71

有原航平“後輩”に期待大!

 昨日でNPBパシフィックリーグの公式戦全日程が終了したそうだ。今期は大阪近鉄亡き後の贔屓の球団、千葉ロッテマリーンズの、東京オリオンズ以来半世紀ぶりの、勝率一位優勝を期待したが、10月の記録的な超失速でその夢はあえなく頓挫(一時はソフトバンクにゲーム差なしまで追いついたのに……( ノД`)。しかしながらそんな状況下でも、何とか埼玉西武の猛追を交わして、2位通過。プレーオフの出場権を手にした。もっとも、昨今のモタモタぶりを見ると、日本シリーズ進出はほとんど期待出来そうにもないけど……( ノД`)

 

 ところで、何かと変則的だった今シーズン終了を待っていたかのように、以下の記事がネット上を踊った。

 

日本ハム】有原航平、西川遥輝が今オフの米球界挑戦意向固める ポスティングシステム利用で
https://news.yahoo.co.jp/articles/8dfc0ecd8a1a81339471b88c02f4376f98a69f42

 

 今回、この記事に反応してしまったのは、有原投手がもし仮にメジャーに進出したならば、我が母校始まって以来、初の「MLB選手誕生」になるからだ。

 

 母校出身者では、かつて、後に広島東洋カープ日本ハムファイターズでプレイした佐伯和司投手が、一時サンフランシスコジャイアンツから注目されたことがあったらしいが、こうやって正式にメジャーに挑戦するのは有原投手が初めてだ。昨今は大阪桐蔭や横浜と並び、NPBへの選手供給では上位にランクされる母校野球部だが、もし今回、彼がMLBのどこかの球団に入団出来たら大快挙だ! 現在ボストンレッドソックスと、「ビール職人」をニックネームにしているミルウォーキーブリュワーズを贔屓にしているが、今後は有原投手が入団した球団を熱烈応援したい。たとえそれが“くたばれヤンキース”と讀賣のように忌み嫌っているニューヨークヤンキースだとしても……(;^_^A

 

 

 有原投手で思い出すのは、彼が3年生の時の夏の広島県予選。その当時、故あって佐伯区にある高校の応援に駆り出されていたんだけれど、その学校の次に母校・広陵の試合があって、有原投手も他のナインとともにスタンドで試合観戦していた。そんな有原君は、佐伯区にあるリトルリーグの出身で、たまたま件の佐伯区の高校の応援に来ていた野球部OBの中には、そのリトルのチームで有原君の先輩だった子もいた。そんな応援席に、有原君は律儀も挨拶に訪れた。既にプロからも注目の投手だったにもかかわらず、極めて低姿勢で。そんな立派な後輩に対して、髪も金髪に染めて言動も軽薄で粗い、お世辞にも立派ともいえない先輩たちがことさら”先輩風”をふかしていたのを横目で苦々しく見つめていたのも今も記憶している。

 

 その後、我々の代では考えられなかった天下の早稲田大学に入学し、そこでも大活躍し、ドラフトでは複数競合の上、日ハムに入団した。かの2016年の広島vs日ハムの日本シリーズで来広した際は、宿泊先のANAクラウンズホテルから出てくるところも目撃した(;^_^A

 

 まあ、何はともあれ、今回のポスティングが無事球団から認められ、且つ成就することを祈るのみだ。そして快くポスティングを認めてくれた日本ハム球団に少しでも多額のポスティング料をもたらしてほしい。かつてマエケンのポスティングの際に、広島球団にドジャーズから支払われた20億円近いポスティング料が間接的に広島奇跡の3連覇を後押ししたように……

”ナタリー”のキャンディーズと「およげ!たいやきくん」との“仁義なき戦い”

 歌謡ポップスチャンネル恒例の「70年代アイドルソングベストテン」。今回観た(聴いた?)のは、伝説のグループ・キャンディーズだった。

 

 キャンディーズといえば、何といっても今は亡き広島市近郊の一大テーマパーク「ナタリー」のイメージガールの印象がまず脳裏に浮かぶ。確かTBS「ザ・ベストテン」で彼女らが初めてチャート一位になった時は、ナタリーのシンボルだった船上で「微笑みがえし」を歌う中継映像が流れたのを記憶している。

 

 

 

 

 今回の番組のセレクトがよかったからかもしれないが、流れる曲の殆どを口ずさめる位覚えていた。突然の引退宣言→引退コンサートまでの熱狂ぶりは今でも記憶に残っているが、意外なことに、実働は僅か4年半しかなかったんだそうだ。でもその4年半てのが、わが身にとっては小学校から中学校に進級する過程の時期だったんで、それで多く記憶に残っていたのだろう。中にはタイトルを見てもピンと来ず、曲を聴いて「ああ、この曲か!」なんて気づいたのもあったよ。

 

 うろ覚えで恐縮ながら、確か山田洋次監督の不朽の名作『幸福の黄色いハンカチ』の劇中、武田鉄矢が「ピンクレディーに対抗してキャンディーズもスカートが短くなった」なんて下世話なセリフを吐くシーンがあったと記憶しているが、当時先発のキャンディーズに対して後発のピンクレディーがミリオンヒットを量産して猛烈に追い上げたが、結局キャンディーズの引退フィーバーのあおりを喰らって、最後はややじり貧になったきらいがある。実際後楽園に5万5千人の大観衆を集めたキャンディーズに対して、同じ後楽園を使ったピンクレディーの解散コンサートは閑古鳥が鳴いていた。まあ個人的にはどちらも好きだったけどね(;^_^A

 

 それはそうと、件のキャンディーズでは、最年少で、後に大好きな『ゴジラvsビオランテ』のヒロインを演じた田中好子は惜しくも50代で早逝し、伊藤蘭藤村美樹も存命ながらすっかりその姿を見ることもなくなった。ピンクレディー未唯や増田恵子もしかり。みな既に還暦を超えようかって年齢だろうが、ちょっぴり寂しい。

 

 

 ところで、キャンディーズの楽曲で、本当は一番ヒットしたと思われる「春一番」だが、残念ながら年間チャート一位は逃している。それというのも、その年のチャート一位は意外なる伏兵「およげ!たいやきくん」だっらから。まるで讀賣本命のペナントレーズでいきなりダークホースの弱小カープが優勝(一位)をかっさらうような話だ。しかし今回の番組で知って驚いたのは、その一年後、「およげ!たいやきくん」を作曲した佐瀬寿一氏を招聘して「暑中お見舞い申し上げます」を世に送り出しスマッシュヒットを遂げたこと。まるでカープがら●をFAで獲得して優勝した讀賣のようではないか(゚д゚)! 確かに彼女らの所属していたのは当時圧巻の隆盛を誇った“ナベプロ”だったしね(;^_^A

『電人ザボーガー』に癒されて……「ザボーガー語録」

 「あきらめるな!立ち上がれ!」のキャッチフレーズも勇ましい、井口昇監督の『電人ザボーガー』。2011年の公開から既に10年近い歳月が経過してしまったが、往年の番組のリブート作品は数あれど、ここまで原典(オリジナル)にリスペクトしたリメイクはない、というくらいの素晴らしさだった。.それこそ、オリジナルを知らなくてもその“愛”が十分伝わってくる出来だった。しかも、オリジナルをオンエア時に観賞した世代はもはや壮年の域に達しているんだけれど、そんな壮年層へエールを送るような物語展開も実に心憎かった。何といっても、人口から考えたらそれこそ“針の先”のよう僅かな層をターゲットにして、こんな素敵な映画をこしらえてくれた井口監督の心意気と政治力には、ただただ感服するしかない。勇壮ながら実はマイナーコード(短調)の主題歌「戦え!電人ザボーガー」の楽曲も、心にビンビン響いてきて最高にいい。

 

 そんな訳で、“昔の少年たちへの応援歌”といっていい、この『電人ザボーガー』に登場する数多のシーンやセリフは、「心が風邪をひいた時」には、最高の“癒し薬”となってくれる。本作のレビューを書いた時には、観賞後で感動のあまり細かなセリフを失念してしまっていたが、、その後無事DVDも発売&レンタルされて久しく、改めて劇中の名シーン名セリフを振り返ることが出来るようになった。

 

 そこで、ここでまた我が“心のネジ”を巻くべく、名シーン・名セリフの数々を、独断と偏見を元に採録してみたい(;^_^A

 

 

大門「自分が紙切れ位の価値しかないと思うのなら、どんなことにも恐れずに立ち向かえるはずだ。俺はダメな自分に酔うだけのカッコ付けだったよ。」

 

 後半、落ちぶれて成人病まで患い、若い頃の情熱も正義への熱い心もすっかり失ってしまった、壮年期の主人公・大門豊(板尾創路)が、再び正義の心と勇気を取り戻す際の、静かな中に情熱と闘志をみなぎらせるシーンのセリフ。特に「俺はダメな自分に酔うだけのカッコ付けだったよ。」なんてのは、なんだか自分のことを言われているみたいで、ズンと胸に響く感動的なセリフだ。

 

 

中尾「新田さん! 俺、事故で足を怪我してから、もう何の役にも立たない、雑草になったと思ってましたァ」

 

中野「でも、貴方と一緒にいて、雑草でも大切な人を守れるって……知りました!」

 

新田「雑草は、見えないところで、花を咲かすものだよ」

 

中野「生身の人間だって、奇跡を起こせます! こんな風に!」

 

ブ~ッ!!!

 

中野「飛んだァ!!!!」

 

中野「リアリズムを超えるぞ、ていうか超えたぁ!」

 

新田「娘よ、父さんが笑顔のうちに、逃げてくれ!」

 

 

 オリジナルでは根上淳が演じた新田警部(渡辺裕之)は、中野(デモ田中)・松江(岸建太朗)両刑事を従えて、大門豊の良き理解者として登場するが、警察機構の立場故、政治家への忖度によって大門豊を裏切ることになり、しかもその警察からも用済みと3人揃ってお払い箱になってしまう。その後、新田は妻子から逃げられたり、中野は事故によって車椅子での生活を余儀なくされるなど憂き目に遭うが、そんな逆境の中3人は、警察機構のしがらみに中では実現できなかった“真の世直し”をするために「ニコニコ同盟」を結成する。そんな折、悪ノ宮博士(柄本明)の発明したジャンボメカ(佐津川愛美が都内で暴れだし、しかも手にした携帯型電磁波発生装置によって、都民が次々殺されていくという事態が発生した。ジャンボメカの放ったミサイルによって松江も命を落としてしまう。そこで残った新田・中野の両名は、電磁波発生装置を破壊するために、ジャンボメカへの特攻を決意する。上記のセリフ群はその一連のシーンで登場するものだ。そこには死地に赴く2人の、お互いへの敬意・感謝と決意が語られていて、その一言一言があまりにも清く、中でも事故で自暴自棄になっていた中野が、新田によって生きる価値を見出すことが出来たことを語るセリフなど、観ていて涙を禁じ得なかった。新田の「雑草は、見えないところで、花を咲かすものだよ」も泣けるくらい素敵すぎる!  やがて中野の車椅子に重なり合って座った2人は、中野が自らの屁にライターで点火して、そのジェット推進力で空を飛ぶ、という漫画でも書けないくらいバカバカしい手段で空を飛ぶ。その際、その説得力皆無のシチュエーションを誤魔化すかのような中野のセリフ「リアリズムを超えるぞ、ていうか超えたぁ!」が何とも秀逸である。結局、新田の娘に対する辞世の言葉が語られた直後、彼らは自らの命と引き換えに都民を殺害し続けた電磁波発生装置を破壊する。元来戦記物であれ、SFであれ、アクションであれ、「特攻」が大嫌いな私だが、この2人の「特攻」シーンだけはあまりにもバカバカしく且つ美しくて、唯一認めてもいいと思っている。劇中一番好きなシーンだ。

 

 

大門「確かに俺は、自分の無力さを知った。しかし、たくさんの愛も知った。愛はつらく、厳しいことも学んだ」

 

大門「だがお前は、愛を得られない苛立ちを、破壊することで逃げてるだけだ!」

 

悪ノ宮「わかったふりをするな! この世に生きる価値のある人間など、いないのだ!」

 

大門「違う! 糖尿でも、ポンコツでも、必死に道を歩けば、最後の一秒まで闘うことが出来るんだ!」

 

 一時は悪ノ宮博士に操られていたザボーガーを何とか修繕した大門は、敵に渡った自らの息子・秋月玄(宮下雄也)との死闘を制し、ジャンボメカへの潜入に成功する。しかしそこでザボーガーはミニブルガンダー集団の攻撃を受け、また大門も悪ノ宮博士の許までたどり着いたものの、彼の足から発射される無数のナイフによって深く傷つく。そんな絶望的なシーンで、大門が起死回生の大逆転を成し遂げる過程で、自らの思いを吐露するのが上記の一連のセリフだ。自らの至らなさを後悔しつつも、不屈の闘志を徐々に一言一言に込めていくこのシーンは、まさにオリジナルの『電人ザボーガー』をリアルタイムで観てきた、現在の“加齢臭漂う大きなお友達”に対する精一杯のエールのように聞こえてならない。このシーンを観る度に、「ああ、俺もグダグダ考えずに、前を向いて頑張らないと!」って気持ちにさせてくれる。まさに“カンフル剤”のようなシーンだ。その後、ブルガンダー蹴散らしたザボーガーや、良心を取り戻した秋月の助けによって、見事大門は、悪ノ宮博士とΣ団の野望を粉砕する。壮年だって、ポンコツだって「やれば、できる!!」

 

 

大門「何言ってやがるんだ、俺は神様が、タイムオーバーを告げる、最後の一秒まで、平和を守るぜ!」

 

 大団円を迎えて、ジャンボメカの呪縛から解き放たれた娘のAKIKO(佐津川愛美)や秋月と別れを告げる際の、大門の粋なセリフ。壮年なるが故の様が、タイムオーバーを告げる、最後の一秒まで」という言い回しが、我が心にズシンと来る。そうだ、年齢に縛られてはダメなんだ!  運命は自分自身の手で切り開いていくものなんだ!  人生は誰のものでもない自分自身のものなんだ!  そんな当たり前のことを改めて思い知らせてくれる、何とも勇ましく、そしていつまでも本作を観続けたくなる名セリフだ。まさに本作は“元気玉の塊”のような名ゼリフの宝庫だといっていい。

 

 ホント、“ケムール人に陰謀”か、2020年はへこむくらいろくでもないことが続いて、心か折れそうになることが多々ある(唯一いいことは、先のアルコール悪増税の対象に酎ハイが入っていなかったことと、愛飲しているトップバリューの第三のビールが、イオンの方針で増税分の値上げをしない宣言をしたことだけだ!)。そんな時は、この『電人ザボーガー』を観て、「ザボーガー語録」を聴いて、大いに癒されたり、明日への活力をもらったりしたくなる。まだまだ暗い世相は続くが、せめてこの映画から元気を戴こう!