神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

仙道敦子と奥田圭子 日テレ系2人のヒロイン

 数多の昭和60年代ヒロインアクションを飾るメインキャストの中でも、別格と思うのが『セーラー服反逆同盟』の仙道敦子だ。勿論これを以て作品のクオリティーの良し悪しを判断しようってんじゃなくて(どの作品も等しく素晴らしい!)、あくまで女優として考えた場合でである。彼女だけは、「アイドル」として片付けられない女優としてのオーラを感じていたからだ。

 

 

 彼女の存在を知ったのは伊藤俊也監督の『白蛇抄』だった。1983年公開の本作は、主演の小柳ルリ子が初ヌードを披露する、という下世話な話題が先行した「文芸エロス」路線の映画で、出演も彼女のほかに若山富三郎夏八木勲宮口精二(『七人の侍』の久蔵!)といったこってりとしたキャストが脇を固める中、私が好みの俳優、杉本哲太が出家・修行を控えた若くて煩悩まみれの寺の倅の高校生「昌夫」をメインで演じ、当然ながら、身投げをして若山“トミー”こと住職の「懐海」に助けられて以来寺に住み着いたルリ子演じる「うた」に邪な恋心を抱く、ってのが物語の本筋だ。そこへ、同じく寺にやってくる「うた」の養女「まつの」が、仙道敦子の役回りである。そこでまだ実年齢も中学生だった彼女は、件の「昌夫」に恋心を抱き、養母の「うた」に嫉妬するという、“恋のトライアングル”という難しい役柄に“体当たり”していた。中でも「昌夫」の気を引くため、薄着で横たわり彼をを誘う、というきわどいシーンもあって、驚くと共にこの子の役者根性に舌を巻いたものだった。実に整った容姿で可愛らしくもありながら、目力を強く感じさせ、且つ物憂げな表情を浮かべる彼女は、まぎれもなく既に“大人”を感じさせる「女優」だった。その後も映画出演は相次ぎ、そのフィルモグラフィーには『湯殿山麓呪い村』なんて素敵な作品もあったけど(;^_^A

 

 

 そんな仙道敦子なだけに、『セーラー服反逆同盟』なんて、タイトルだけ見たら“色物”の匂いがプンプンするような作品への出演を知った時には、「あの大人びた仙道敦子が!」なんてびっくりしたり嬉しかったりで、番組の開始が待ち遠しかったくらいだ(;^_^A しかもあんなメイクで白いセーラー服まで着て暴れまわるとは……! もっとも反逆同盟の決め台詞の中で、彼女のパートの「天に代わって成敗する!」は、他の2人には申し訳ないが、別格的に腰が据わったセリフ回し、眼力、およびポージングだったよ(;^_^A

 

 

 ダブルメインキャストの中山美穂は、近年『LoveLetter』の演技が評価されて、しっとりとしたいい女優になってきたが、当時はまだどちらかといえばアイドルで歌手のイメージが強かった。そう考えると、仙道敦子の存在は、まるで子供たちの中に1人の“お姉さん”が加わったような安定感だった。これは、南野陽子相楽ハル子吉沢秋絵の『少女鉄仮面伝説』のトリオや、浅香唯大西結花中村由真の『少女忍法帖伝奇』トリオと比べても遜色ないトリオ・カルテットだったと思う。

 

 ちなみに今回番組を再見して、反逆同盟の戦闘シーンに彼女が歌う「Don't Stop Lullaby」が流れていたことを思い出したんだけれど、今改めて聞くと、なかなかしっかりした声量でノリノリで歌っているのが心地よく「いい声してるじゃん」って今更ながら感心してしまったよ(;^_^A

 

 ところで、同様に『こんな学園みたことない!』主人公・一条寺さやか役の奥田圭子も、デビュー後いきなり『パンツの穴 花柄畑でインプット』(小平裕監督)で島野ミチル役として、志村香ダブルヒロインを張ったキャリアを誇る“女優”である。彼女も、瞳の大きい浮世離れした可愛らしい表情の中に気の強さも感じさせる容貌と、アクションもこなせるスレンダーな長身がいかにもヒロイン然としていた。『こんな学園みたことない!』の後半に登場する戦う化身・ワルキューレさやかの濃いメイクと黒ずくめのコスチューム・ヌンチャク殺法は、『パンツの穴』で魅せた可憐な女子高生・ミチルの優等生ぶりを思うとあまりにも意外だったが、それも彼女のプロ根性に起因するところだろう。主題歌の「Single Woman」も歌唱力抜群で、且つしっとりほんのり歌いあげているところが、その背景に流れるドラマのダイジェストシーンとマッチしていて、実に心地よかった。

 

 

 

 こう考えると、フジの一連の『スケバン刑事』世界に対抗して日テレ系が世に送り出した2本のヒロインアクションドラマは、オリジナルより荒唐無稽ながら、その裏で意外にも「しっかり者の大人の女性」をそこはかとなく感じさせるシリーズだったのかもしれない(;^_^A