神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

鈴木則文監督と『色情大名』の顛末①

 かの野田幸男監督の名作にして超問題作『0課の女 赤い手錠(ワッパ)』の非情な女刑事・零役や、我が“魂の一本”深作欣二監督の『暴走パニック 大激突』の薄幸のヒロイン・ミチ役によって、杉本美樹は自分の中で「東映プログラムピクチャー界一の女優」として燦然と輝いていた。それ故、一大艶笑時代劇『徳川セックス禁止令 色情大名』の主演が彼女であることには、何の疑問も抱いていなかった。

 一方、池玲子はというと、“徳間”大映の『黄金の犬』の冒頭で、突如乱入した地井武男に暴行され、あろうことか逆に彼の虜になってしまった、主人公・永山勇吉(夏八木勲)の端役の妻・順子のイメージしかなく、よって、先の『徳川セックス禁止令』の姉妹編ともいうべき『エロ将軍と二十一人の愛妾』の主演が、杉本美樹ではなく彼女だったことの方に、よっぽど大いなる疑問を抱いたものだった。

 後に、同時期にスカウトされながら、当初池玲子の方が「日活ロマンポルノ」誕生より前に、日本初の「ポルノ女優」として衝撃的なデビューを飾ったことを知った。如何せん、なまじ「ポルノ女優」なんて称号を頂戴したせいか、彼女の主演作は俗にいう「東映ポルノ路線」と呼ばれるものが中心で、なかなか一般のレンタルショップに並んだりするような代物でなかったことが、上記のような「杉本美樹池玲子」という私の誤解に繋がってしまったのかもしれない(尤もそれで短絡的に「杉本美樹池玲子」って思ったわけではないけどね(;^_^A )。

 さて、そんな本来の“歴史”を鑑みると、逆に「何故、当時“東映ポルノのエース”だった池玲子が『徳川セックス禁止令』のような大作にキャスティングされなかったのか?」という新たな疑問が沸くのが妥当である。その点について、両作の監督である鈴木則文御大著の「東映ゲリラ戦記」の中に、事細かに記されていた。そしてその真相は、実に興味深いものだった……(以下次回)