神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

パンフに見る和製スプラッター映画の徒花『死霊の罠』

 最近、自室にしまっていた往年のパンフレットを整理したんだけど、その中で“マニアック”という意味では究極といえるのが、この『死霊の罠』のパンフだろう。1988年……つまり実質的には昭和最後の年といっていい63年に公開された、最初から和製スプラッターを目指して撮られた作品である。監督の池田敏春は、その前にもディレカン黎明期の傑作『人魚伝説』のクライマックスで、主人公の海女・白都真理に「ここまでやるか」って思わせるくらいの大殺戮復讐劇、一大スプラッター描写を描いたことで有名な監督である。ハリウッドやヨーロッパから次々と送り込まれるスプラッタームービーに触発されて企画されたのであろう本作品は、夥しいまでの血糊や人体破壊、しかもそれはうら若き娘たちをターゲットにしたという、誠に痛々しい描写に充ち満ちていた。

 

 

 本作の絶望的なポイントは、怪しげな廃墟に訪れた女性中心の撮影クルーの中で、唯一頼りになりそうな男性スタッフが、彼女らの期待も空しく、一番最初に無残に殺害される点であろう。そして次々に女性たちは得体のしれない何かに、ありえない程凄惨且つ不条理な殺され方をするんだけど、そのターゲットになるのが、小林ひとみ・中川えり子・前原祐子といったピンク・AV畑の女優ってのは、何だかヒロピンビデオのそれのようで、ちょっと違和感があったね。

 

 

 ところで、本作は日本における猟奇スプラッタームービーのニューウエーブとして、これからのホラームービーのある形を推し進めようとした作品なんだけど、この直後、あの忌まわしき“宮崎勤”事件によって、世のホラー・スプラッターが言われなきバッシングを受ける中、未だに再上映・ソフト化が万ならない状況にあるという。そこら辺りは、洋泉社MOOK別冊映画秘宝「怖い映画」に掲載された、加藤よしき氏によるコラム「再評価『死霊の罠』」に詳しく書かれている。

 

 ちなみに本作は、高橋伴明監督作品にして、妻の高橋(関根)惠子主演によるサスペンスホラー『DOOR』との二本立てで上映されたが、『DOOR』の方は何度もTVで放映されている。また、奇しくも『死霊の罠』も『DOOR』も共に続編(『2』)制作されている。特に『死霊の罠2/ヒデキ』では、中島唄子の股間から血まみれになった佐野史郎が生み出されるという、文章に書けば良識を疑われそうだが、事実そうとしか形容しようのないシーンが強烈だった。

 

 それにしても、どんな作品であっても封印はいけない。誰もが視聴できるTVならいざ知らず、有料のCSや、観賞者が限定されるソフト販売ぐらいは、封印を解いてもいいと思う。私自身ついこの間まで『死霊の罠』が現在観賞できないなんて知らなかったが、出来るだけ早期に、これらの作品が希望すれば観賞できるよう環境整備がなされることを祈念して止まない。

 

 そんなわけで、今回は貴重な『死霊の罠』のパンフからいくつかの記事を抜粋しました(;^_^A

 

 

 

 

 実はこのパンフ、裏面というか半分は同時上映の『DOOR』の記事。まさに今はほぼ亡き2本立て上映を彷彿させるパンフです(;^_^A