神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

“セーラー服ヒロインアクション”の救世主

 先日、日本に於けるセーラー服ヒロインアクションの変遷についてしたためたが、殊の外反響を戴いて、有り難く思っています。そこで前回書ききれなかった項目について少々………

 確かに、宇沙美ゆかりの『Vマドンナ大戦争』出演に伴う『スケバン刑事』主役降板の後を受け継いで、それまでイメージ優先の清純派女優だった斎藤由貴が「麻宮サキ」役を射止めたことが、今日まで続く“清純派セーラー服ヒロインアクション”の礎に繋がった訳だが、そんな「スケバン刑事」シリーズも、第3弾の『スケバン刑事III 少女忍法帖伝奇』における荒唐無稽さが、原作者・和田慎二氏の顰蹙を買い、本来『スケバン刑事Ⅳ』となるべ五十嵐いづみ主演のヒロインアクションを『少女コマンドーIZUMI』と改名せざるを得なかったことは衆知の事実である。

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  ところで、くだんの『少女コマンドーIZUMI』が予想外の視聴率低迷にあえいだ挙げ句わずか4ヶ月で打ち切り。その後を受け継いだ“つなぎ番組”『藤子不二雄の夢カメラ』(渡辺美奈代主演)や、放映時間帯を代えて始まった東映ヒロインアクションの『花のあすか組!』では、「メインの主人公がセーラー服に身を包む」という、『スケバン刑事』から『少女コマンドーIZUMI』まで受け継がれた設定は反故にされ、危うく“セーラー服ヒロインアクション”というジャンルが『スケバン刑事』オンリーの徒花になりかけた時期もあった。それを救ったのが、何を隠そう、ユニオン映画製作の『セーラー服反逆同盟』である。

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 本作は、明らかに『スケバン刑事』シリーズを意識し、且つ「『スケバン刑事』がやらないことをやり切ってみせる!」との意気込みが端々に感じられる作りになっている。例えば単体ではなく「同盟」という設定。“白いセーラー服”という戦闘時専門のコスチューム(冬服故、色まで『スケバン刑事』に対抗している(;^_^A)の着用。特定の学園内(黒鳥学園)に的を絞って一連の事件を解決するという、一話完結&大河ストーリーなどなど。またスケジュールの関係でやむを得ない事態とは言え、当時メンバー中一番人気の中山美穂の“チラ見出演”など、この手のドラマファンの琴線に触れる企画ばかり。それでいて、中心的存在が「往年の日活青春スター」を彷彿させる清純派俳優・仙道敦子であったり、キチンとメンバーに啖呵を切らせる演出など、ちゃっかり“本家”『スケバン刑事』のテイストを頂いた企画・設定もあって、実に楽しく魅力的なヒロインアクションドラマに仕上がっていたと思う。

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 実はこの『セーラー服反逆同盟』、時期的には『スケバン刑事III 少女忍法帖伝奇』と対抗するようにカブって放映されていて、『少女コマンドーIZUMI』が始まる前に既に終了していた。だから一概に「“セーラー服ヒロインアクション”というジャンルを救った」とは言い難いように思われるが、本作の登場によって「フジテレビ・東映」のみだったこのジャンルに「日テレ・ユニオン」という新しい“バイパス”が登場したことが本当は意義深い。確かに『スケバン刑事』シリーズ同様、本作の“後釜”的存在と言える『こんな学園みたことない!』(読売テレビ)では既に“セーラー服ヒロイン”は消滅してしまったが、この制作も局も異なる『スケバン刑事』と『セーラー服反逆同盟』が同時期に並列して放映されたことが、巷に“セーラー服ヒロインアクション”というジャンルを認知させる結果に繋がっていると思う。そんな意味で「点」を「線」に変えた『セーラー服反逆同盟』は、ヒロインアクション界の金字塔として、認知されるべきであろう。

 ちなみに、一応当時の“セーラー服ヒロインアクション”の幕引きとなった『少女コマンドーIZUMI』の最終話のサブタイトルが「セーラー服戦士の伝説」ってのは、何とも意味深だ(;^_^A