神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

『キングコング対ゴジラ』の笑えない「チャンピオンまつり版」

 「東宝チャンピオンまつり版ゴジラ全7作品一挙放送!!」の末尾を飾ったのが『キングコング対ゴジラ』(以下『キンゴジ』)。今まではオリジナルを“神懸かり的”な編集技術で、物語世界を損なわないまま、大幅な尺のカット(『キングコングの逆襲』に至っては約半分の尺に!)を実現し、逆にテンポが増したより娯楽作品に近づいたと諸手を挙げて賛同していた「東宝チャンピオンまつり版」だったが、殊この『キンゴジ』に関しては、いろいろ忸怩たる思いがある。

 私の中ではこの「チャンピオンまつり版『キンゴジ』」は、しばらくの間唯一現存する“オリジナル”という絶望的な認識を持つ作品だった。それというのも、これは大変有名な話だが、今から30年くらい前は、この「チャンピオン版」しかフィルムが存在しなかったからだ。最初に本作が「チャンピオンまつり」用に再編集された際、抜いたオリジナルのネガが紛失してしまったというのがその原因だが、都合2回の「チャンピオンまつり」公開を経た後も、例えば81年の「ゴジラ復活」絡みのイベントでも、上映されたのはこのバージョンだった。

 当時はビデオなんてものは存在せず、専らレコード音源が作品世界を再現するコンテンツだったんだけど、その金字塔でもある東宝レコードの「オリジナルサウンドトラック ゴジラ」1~3の中に収録されていた「ゴジラ埋没作戦」「キングコング輸送作戦」(共に伊福部昭御大作曲)に触れ、このBGMが流れるシーンを想像したりしたんだけれど、わざわざ大阪くんだりまで旅行して観た前出の「ゴジラ復活」イベントでそのシーンを観ることが出来ず(再編集でカットされていたシーン)、ガッカリした記憶がある。

 その後、『キンゴジ』“幻のオリジナル”への思慕は募るばかり。きっと同じ思いを持つ人は多かったようで、遂に残っていたオリジナルの音源が2枚組(両面会わせて4面分!)のLPレコードして発売されるにいたり、その時は勿論そのLPを購入して、何度も何度も何度も聴いた(だから今でも殆どのセリフを諳んじることが出来る(;^_^A)。

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 そうやって渇望に渇望を重ねた『キンゴジ』だが、確か昭和の最後の(厳密にはその1年前の)年だったか、『キンゴジ』オリジナルの16ミリネガが発見されて(ということで)、35ミリと16ミリを混同したビデオ(完全版)がレンタルビデオ店に並ぶようになり、ようやく念願が叶って“幻のオリジナル版”を拝見することが出来た。またCGもデジタルリマスター技術もなかった時代、当然補填した16ミリのシーンは退色して傷だらけで明らかにそこだけ違うとわかるレベルの映像だったが、それでも24分のカットシーンを観られるだけで大満足だったことを記憶している。中でもキングコングを国会議事堂前から富士山麓に運ぶ、かの勇壮なテーマに乗ったシーンを拝見したときは感動すら覚えたものだった。

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 その後、35ミリのネガも見つかったらしく、今では遂に4Kリマスター版のオリジナル『キンゴジ』を観られるまでになったんだけど、それまでの絶望的な頃のことを考えると、「チャンピオンまつり版『キンゴジ』」だけは、その再編集ぶりを素直に受け入れられないのである。

 再見すると、やはり編集の荒っぽさが感じられる。ストーリー重視ながら機械的なカットな随所に成されている。そして若林映子の出演シーンが短すぎる。特撮の見せ場さえカットされている。そんな印象を抱いた。確かに24分もカットすれば、それも致し方ないだろう。しかし、それでも本作(チャンピオンまつり版『キンゴジ』)にだけ違和感を覚えるのは、やはりオリジナルを長い間損なってしまった事実によるところが多い。確かに今まで『チャピオンまつり版」の編集の妙に喝采してきたけれど、それはあくまでオリジナルありきで、そのオリジナルと比較して初めて言えることなんで、この『キンゴジ』の騒動のようなことが厳に慎んでほしいと思う。

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※過去の日記でも同じようなことを書いてたよ(;^_^A
「デジタル技術で甦るボンドガール・アキ」


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