神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

ヒロインのアクションと「Don't Stop Lullaby」と「エスケイプ!」と

 昭和60年代ヒロインアクションドラマのムーブメントに、日テレは『セーラー服反逆同盟』で“新規参入”し、その翌年に、このジャンルでは“老舗”のフジは、それまでの「スケバン刑事」ブランドを捨てて新機軸のヒロインアクション新シリーズ(とはいっても単発)『少女コマンドーIZUMI』をスタートさせた。時期的にはちょうど『セーラー服反逆同盟』が終わってから約半年後に『少女コマンドーIZUMI』が始まることになるんだけれど、この両番組、何故か主題歌を、局も違うのに同じA-JARIが担当している点が面白い、という旨のことを以前ブログに認めたことがある。

  

 

 更に言うと、それぞれのクライマックスにおける戦闘シーンで、片や『セーラー服反逆同盟』は仙道敦子の「Don't Stop Lullaby」、一方の『少女コマンドーIZUMI』では五十嵐いづみの「エスケイプ!」という、両ドラマのヒロインの歌がバックに流れているのである。私の記憶が正しければ、それまでの「スケバン刑事:シリーズは皆、戦闘シーンはBGMのみだったと認識している。勿論、それまでのヒロインによる主題歌・挿入歌が、およそアクションシーン向きではなかった、という側面もあるが、その点「Don't Stop Lullaby」も「エスケイプ!」は予めアクションシーンで流すことを前提にして、アップテンポでノリのいい曲に仕上がっているようだ。

 

 

 もっとも、緊迫する戦闘シーンで、今戦っているヒロインの歌唱が流れるってのは、下手をすれば徒に映像の緊張感を削いでしまう危険性を孕んでいる。まじてや「エスケイプ!」の歌詞はまだしも、「Don't Stop Lullaby」のそれは単なるたわいもない恋のさやあてのような内容に過ぎないし……。それでも「エスケイプ!」と変わらず、実に効果的に戦闘シーンを盛り上げてくれるのは、ひとえに仙道敦子のノリノリの歌唱力に尽きる! それこそ、ヒロインが粋がって戦闘時に諳んじているように聴こえるもの! そしてこの曲を彼女が非常に楽しそうに歌っているのを感じ取れ、そこから彼女の本ドラマに賭ける思いが伺えて何とも嬉しく、そんな心意気がドラマへの相乗効果となって表れているのではなかろうか。

 

 それにしても、『セーラー服反逆同盟』のパターンを、後発とはいえ“老舗”のフジがここまで踏襲しているってのは実にユニークで面白い傾向だ(もしかしたらフジの担当者は「そんなことはない!」って言うかもしれないけど(;^_^A)。でも『セーラー服反逆同盟』が取り入れた、「ヒロインに拘らないアップテンポの力強い男性ボーカルによる主題歌」「その分、アクションシーンでのヒロイン歌唱のインサート」という新たなフォーマットは、ヒロインアクションドラマにまた一つの方向性を与えてくれたという点で、大きな意味があったと思う。これだから、複数の局(制作会社)が同じテーマのドラマを競作していくことは大切だし、それ故、昭和60年代ヒロインアクションドラマが百花繚乱の彩りを魅せることが出来た、その原動力になりえたと思うのである。