神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

『地獄の花園』~OL制服は“オフィス街の戦闘服”だ!~

 これは先月末の話だけれど、イオンシネマ広島西風新都で『地獄の花園』を観賞した。この映画って、ポスターのビジュアルは最高にかっこいいんだよね(下参照)(;^_^A  もっとも、脚本がバカリズム。彼が企画・脚本を務めた『素敵な選TAXI』などは理屈抜きで面白く、芸名(“バカ”リズム)とは裏腹に、彼のことは実に天才肌の脚本家(実はコメディアン)だと思っているが、こと本作に関しては、OLが主人公の物語ということで、結局彼が脚本&主演を務めた『架空OL日記』の劇場版みたいなゆる~い話だろうと、あまり期待せず観に行った。が、ささにあらず! なかなかどうして、とんでもないヒロインアクションムービーだったよ!! さすがバカリズムだ!(;^_^A 

 

 

 本作の主人公は、永野芽衣演じる普通のOL・田中直子。だが、彼女が働くオフィスのOLは……ていうか、この映画に登場するほとんどのOLが、互いに最強を目指しシノギを削る、修羅のような集団なのが本作の設定。一応直子のような”カタギのOL”と常日頃からバトルを繰り広げる“武闘派OL”とは“線引き”が引かれていて、直子らが“あっち側の”OLから苛められる、というシーンはほとんどないが、彼女らとは別次元で、やれ「狂犬」だの「悪魔」だの「大怪獣」だの「最強」などといった肩書の猛者たちが、獣のような野生むき出しで、喧嘩上等とお互いの縄張りを広げるべく、血で血を洗う抗争を繰り広げていく。それでいて、オフィス内ではケバいメイクと髪型のまま、制服だけはきちんと纏い、黙々と業務に励むさまは、実に微笑ましい。

 

 物語は、一時は「悪魔」こと安藤朱里(菜々緒)によって制圧されたかに見えた「三富士」に、臨時雇いとして「カリスマヤンキー」OLの北条蘭(広瀬アリス)がやってきてから、その勢力図は書き換えられることになる。蘭の圧倒的な力に朱里たちが悉く軍門に下った結果、「三富士」は蘭の天下となる。そんな蘭は、同じバス停から通うよしみで直子と仲良くなっていくのだが、その結果、直子もいやおうなしに“武闘派OL”たちの世界に関わっていくこととなる。

 

 この物語の特徴は、いろんなところで指摘されているように、学園マンガ、それも『ビーバップハイスクール』『ろくでなしブルース』『クローズ』といった、俗にいう不良漫画のフォーマッをそのままOLの世界に当てはめて描いている点に尽きる。だから劇中、武闘派OLは決して“堅気”のOLにはちょっかいを出さないなど、しっかり“棲み分け”がされていて、OLのドラマにありがちな陰湿な苛めのシーンもない。また激しい喧嘩の果てにどちらかが相手の軍門に下ったとしても、そこからはノーサイドで、まさに「お前やるなぁ」「いやそっちこそ」って『夕焼け番長』のノリの世界が展開する。だから、誰がトップに立とうとも、しっかり友情というか固い絆が構築される。その点は、女性でありながら彼女らは実に“漢気”に充ち満ちている。意外と「スケバン」的な世界観にはなっていない。あくまで“漢気”だ。

 

 そんな中、前半物語の「狂言回し」を務めるのが主人公の直子。あまりにも荒唐無稽でありえない武闘派OL同士の抗争も、子供の頃から不良漫画を愛読していたという設定の直子の、その不良漫画になぞらえた予定調和なモノローグ(説明)によって、「後付け」的に観る者は了解させられる。実に“ズルい”テクニックである(;^_^A 

 

 カリスマヤンキーとして「三富士」の頭となる蘭役の広瀬アリスの、キレキレのアクションが何とも小気味よく素晴らしい。そして設定上も、とにかく強い、強い、強い!!(゚Д゚;)  もう完全無欠な存在なのである。流石、現幕デビュー作において、かの「電波人間タックル」を演じただけあって、まさに面目躍如といったところだろうか(;^_^A

 

 やがて、蘭のうわさを聞きつけてタイマン勝負を申し込む数多の他社OLを悉く返り討ちにして、蘭は「三富士」のみならず近辺の会社の武闘派OLたちを束ねる存在になるが、そこに「魔王」赤城涼子(遠藤憲一)「史上最強のOL」鬼丸麗奈(小池栄子)を要する「TOMUSUN」が目をつけ、直子を誘拐して、彼女を餌に蘭を自分たちのアジトにおびき寄せることになるが………そこから以降がとにかくとんでもないサプライズと共に、怒涛のような展開に陥っていくんだけれど、そこが本作一番の“ネタバレ厳禁”な肝に当たるところなので、ここで紹介できないのが何ともモゾかしい(;^_^A 

 

 ただ、ここから驚きと共に、ヒロインアクションファンには堪えられない素晴らしいシーンが目まぐるしく展開していく。そしてラストの肉弾バトルは必見である。きっと「こんな子らがここまでやってくれるとは……!」って感激すること請け合いである(^^)  とにかく、まだ劇場公開されているので、ヒロインアクションファンを自認される方々は絶対に観るべし!! 本作を観ずして、これからの日本ヒロインアクションシーンを語ることはできないよ! まさにタイトルの『地獄の花園』に偽りないから!

 

有り難いことに、ここで『地獄の花園』の冒頭シーンが観賞できます!(^^)

 

 それにしても広瀬アリスをはじめ、あのタイトなOL制服を着たまま、素晴らしいアクション・バトルを演じてくれている。そこにヒロインアクションの新たな可能性を見出したよ! 曰く「OL制服は“オフィス街の戦闘服”だ」と……!(;^_^A