神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

嗚呼、水島新司氏……野球の「ヒロイン」を初めて描いてくれた功労者でした……

 ピンクレディーの名曲「サウスボー」。この歌詞は、「魔球ハリケーン」を引っ提げた女性投手(歌詞の「女にはそんなことは出来やしない~♪」から容易に想像)が、NPBで活躍する(歌詞の「背番号1の凄い奴が相手」「フラミンゴみたいちょいと一本足で」から、彼女の対戦相手が当時のNPB選手・王貞治であることは明白)姿を描いたものである。wiki辺りでは、以前当ブログでも紹介した“元広島”の永射投手がサウスボーのアンダースローで、しかもオールスターで件の王と対戦したことが、作詞家・阿久悠にインスピレーションを与えたそうだが、それと共に、かの名作『野球狂の唄』に登場する、「日本初のプロ野球女性選手」にして、サウスボーのアンダースロー投手だった水原勇気の存在も影響を与えていたのではないか。

 

 

 私が『野球狂の唄』に興味を持ったのは、この水原勇気東京メッツ入団辺りからだった。それまで、週刊少年チャンピオンで『ドカベン』を読んでいたし、『あぶさん』も叔父からコミックスをごっそりもらって読んでいた。特に1975年の近鉄バファローズ初優勝(後期優勝)以来パリーグに興味を持っていたから、『あぶさん』は当時フジの「プロ野球ニュース」ぐらいしか情報源のなかったパリーグのことを詳しく知ることのできる唯一の存在だったんで大いに役立っていた。

 

 しかし、当時「月刊」から「週刊」の少年マガジンに移行する、そ“売り”として「プロ野球初の女性選手」を登場させた『野球狂の唄』の存在を知ってから、以降のコミックズは全巻揃えるくらい、この漫画にのめり込んでしまった。その後アニメにもなったが、「水原勇気のテーマ」の「戦いの広場に~男の広場に~咲いた可憐な花一つ~♪」という歌詞が、”紅一点”“ヒロインアクション”という、まさに私が心惹かれるシチュエーションであり、そのことを思うと、もう小中時代から、我が「ヒロインアクション魂」は醸成されていたようだ(;^_^A

 

 かの初代「スケバン刑事」の斉藤由貴が、その直前「月曜ドラマランド」の枠で、この水原勇気を演じていたのは有名な話だ。また、映画化当時は、“ロマンポルノ”の日活制作だったため、非ポルノの作品でありながら躊躇するうちに観賞の機会を逃し、後に民放での放映でやっと観賞が叶った実写版映画『野球狂の唄』で、水原勇気を演じた木之内みどりも実に可憐で役柄にマッチしていたと思う(同様に、小池朝雄御大の岩田鉄五郎役も完璧だった(;^_^A)。

 

 

 

 実は、野球漫画のパイオニアにして唯一無二の象徴的な存在だった、本作の原作者でもある水島新司氏の漫画には大変お世話になった。『男ドアホウ甲子園』は藤村甲子園タイガース入団後の単行本は揃えていたし、上記の作品以外もアニメを拝見して大いに楽しませてもらった。水原勇気が恋しくて、連載終了後、一度で復活した回のマガジンは購入したし、その後メッツが北海道に身売りされたり、火浦が大阪アパッチの監督に収まる後日談が収録されたコミックスも探して読んだりした。件の水原勇気は、最後は我らが広島東洋カープに入団してたんだね(゚Д゚;)(゚Д゚;)

 

 

 

 「パリーグの功労者」という位置づけも含め、実は水島新司氏に対する思いは尽きない。『銭ゲバ』のような鮮烈的な作品もあるものの、氏の描く漫画のキャラクターこそ、日本野球漫画のプロトタイプといっても過言でなくくらい、読者に定着していたと思う。そんな氏の野球漫画の新作は、もう永久に読むことが出来なくなってしまったのである。

 

 ただ、氏が残した、水原勇気の『野球狂の唄』をはじめとする一連の作品は、氏が死して尚、永久に我々を楽しませてくれることだろう……合掌