神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

検証!『黄金の犬』

 今CSでは鶴田浩二の作品を集中放映している。そのおかげで以前岡本喜八監督の『暗黒街の顔役』を観賞できた訳なんだけれど、そろそろネタがつき始めたのか、来週は何と同枠で『電送人間』(福田純監督)まで流すんだそうだΣ(゚д゚;)

 そんなわけで『黄金の犬』。大分前にテレビ(地上波)で観たっきり、ずいぶん経ってしまってたんだけど、この作品、主演が鶴田浩二だったことを忘れるくらい、地井武男の凶悪ぶりがトラウマレベルで脳裏に焼き付いた、そんな映画だった。それも単なる凶悪な殺し屋、というレベルを超えて、まさに『ダーティーハリー』の“ド外道”無差別殺人犯「スコーピオ」を彷彿させるくらい、異常性格者然としたキャラクターが際立っていた。後にも先にも、ここまで非情な敵役を観たことがないってくらい。それこそ何十発も弾丸を撃ち込まなければ死なないような恐怖感を与えるキャラだったな。だから、昨今善良な刑事役演じたり、オジサンキャラでバラエティーに登場したりする地井武男だけど、未だ「こいつは信じられねぇ」なんて思ったりする。本人からしたらエラい迷惑なんだろうけど……(;^_^A

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 そんな中、その地井こと田沼にいきなり眉間を撃ち抜かれて作品半ばでまさかの絶命を遂げる倉田刑事こと森田健作(今や自民党議員→千葉県知事とリアルな世界では“悪行三昧”の彼故、今観ると逆に溜飲を下げるけどね(;^_^A)や、またしても「トラック野郎」(ダンプ野郎?)として非東映作品にカメオ出演している菅原文太(にっかつ『堕靡泥の星 美少女狩り』では盟友・鈴木則文監督作品だから「星桃次郎」として出たのはわかるんだけど、今回は監督も違うしなぁ……)、更には夏八木勲演じるもう一人の主人公・永山の妻役で、田沼に強烈に強姦される“ズベ公女優”池玲子等も、主役を食うばかりの存在感を醸し出していたんだけれど、何といっても島田陽子の“あの”シーンに勝るものはない。

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 これはずっと前に洋泉社ムックの「映画秘宝 底抜け超大作」を読んで知ったとあるシーンなんだけど、今回久々に検証して、しかと確認できた。そのシーンとは、劇中船内に島田陽子こと北守礼子を拉致した田沼が礼子の下着を剥ぎ取った瞬間、礼子こと島田陽子の両胸の先にカットバンが張られているのが垣間見られるシーンだ。ほんの一瞬なんだけど、今回ばかりは録画もしていたので、巻き戻し再生で確認が叶った。それもカットバンのセットの中に数枚入っている正方形のタイプ。日常女性に胸の先にカットバンを貼る習慣があるかあるか否か、私には知るよしもないが、もしそんな習慣がないのなら、映画の臨場感やリアル感を損なわせる、虚構の世界を楽しんでいる観客を「なんだ、やっぱり作り物か」って興ざめさせる、何ともやるせないシーンである。映画の中にヌードが必要かどうかとの論争は取りあえず置いておいても、脚本上このようなシーンがある以上、事前に拒否するか、仮に演じるなら敢えてリアリズムを追求するのが役者並びにスタッフの責任ではないか。もしくはこのようなシーン自体撮らなければ良かったのだ。

 監督としても、役者を説得できなかったのか、こんな誰が観ても滑稽な“楽屋オチ”なカットをどうして使ってしまったのか、大いに疑問が残る。もしかしたら新人監督で役者のワガママを説得できなかったのかなぁ、なんて監督名を観たら、何と昭和版『愛と誠』や『五番町夕霧楼』の山根成之監督じゃないか!  山根監督ならどうして押し切れなかったのか、何とも疑問が残ってしまったよ。

 山根監督といえば早逝が悔やまれるんだけれど、そう言えば、監督作品の中でもどちらかといえばマイナーな部類の『おとうと』(1976年)と『ワニと鸚鵡とオットセイ』(1977年)は、まだ中学生だった時分に何故か両作とも劇場(今は亡き松竹東洋座)で観てたんだよなぁ 確か両方とも『男はつらいよ』の併映作品だった……


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