神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

『スーパーティーチャー熱血格闘』は破天荒な“王道”学園ドラマ!

 最早先週の話になるだけれど。去る24日に、当ブログでも大絶賛した香港映画『スーパーティーチャー熱血格闘』のソフトが販売された。既にそのブルーレイの購入を考えていたんだけれど、当日ものは試しとレンタルショップを覗いてみたら、何とすでにレンタルが始まっていた。しかも5本以上も並んでいる!(ちなみに同店で『野獣処刑人ザ・ブロンソン』は1本しかなかった) そこで“衝動的”に借りてしまったよ(;^_^A

 

 

 そして勿論、帰宅後イッキ観! まだ観賞後ひと月も経っていないのに、待ちわびたシーンの数々に胸を熱くしてしまったよ(;^_^A 特に今回は初めて吹き替え版で鑑賞したので、新鮮だったうえに、初見では気づかなかった内容を知ることができた。『野獣処刑人ザ・ブロンソン』の時もそうだったが、吹き替え版を改めて観賞するのは実に意義深い(;^_^A

 

 ところで、本作の内容および私的な思い入れに関しては、劇場観賞当時に原稿用紙換算15枚分の“熱い”文章を書かせていただいたので、今回はその時触れなかったクライマックスを絡めて書き足してみたいと思う(よって“ネタバレ”注意!!!)。

 

 

 香港・徳智(タックチー)学園の粗暴な元生徒だったチャンは、ある時卒業式をメチャメチャにし、同級生にけがを負わせたことで退学処分を受ける。両親にいないチャンは叔母に引き取られ渡米することになるが、その際校長は彼がアメリカの軍学校に入学できるよう便宜を図る。やがて軍学校を卒業し、アメリ海兵隊に入隊した彼は、中東での戦争に参加し、そこで戦争の悲惨さ・虚しさを目の当たりにし、それがきっかけで、海兵隊を除隊する。その後故郷の中国全土を放浪するうちに、チャンは恩師である校長に会いに行き、そこで母校の教師になることを勧められる。それはほどなく他界した校長の遺言となり、それに忠実に、チャンは徳智学園の教師になることを決意する。彼は学園きっての問題クラス6Bの担任を拝命するが、クラスは予想通り“怪獣無法地帯”。しかし、チャンの型破りな授業や、問題児たちへの過激すぎる“教育的指導”が功を奏し、且つ監禁された生徒を救いに、ボクシングジムで大立ち回りを演じたことがきっかけで、彼の素性が生徒に知れることになり、一躍学園のヒーローとなる。しかし担任クラスの生徒が学習障害を苦に自殺未遂を起こしたことから、チャンはマスコミの集中砲火を浴び、そして学園を去ることになる。今や彼を慕うようになった6Bの生徒は、彼の潔白を証明するために、来る学力試験DSEで高得点を獲得するために必死に勉強に取り組む……

 

 

 ここまでが、以前のブログで触れた概要だ。今日はその続きから……(ネタバレ注意)……地上げ屋と結託して、徳智学園の跡地に高層マンションの建設を目論む悪徳ボクシングジムオーナーのローは、徳智高校を廃校に追い込むため、大学入試に向けてDSEに臨む6Bの生徒を試験当日に偽メールで学園に呼び出し、一同を監禁する。生徒がDSEでいい結果を出すと教育局の補助金打ち切りがなくなり、廃校話もなくなるからだ。刻一刻と迫る試験時間。そこへやってきたのは我らがチャン先生。彼は得意の護身術でローが雇ったチンピラたちを一蹴し、生徒たちを逃がしてやる。そこからがチャンとローの一騎討になるのだが、そこで実はローも徳智学園の卒業生で、しかもチャンの同級生であることが判明する。学園生時代、テコンドーの大会では1位をチャンに譲ったものの2位の成績で、しかもピアノ演奏ではグランプリを受賞したローは、卒業式に花を添えるべく、ステージでピアノ演奏を華々しく披露する。しかし、式なんぞお構いなしに二階席で寝転んでいたチャンが、ローのピアノに安眠を妨害されたと腹を立て、演奏中の彼に水風船を叩きつける。びしょびしょにされた上に晴れがましい発表を台無しなされたローは当然怒り、チャンを追いかけ戦い始めるが、その渦中でチャンが蹴り落した校長の銅像が彼の右手甲に落下したことで負傷し、ピアニストの夢を断たれ、結果悪党に身をやつすことになったのである。それを知ったチャンは、6Bの教室で激しいバトルを展開し、ローが手にしたナイフを奪って彼に突きつけるものの、その切っ先をあろうことか自らの右太腿に突き刺し、ローに「あの時はすまなかった」と謝罪して、学園を後にする。彼の耳に「俺はピアノが好きだったんだ!」と泣き叫ぶローの声が響く………やがて新学期。またもや悪ガキが集まった新生6Bにチャン先生の声が響き渡る……そんな形で作品は幕を閉じる。

 

 ちなみに格闘技に精通し、且つピアノの腕も一流という敵役・ローの設定は。まんま父親の影響でピアノが堪能で、母親の指導で絶大なる実績を残しているドニー・イェン(チャン)そのものであるといっていい(;^_^A

 

 今回はDVD観賞ということで、“イッキ観”後、好きなシーンを何度も繰り返し見た。それは冒頭のチャン先生が、生徒たちの古典的ないたずらを一蹴し、煙草にまつわる授業で徐々にクラス生徒の心を掴んでいくシーン、ボクシングジムでの大立ち周りから、彼の素性を生徒たちが知り、彼を素敵な先輩(大師兄)として受け入れていくシーン、そして理不尽な裁定で学園を追われることになったチャン先生を6Bの生徒が必死で追いかけるシーンだ。どれも何度観ても泣けてしまう。そしてチャン先生のような人間になれたらどんなに幸せかって、ちょっぴり嫉妬してしまう(;^_^A  まあ、はっきり言ってどれもベタなシーンばかりなんだけれど、それだから素敵なんだと思う。翻って、最近の日本の学園ドラマは、“変化球”が多すぎやしないか? 『女王の教室』しかり、『3年A組』しかり……かつて世を席巻した『こんな学園みたことない!』とか『ごくせん』といった、完全無欠の王道ドラマがあったじゃないか! まさに『スーパーティーチャー熱血格闘』は、往年の日本学園ドラマへのオマージュではないかと見紛うほど、当時の学園ドラマとの親和性が深い。

 

 『スーパーティーチャー熱血格闘』を再見して、再び初見の感動が鮮やかに蘇ってくるとともに、こんな王道で破天荒な学園ドラマをそろそろ日本でも作っていいんじゃないかなって思ってしまう。もう見るからに“大人”な高校生たち(だって平均年齢が優に二十を超えてるでしょ!)の薄っぺらいラブロマンスはもう打ち止めにして、これからは教師目線の、それも変化球ではなく完全無欠・予定調和な王道ドラマをどんどん作ってほしいな(;^_^A