神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

『シンクロナイズドモンスター』 ~アン・ハサウエィの「怪獣使いの少女」~

 もうかれこれ3年前の作品をDVDで観賞。公開時は、『バーバレラ』リメイク最有力候補の誉れ高き、あの『女性には誰にでも輝ける権利がある」のアン・ハサウェイが、文字通り怪しげな獣と“シンクロ”するバカバカしいCMが流れていて、興味津々だったんだけど、なかなか機会に恵まれず、ようやくこの度観ることが叶った。

 

 

 物語は、失業中でアルコール依存症で、それがもとで彼氏からも三行半を叩きつけられるという、およそアン・ハサウェイらしくない主人公のグロリアが、故郷のニューハンプシャーの実家に帰ってくるところから始まる。そこでかつて友人だったオスカーと再会し、彼女の状況を不憫に思ったオスカーから、自分のバーで働かないか、と誘われる。しかし、バーで働くことから、依存症はますますひどくなり、ある日朝帰りでとある公園をふらついていた時、何故か地球の裏側の韓国・ソウルに謎の怪獣が出現。その後、その時の映像をネットでグロリガが確認すると、どうも彼女の公園での動作と、怪獣の動作がシンクロしていたことに気づき、驚愕する。

 

 グロリアは、そのことをオスカーたちに話すが、誰も信じてくれない。そこで彼女は皆を例の公園に招き、そこで彼女の動作と、ネットで流れるソウルの怪獣の動きがシンクロしている事実を証明する。どうも彼女がその公園に足を踏み入れたと同時にソウルに怪獣が登場、彼女と同じ動作をはじめ、彼女が公園から出ると怪獣も消えるらしい。しかも韓国軍の攻撃を怪獣が受けると、同じ部分に彼女は痛みを感じるようだ。どうしてそんなことが起こったかわからないものの、自分の行動が図らずもソウルの街を破壊し人命を奪ったことを申し訳なく感じたグロリアは、怪獣とシンクロしてソウルの街の地面に謝罪の言葉を(それもハングルで)書いた。そして絶対公園に入るまいと誓うのであった。

 だが、今度はソウルの街に別の巨大ロボットが現れ町を破壊し始める。その正体は、グロリアに好意を抱き始めたオスカーが、彼女が別の男性と恋仲になっていると誤解し、自暴自棄になって公園に入り込み、彼女と同様巨大ロボットとシンクロして街で暴れるように仕向けていたのだった。そこから、それを阻止しようとするグロリアとオスカーとの攻防が、そのままソウルの街にシンクロして怪獣と巨大ロボットとの戦いとなって展開するのであった。

 

 ここまで書いてみて我ながら訳が分からなくなってくるんだけれど(;^_^A、でも本当にこんな物語なのだ。まあ、こんな話だからさぞやおバカな物語かといったら、結構マジな三角関係の恋愛話がサイドストーリーとして進行していくし、かといって登場人物は皆どこか屈折していて、そんな痴話喧嘩のおかげで、ソウルの街は阿鼻叫喚のるつぼと化しているし、笑っていいのか怒っていいのかわからないような物語だった。ただ、超大物(といっても“巨大”というわけではない(;^_^A)女優のアン・ハサウェイが醜悪だが愛嬌のある怪獣とシンクロして闘うってのは、形の上では『ジャンボーグA』なんだけど、メカキングギドラ(by『ゴジラvsキングギドラ』)における中川安奈や「機龍」における釈由美子(by『ゴジラ×メカゴジラ』)・吉岡美帆(by『東京SOS』のような「怪獣使いの少女(女性?)」のそれを連想させて、そのミスマッチの妙が何とも魅力的だ。しかも怪獣とシンクロする彼女が公園ではオスカーとリアルファイトを展開する姿は、まさにヒロインアクションのカテゴリーに入れてもおかしくないような肉弾ファイトぶりだ。

 

 ラスト、生身では男であるオスカーに叶わないグロリアは何を思ったかソウルに飛び(つまり怪獣は消え、巨大ロボットのみ暴れる状態)、そこで巨大ロボットに向かって虚空に手を伸ばす。するとそれにシンクロしてニューハンプシャーの公園の前に怪獣が登場し、生身のオスカーを掴むと、ソウルのグロリアの動作にシンクロして、オスカーを“フルスイング”ではるか彼方に投げ飛ばす、という、もはや“落語”のようなオチを迎えて物語は幕を閉じる。何かわかったようなわからないような結末だったよ。


 そういえば、今までだったら、こんな形で、しかも怪獣がらみで極東が舞台になる場合は、日本(それも東京)が相場と決まっていた。しかし今回は韓国・ソウルが舞台。これはやはり、昨今の韓流ブームや韓流スターのハリウッド進出などから、もう世界の映画界の関心は日本から韓国に移ってしまっているからなんだろうな……なんて考えていたら、本作の製作総指揮にイ・ジェウ、チェ・ピョンホという韓国人が絡んでいるからだったようだ(;^_^A