神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

奥田圭子の“ファッションショー”という側面

 かつて、同時に日本プロレスの中継を行った日本テレビテレビ朝日(旧NET)は、その因縁からか、後に馬場の全日本プロレスと猪木の新日本プロレスに“代理戦争“を仕掛けたきらいがあるが(諸説あり)、ことヒロインアクションドラマ界においては、『スケバン刑事』『少女コマンドーIZUMI』『花のあすか組!』のフジテレビと『セーラー服反逆同盟』『こんな学園みたことない!』の日テレが、昭和60年代にいい意味で鎬を削っていた。

 

 当然どちらも昭和を代表する良質のヒロインアクションドラマを生み出してきたのだけれど、一応後発の日テレ2作品では、フジにない視聴者プレゼントを行っていた。まずセンセーショナルだったのが、『セーラー服反逆同盟』で主人公の3人(後に4人)が戦闘時に身につけるアヴァンギャルドな“白いセーラー服”の視聴者プレゼント。確かにこのドラマでしか登場しない、しかも主人公の仙道敦子山本理沙後藤恭子、そして中山美穂が最高にかっこいい場面で着用するとあって、この視聴者プレゼントは大変魅力的だったが、同時に「とても当たるまい」と早々に応募をあきらめたいきさつがある。実際以前も言及したが、身内に応募者がいて残念ながら落選したようだし(;^_^A

 

 しかしながら、さすがにこのプレゼントも、単に彼女らが毎回決まって戦闘時に着用するのと同じ服をプレゼントするだけの企画だったと記憶している。その点、次作の『こんな学園みたことない!』では、スポンサーである服飾メーカー・セシールの協賛で、毎回番組に提供される、しかも主人公・一条寺さやか先生こと奥田圭子が各回ごとに着用した異なる衣装をプレゼントする、という太っ腹なプレゼント企画だった。確かにこのプレゼントが、実際彼女が袖を通した衣装なのか、単にその回の衣装と同一のものなのかは定かではないものの、この企画って、ヒロインアクションを通り越して、一般のドラマでもほとんどお目にかかったことのない斬新な視聴者プレゼントだったといえる。

 

 

 そもそも、セシールが学園アクションの一社スポンサーになったこと自体、今思えば驚きなんだけど、セシールとて、スポンサーになった以上、この番組を通して自社の服が売れなければ意味がない。しかも学園ドラマというのであれば、そのほとんどはファッション系の服飾メーカーにとっては無縁の「制服」ばかりだ。そうなると、社としては、ひとえに主人公の女性教師に自慢の衣装を劇中着させてPRするしかない。だから当然、社の“広告塔”となるべき主人公の人選は、番組制作上重要な課題だったであろう。そんな厳しい”お眼鏡”にかなった女優こそが奥田圭子その人だったわけだ。長身でスレンダーな肢体に、瞳の大きな愛くるしい容姿、そして劇場デビュー作『パンツの穴花柄畑でインプット』の頃のショートヘアーのボーイッシュな出で立ちとは異なり、長髪の魅力的な“お姉さん“女優に成長した彼女こそ、セシールの“広告塔”にふさわしいと判断しての抜擢だったと思う。つまり、この『こんな学園みたことない!』は、良質の学園ドラマであり、良質のヒロインアクションであり、且つ“奥田圭子のファッションショー”の要素も含めた、実に欲張りな番組だったといえるのではなかろうのか。そんな点でもまさに“こんな番組みたことない!”って言っても過言ではないドラマだった。

 

 あの大手だったレナウンですら倒産の憂き目に遭うなど、服飾デザインメーカーは生き残りをかけて大変な時期を迎えていることは容易に想像できるが、ことセシールには何とか頑張って難局を乗り越えてもらいたい。そして、一社スポンサーの権限で、是非『こんな学園みたことない!』のソフト化・再放映に向けて強力な後押しを願いたいものだ。

 

 

 

 ちなみに拙作の“広島発ヒロインアクションムービー”シリーズ第5弾『特命探偵☆葛城アキ~郷土の怒りをぶちまけろ~』では、元女性自衛官のヒロイン・葛城アキが、元上官の探偵社社長から「捜査のためだ」と称して、ことあるたびに指定された衣装の着衣を強制されるという設定になっている。しかもそれが“変装”になっていないのが特徴で、あたかも上司の趣味に振り回されてのいびつな“ファッションショー”の様相を呈していた。もっとも上映会後の観客プレゼントは実施しなかったけどねヾ(- -;)ヾ(- -;)