神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

『七変化諜報★八代忍~父の敵は奈落に落とせ!~』

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 『天使諜報★神宮寺真琴』を企画した頃は、その存在(というかタイトル・主演)だけしか知らず、第1作『狙われた生徒会長』を撮り終え、第2作に着手して後に拝見し、その作品世界の素晴らしさ、私の感性へのシンクロ度合いに思わずのけぞってしまった(笑)映画がある。その作品こそ、志穂美悦子主演・鈴木則文監督による東映ヒロインアクションムービー『華麗なる追跡』だ。タイトルだけでは内容が想像しがたいが、さしずめ『七変化諜報★八代忍~父の敵は奈落に落とせ!~』といった話と言えようか(笑)

 この映画はまさに“志穂美悦子志穂美悦子による志穂美悦子のための映画”といっても過言でない。童顔で可憐、それでいてアクションに精通した20歳当時の彼女なくしては存在し得ない企画、作品といってよい。だからといって、徒に彼女を持ち上げる作品かといったらそうでもなく、ある種当時の「東映ポルノ」の亜流とともいえるお色気及び残虐性満載の展開。まさにオイルショック前後の“迷走する東映アクション映画”を象徴するような一本だった。流石鈴木則文御大だ(笑)

 ただ、同じ主演作品でも『女必殺拳』シリーズが結局香港カンフーや東映カンフーの女版に過ぎなかったことを考えると、本作は“志穂美悦子”という稀代のアクション女優を活かす、彼女(そして女性)でなければ成立しない傑作アクション活劇であったと激しく感じた。

 本作で我らが悦っちゃんは“多羅尾伴内”ばりの“ミエミエ変装”を駆使し(当然“お約束”の如く、敵方は気づかない)、得意のクンフー(ご丁寧にヌンチャクアクションも披露!)で群がる敵をなぎ倒す。敵方も、天津敏・石橋雅史山本昌平・沼田曜一といったおなじみの面々。一番の悪党が与党の大物政治家という設定も、権力への対抗姿勢を崩さない鈴木御大の面目躍如といった案配で、それでいて彼の配下はまるで初代ショッカー戦闘員を思わせる出で立ち。当の天津敏をして、熊の縫いぐるみを着用して婦女暴行に興じる変質ぶり! そういえば、彼が悦っちゃんに協力する兄妹を拉致し、縛られた兄の目の前で妹を犯す構図は、私の敬愛して止まない若松孝二監督の、それも一番好きな作品『新日本暴行暗黒史 復讐鬼』のそれと全く同じ展開で、これには驚かされてしまった(笑)

 ラスト近くの悪党を追い詰める場面など、工事(発破?)現場でロケや、悦っちゃんを襲う過剰なまでの爆破描写(ホンマに大丈夫なんかと思うような爆発ぶり!)も相まって、気分は仮面ライダー!(時期的には『アマゾン』か『ストロンガー』の頃だろう)。本当に石橋雅史は改造人間よろしく爆死する。その後のロープウェイでのアクションも、「おいおい、悦っちゃんにちゃんと命綱つけてんのか?」と思いたくなるような危なっかしさ。ロープウェイ側から撮った彼女の宙づりショットは、どう見ても「合成」には見えないぞ! PCの小さい画面ですら見るに堪えないゾッとするシーンなので、これを封切り時に大スクリーンで観た人の思いたるや如何ばかりか? 無事敵を葬り去った後も、しばらく劇中の悦っちゃんよろしく、放心状態になってしまった(笑)

 何はともあれ、私の邪な願望を全て満たしてくれた素晴らしい作品だった。『天使諜報★神宮寺真琴』の目指す世界がそこにあった。この映画をお手本にしてもっともっと頑張らなきゃ!