仙道敦子と「Don't Stop Lullaby」
「Don't Stop Lullaby」とは、ご存じ『セーラー服反逆同盟』のクライマックスで「反逆同盟」の大立ち回りを演じるそのバックに流れる、「反逆同盟」のリーダー格・高坂ユミこと仙道敦子が歌う挿入歌だ。“昭和60年代ヒロインアクション”ファンを標榜しながら、この度のホームドラマチャンネルでの一挙放送で再見するまで、この楽曲の存在をすっかり忘れてしまっていた! まったく面目ない話だヾ(- -;)。もっとも、聞いてすぐに「そうそう! この曲!」って思い出して、曲を聴きながらますます心は放映時の1986年度にタイムスリップしたような気分になった次第(;^_^A
さて、この懐かしい曲が改めて仙道敦子の唄声であることを思い出しながら、ある思いに駆られてしまった。以前も記述したが、それまでの端役を含めての仙道敦子の映画女優としてのキャリア(『鬼龍院花子の生涯』『陽暉楼』『白蛇抄』『細雪』『湯殿山麓呪い村』『早春物語』)から考えて、彼女はその可憐な、否,愛くるしいまでに可愛らしい容姿とは裏腹に、若くして生粋の、そして硬派の女優というイメージが強かった。それこそ神聖にして侵し難い存在と思っていた。今でいうならば差し詰め「二階堂ふみ」っていった感じかな。
そんな彼女が荒唐無稽な、そして“識者”から見たら「子供だまし」のようなこの『セーラー服反逆同盟』なるドラマに主演すると知ったとき、“こっち側”の立場からいえば「あの、仙道敦子が学園のヒロインを演じてくれる!」って狂喜乱舞したものの、内心「本当に彼女はこの役に納得して演じるのかな?」なんて不安がよぎったりjもしたものだった。しかも蓋を開けてみれば、当時アイドルとして活躍中の中山美穂と組んでのダブルメインキャストって立場だったし、しかもその中山美穂は出演回数も出演時間も少ないのに、実質上の主人公である彼女を差し置いて先にテロップされるし、劇中結構理不尽にいたぶられるシーンが多いし、さらには「白いセーラー服」に「どぎついいメイク」で戦うなんて無茶な演技も強いられるとあって、錚々たるキャリアを誇る彼女故、あまり気乗りしない演技を粛々と(とはいってもプロ根性として手は抜かず)続けていたのかなぁ、なんてことを勝手に思い込んでいたこともあった。
しかし、改めて「Don't Stop Lullaby」を聞いた時、ふと直感した。仙道敦子はこ曲を嬉々として歌い上げている、と。勿論なんの根拠もない、単なる妄想に過ぎないんだけど、きっと彼女は笑顔でこの曲を歌っている、しかもノリノリで。そうでなければここまでこの曲がクライマックスの戦闘シーンにシンクロするはずがない! それを裏付けるように、彼女の演技力によるものかもしれないが、この戦闘シーンにおける「高坂ユミ」の表情は実に清々しい。そして冷めたところがなく熱血一直線で必死に戦っている。時に敵の武器で白いセーラー服の両袖を切り裂かれるシーンがあろうとも、全く動じない。そして悪党を“成敗”した直後の、どぎついメイクの中に魅せる清らかな表情。そこの役者・仙道敦子の“本気度”が見て取れた(;^_^A
もし、仙道敦子がこの『セーラー服反逆同盟』の頃を述懐するような記述が何かに掲載されているのならば是非読んでみたい。もしかしたら、それによって上記の“妄想”が本当に“妄想”だったと思い知らされることになるかもしれないが、それでも当時彼女が何を思い何を考えてこの「高坂ユミ」役を演じてきたのかは、知りたいと願っている。
ただ「Don't Stop Lullaby」で魅せた、彼女の弾けるような歌いっぷりは、彼女の本作に賭ける情熱を物語っていた、って信じたいな(;^_^A
ちなみに、この「Don't Stop Lullaby」を作詞作曲した都志見隆は、何と広島県広島市の出身だそうで、かつて矢沢永吉の前座を務めた、いまや大御所らしい。それにしてもこんなところで地元広島が絡んでくるとは……世間は狭い(;^_^A