神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

永野芽郁の眼光に、初代スケバン刑事の面影を観た! ~『地獄の花園』最大のサプライズ~

 よく映画の惹句で「理屈抜きで面白い」ってのがあるけど、本当の意味で「理屈抜き」なのが、映画『地獄の花園』の“先の見えない”展開だったりする。とにかく全編理屈抜き、伏線度外視の「ありえない」展開が相次ぎ(特に後半)、毎度毎度観る者の度肝を抜く。そんなある種“ショック描写”の後に、申し訳程度の「理由」が後付けで説明される。先日のブログに「荒唐無稽でありえない武闘派OL同士の抗争が、直子(永野芽郁)の予定調和なモノローグ(説明)によって、『後付け』的に了解させられる」云々の、本作における“ズルい”テクニックについて触れたが、とにかく脚本のバカリズムも監督の関和亮も、この映画につじつま合わせとリアリズムなんて求めていないことが、物語にも演出にも十分うかがえる。それによって観る者はすっかり振り回されてしまうんだけれど、そこら辺りの小気味よさもある種観ていて楽しい(;^_^A 

 もっとも、その理屈抜きの演出が完璧でなければ、観る者は納得できない。本作最大のサプライズにして最大の“ネタバレ”に繋がる、「実は直子は最強だった」という裏設定も、一歩間違うと一気に映画世界を破壊しかねない。その点において、永野芽郁のアクションは、その心配をたちどころに払拭するくらい、見事な演技、見事な演出だった。

 あのほんわかした“虫も殺さない”ような表情と華奢な体つきからは想像もつかないような、気性、表情、激しいバトルを、永野芽郁は外連味たっぷりに演じきっていた。それに至るまでの永野芽郁が、いわゆる"いつもの永野芽郁"だっただけに、劇中、スイッチが入った途端、あたかも別人格のように、堂々と啖呵を切って“荒々しいスーパーガール”“武闘派ヤンキー(とは言ってもルックスはカタギOLのまま)”と化す彼女の演技には観ていて惚れ惚れしたよ!…………っていうか惚れた!!(;^_^A

 

 私も思わず購入してしまったけれど(;^_^A、クリアファイルのデザインにもなった、このビジュアルとコピー(惹句)のアンバランスこそが、本作品における田中直子(永野芽衣)の“立ち位置”を示している、といっても過言ではない!! もっとも本当は「ぶっ飛ばす」じゃなくて「ブッ殺す」なんだけどね(;^_^A

 


 クライマックスの蘭と直子の“獣のような”死闘のシーンでも、スタントコーディネーター・富田稔氏の発案で、蘭役の広瀬アリスに重厚なパンチを出させつつ、永野芽郁にはその長い手から、どちらといえばラリアットのような打撃をさせ、双方の身体的特性を生かした殺陣を演出したそうであり、そういうきめ細かな演出や演技が、「永野芽郁が迫真アクション?」なんてあり得ないシチュエーションを、まさに「理屈抜き」で観る者に納得させてしまう……っていうか信じ込ませてしまう効果に繋がっているようだ。

 

 パンフレットより抜粋。この眼光、この表情ですよ!! まさに初代麻宮サキの再来!!

 

 それにしても、“イッた”時の永野芽郁の眼光には心底惚れ惚れしたね。上記のように“虫も殺さないような”表情の、「怒り」「アクション」とは無縁の存在のような彼女からは想像もつかない眼力は、彼女の芸の幅広さを感じさせると共に、なんだか“同様の形容”が似合う、初代スケバン刑事麻宮サキを演じた時の斉藤由貴のそれを彷彿させてくれた。思えば、南野陽子以上に“つかみ所の無いホンワカした”キャラだったはずの斉藤由貴も、あの稀代のヒロインアクションドラマでは、信じられないくらいの“キレた”目力を披露してくれたっけ。そう考えると、今回の永野芽郁の表情・アクションで、彼女を「昭和60年代ヒロインアクションドラマ」の正当な後継者に任命したいくらいである。それに、意外と彼女って「昭和の顔」なんだよねぇ(;^_^A 

 

 

このビジュアルもかっこいい!!(^^)