神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

『緋牡丹博徒 花札勝負』!

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 件の「広島市民球場映画祭」の広報をする際、「この作品はアクションコメディーですよね」と関係者から言われて、つい「はい」と答えてしまったことがあった。勿論、ストーリーも作り手の熱意も決して“コメディー”を目指したものではなかったが、どうしてもこの種のドラマ特有の“お約束”を踏襲したかったり、時代がかった台詞回しを敢えて役者に言わせたり、という部分があったので、結果的には「手に汗握るシリアスな展開」というよりも「予定調和の“お約束”ぶりを笑い飛ばす」タイプの映画になってしまったようだ。尤も、そうであっても私にとっては本望だったが……

 さて、そんな私が大仰な台詞回しという点で大いに楽しんだ映画がある。それが加藤泰監督作品『緋牡丹博徒 花札勝負』だ。かの“お竜姐さん”こと藤純子が大活躍する、ある種これも“ヒロインアクションムービー”の範疇に入れてもいい映画だと思っている。

 初めて観たのが、土曜深夜の映画枠。深夜故、オンタイムで観られずにビデオに録画(それもベータマックス)したのが功を奏して、以後何度も見直す機会に恵まれた作品だ。

 “ニセお竜”も登場する、あたかも“仮面ライダー”を彷彿させる内容もさることながら、この作品に関しては、見事すぎて全く隙がない。件の台詞回しも何度も諳んじられるくらい洗練されていて、主人公の藤純子は勿論のこと、ダブルメインの高倉健をはじめ、嵐勘十郎・若山富三郎・そして小池朝雄・内田朝雄の“悪役 ダブル朝雄”といった面々が素晴らしい演技・台詞回しを演じてくれている。

「馬鹿な女が、また馬鹿なまねをしでかして、その罪滅ぼしに馬鹿な死に様をしたと、一言」(高倉健
「金原さん!『任侠人をば制す』の看板が泣いちょるばい! お取り替えになったらどぎゃんな」(藤純子

名台詞も数え上げたらキリがない!

 また、健さんと“お竜姐さん”との最初の立ち回りでは、徹底したローアングルで撮られていて(”聞くところによると、加藤泰監督はローアングルが好きで、ポジションが確保できない場合、助監督に穴を掘らせて、それで超ローアングル映像を演出したと聞く)、本来、女優のUPのローアングルは御法度なのに、初々しい藤純子のローアングルUPは、鼻の穴が写っているにも関わらず、とても美しく描かれていた。初めて観た時(94年頃)は、当時撮っていた映画の主演女優に「まるで『緋牡丹博徒』のお竜姐さんみたいだ」と声をかけたとき、その子から「それってほめ言葉なんですか?」と逆に質問されてしまった。ちなみに、その時は加藤監督に倣って、しっかりUPをローアングルで撮らせてもらいました(笑)

 さて、私にとって、この『緋牡丹博徒 花札勝負』はとても大切な作品だ。『神宮寺真琴』でも結構参考にさせてもらったが、そんなカッコイイ台詞回しの映画を、いつか“ヒロインアクションムービー”の作品として撮ってみたいものだ。