神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

『ライリー・ノース -復讐の女神-』 ~『エレクトラ』のジェニファー・ガーナーは健在なり!!~

 2017年にガル・ガドット主演の『ワンダーウーマン』が“固き扉”をこじ開けるまで、近年のハリウッドにおけるスーパーヒロインが“ピン”の活劇は不遇を強いられていた。そんな中での数少ないヒロインアクション活劇が、ヘレン・スレイターの『スーパーガール』であり、ハル・ベリーの『キャットウーマン』であり、そしてジェニファー・ガーナーの『エレクトラ』であった。しかしその全てが興行的に芳しい結果を挙げることが出来なかった故、ハリウッドのヒロイン活劇はしばらくの間“氷河期”を迎えることとなった。

 

 それが、今では前述の『ワンダーウーマン』しかり、MCUの『キャプテン・マーベル』『ブラック・ウイドゥ』しかり、『チャーリーズ・エンジェル』しかり、『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒』しかり、『ムーラン』しかりと、今や百花繚乱の装いを醸し出している。それに至る前のハリウッドヒロインアクション不遇時代に、一矢報いた『エレクトラ』で主人公を務めたジェニファー・ガーナーが、その15年後に再びアクションヒロインとして復活したのが、『ライリー・ノース -復讐の女神-』である。

 

 

 本作は本来、「月一回は劇場で映画観賞」昨年10月の最有力候補に選ばれながら、観賞機会に恵まれず、結局代わりに観たのが全く畑違いの『JOKER』だったんだけど、この度DVDにてようやく観賞か叶った次第。


 夫が自動車整備工という中産階級の生活をしているライリー・ノーズ(ジェニファー・ガーナー)は、娘と同級生の上流階級の子の母親から誹謗されながらも、健気に生きている。夫が悪友から闇カルテル麻薬王から金をだまし取る計画に誘われて躊躇していることなどつゆ知らず、娘が誕生日を上記の上流階級の嫌がらせによってぶち壊されたことを憂い、娘を励ますために家族ともども遊園地に行ったことが仇となって、闇カルテルの手下に路上で夫と娘を惨殺され、自らも重傷を負う。幸い一命を取り戻し、犯人の割り出しに貢献するものの、闇カルテルの報復を恐れた検事及び裁判官の弱腰によって、犯人は無罪放免となり、しかも彼女は精神不安定の烙印を押され、悪名高い精神病院に収監されそうになるが、すんでのところで逃げ出し、以後消息がつかなくなる。

 

 やがてニューヨークに舞い戻ったライリーは、家族の復讐を果たすべく、早速実行犯の4人を血祭りに挙げる。返す刀で不当裁判を演出した弁護士と判事を悉く爆殺し、徐々に“本丸”に照準を合わせていく。

 

 ライリー役のジェニファー・ガーナーの演技及び身体能力が素晴らしい。流石「エレクトラ」である(;^_^A もっとも、件の『エレクトラ』公開から既に15年の年月が経っているのにも関わらず(御年46歳!!)、彼女がここまで激しいアクションを見事にこなすのは驚異的ながら、劇中、もともとごく普通の主婦であるライリーが、ここまで“強靭な女復讐鬼”になったいきさつは一切説明されておらず、我々としては「あの『エレクトラ』なんだからそれもありだろう」って思い込むしかなかった。そんな甘えが制作者サイドにもあったのかなぁ……。でも、“OG”といっていいくらい往年のアクションヒロインであった彼女が、こうやって「ヒロインアクション」のフィールドに舞い戻ってくれたことはどんなに嬉しいことか! しかも『エレクトラ』に増して痛々しいまでに激しい肉弾アクションをこなしてくれるとは……(゚Д゚;) まるで『ミセスM』でアクション復活し、骨折をいとわない激しいアクションを披露してくれた、往年のショーブラザーズアクションヒロインであるベティ・ウェイ(カラ・ワイ)を彷彿させる“復活劇”ぶりだったよ(;^_^A

 

 物語はその後、一番信頼が置けそうだったはずの刑事が実は闇カルテルのボスと繋がっていたり、一見「事なかれ主義」のように見えた上司の方が彼女の協力者であった、という、設定上の“ちゃぶ台返し”のようなどんでん返しの果てに、傷つきながらもライリーが“本丸”であるボスの眉間に銃弾をぶち込むことで大団円を迎える。件の上流階級保護者に対しても律儀にきっちりと“落とし前”をつけてくれたし(^^)  とにかく全編「復讐に狂う最強のママ」ぶりが遺憾なく発揮された内容だった。ストーリー自体は、冒頭の主人公にとって理不尽すぎる展開があたかも「必殺」シリーズの前半のようでいささか鬱屈していたり、かつライリーが一旦“本丸”を追い詰めるものの、彼の娘の存在に殺害を躊躇するといった、邦画のような野暮ったい展開もあったりと、思ったほど圧倒的な爽快感を得ることは出来なかったが、それでもジェニファー・ガーナーの年齢を感じさせない究極のファイトには拍手喝采だったよ(;^_^A

 

 常に新たなヒロインの登場が待望される古今東西のヒロインアクション界だが、こうやって往年のヒロイン(女優)が復活するってのも実に喜ばしい。このノリで、かの「テレワークヒロインアクション」リレー動画を披露してくれたシャロン・ストーン(『クイック&デッド』『トータルリコール』)やキャメロン・ディアス(『チャーリーズ・エンジェル』)、ダリル・ハンナ(『ジャイアントウーマン』『キル・ビル』)あたりにも是非“再登場”願いたいものだ(;^_^A