神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

A-JARIと「白いセーラー服」と「ロケットランチャー」と

 昭和60年代ヒロインアクションを語るうえで忘れてはならないのが、ロックバンド「A-JARI」の存在である。

 

 A-JARIは1984年から1989年まで、まさに昭和60年代ヒロインアクションが百花繚乱の如く放映されていたその時代と併せるかの如く活動したバンドである。大泉北高校(もしや東映大泉撮影所付近?!(゚д゚)!)の同級生であった本田克典や藤尾領らによって結成された。バンド名の由来は「A級のジャリ(ガキ)」かららしい。一応1989年を以て解散したようだが、その後数回の再結成を経て、何と今年、期間限定で復活を遂げているそうだ。同級生ということもあって、メンバーはすでに優に50歳を過ぎているが、当時のアクションヒロインたちも同年代で未だ活躍しているから、彼らの再結成には精一杯のエールを送りたい。

 

 さて、ご存じの通り、彼らは件の昭和60年代ヒロインアクションドラマのうち、ユニオン映画・日本テレビ制作の『セーラー服反逆同盟』と、東映・フジテレビ制作の『少女コマンドーIZUMI』の両作で主題歌に抜擢されている。今思うと、これはある種信じられない出来事だ。違うジャンルならばいざ知らず、そもそもフジの『スケバン刑事』に対抗するかの如く制作されたであろう『セーラー服反逆同盟』と、“本家”が新たなシリーズとして制作した『少女コマンドーIZUMI』、要は日テレとフジとの少女アクションを巡る攻防の中、よりによって、ほぼ時同じくして両作に、しかも番組の看板ともいうべき主題歌を担当するなんて……それこそ、20世紀に闘志むき出しでシノギを削っていた「新日本プロレス」と「全日本プロレス」(というか「日テレ」vs「NET(テレ朝)」)の両方のリングに当時上がった長州力ジャパンプロレス)くらい、ありえない事態だったといえる。

 

 

 『セーラー服反逆同盟』に関しては、メンバーの藤尾領が、2年A組生徒としてレギュラー出演していた藤尾亜紀の実父にして、12話に彼女の父親役でゲスト出演したジェリー藤尾と姻戚関係にあることが、A-JARI起用の要因だったであろうことは容易に想像がつくが、問題はその直後、半年以上の期間があったとはいえ、俗にいうライバルであるフジのヒロインアクションドラマに関わったいきさつがどうもわからない。ただ一つ手掛かりになるのが、抜擢したのがフジの方だったってこと。確かにヒロインアクションドラマというジャンルでは後塵を拝したものの、流石に日本初の民放テレビ局である日テレは王道というか泰然自若、自社が放映した2つのヒロインアクションも、変化球的な設定ながら、ドラマそのもののはいたって王道の風格を醸し出していた。それに対し、開局がキー局では2番目に遅く、今まであの手この手で既存のキー局に対抗してきたフジテレビである。それ故、敢えてライバルである日テレヒロインアクションドラマの主題歌を担当したA-JARIを、自社のドラマに誘うという“遊び心”が働いたのではなかろうか。あたかも、1980年代、新日本プロレス内でのクーデター未遂を受けて設立された興行会社「新日本プロレス興行」が、新日プロから「クーデター派が作った会社」と何かと冷遇され、そんなときにライバルの全日本プロレスジャイアント馬場の“遊び心”に誘われて全日プロの興行を引き受けたいきさつに似てなくもない……なんか今回はやたらと昭和プロレスを引き合いに出しているな(;^_^A  それに別にA-JARIが冷遇されたわけでも何でもないだろうし……まあ、全てあくまで憶測の域を出ない話だ……

 

 それにしても、昭和末期に徒花の如く開花した和製ヒロインアクションのムーブメントの中に、こんな形で深くかかわった、しかも男性ボーカルのバンドがいたことは非常に意味深い。何といっても、『スケバン刑事』以降、ドラマにかかわるヒロイン以外で主題歌を歌ったのは、彼らだけなのだから。

 

 ※タイトルの「白いセーラー服」は『セーラー服反逆同盟』で主人公の4人が戦闘時に着用する、番組を象徴するコスチューム、「ロケットランチャー」は、『少女コマンドーIZUMI』のアヴァンタイトルで、主人公の五条いづみが毎回ぶっ放す。番組を象徴する兵器のこと。

 

 ※実は、びっくぴゅあさんに指摘されるまで、しばらく『少女コマンドーIZUMI』の主題歌がA-JARIの「JUST FOR LOVE」であることを失念していました。以前このことを思い出させていただいたおかげで、今回のブログが書けた次第です。この場を借りてあらためて感謝いたしますm(_ _)m