神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

斉藤工『惑星大戦争』をかく語りき

 先の西日本豪雨禍の際、“お忍び”で広島県安芸郡坂町の土砂撤去作業ボランティアに単身来てくれた好漢・斉藤工。実は家内も大ファンで、また彼の映画愛には私もエールを送っている件の斉藤工が、洋泉社刊の「映画秘宝」に連載している「斉藤工の映画じかけのオレンジ」最新号の記事が何とも感動的だった(^^)

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 そのネタはなんと『惑星大戦争』。かのハリウッド超大作『スターウォーズ』来日前夜に、東宝東映が競って制作した“エクスプロイテーション映画”の東宝版だ。何かと批判の多い本作に対して、私は封切時からずっと擁護派で通して来たんだけれど、今回の斉藤工氏の記事で大いに溜飲が下がったね(;^_^A

 彼は、この『惑星大戦争』が『スターウォーズ』影響下で突貫工事に撮られた“柳の下”映画と認めつつも、当時から多くあった「『スターウォーズ』に似てもつかない」という批判に対して、“本家”に似せるんではなく、敢えて東宝的というか日本的なテイスト・展開で描いている(ストーリーの骨子は『宇宙戦艦ヤマト』)と評価している。しかも、ある種チープともいえる描写も、「突っ込み上等!」で描いている潔さにも敬意を払っていた。そして返す刀で、やたら「突っ込み」を怖れこじんまりとまとまってしまった昨今の邦画を、ちくりと批判することも忘れない。

 この「突っ込み上等!」の感覚こそ、外連味とか王道という言葉で形容できる、70~80年代邦画のセンスなんじゃなかろうか。とにかく何かやってやろう、という気骨が感じられる。だから往年の邦画の方が面白いという。


 ネット環境による、今や「一億総批評家」となった現代において、そんなネットの書き込みに神経をとがらし、冒険を怖れ兎に角“無難”に仕上がることを目指し(元ネタをヒットした小説・マンガに求めることも含む)、それでいて興行収入にはやたら敏感な昨今の“都合のいい”日本映画界が失ったものが、「B級」「プログラムピクチャー」と揶揄される往年の邦画には無数に散らばっているような気がする。



 もちろん、今の日本映画はいくつも好調な興行成績を上げているようなんで、一概に批判するつもりはないが、もっと往年の邦画にも思いを馳せて、そのエキスをしっかり吸収した作品も、もっともっと撮られたらいいと思うよ(;^_^A