神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

シュワちゃんの無秩序な「勧善懲悪」

 シュワルツェネッガーの往年の作品は好きだ。中でも『コマンドー』『トータル・リコール』『イレーサー』といった、“阿呆馬鹿筋肉アクション”が大好きだ(後、未見ながら『バトルランナー』も“同じ匂い”がするので食指が動く(;^_^A)。これらの作品は、『ツインズ』や『キンダカートン・コップ』のような最初からコメディーとして描かれたものではないが、結果としてシュワルツェネッガーの過剰なる演技と馬鹿馬鹿しいまでの残酷アクションによって、結果ブラックなギャグ映画に仕上がっているところが嬉しい。しかもどれも一応の予定調和・勧善懲悪で脳天気な作品ばかりで、安心して観られるのがよい(;^_^A

 そんなシュワルツェネッガーの“馬鹿アクション”の系列に入る『トゥルーライズ』を過日再見した。この映画は、シュワルツェネッガー扮する凄腕のスパイ・ハリーが、その身分を家族に隠しながらテロリストと戦う姿をコメディタッチで描いていて、劇中、彼の妻・ヘレン(『ハロウィン』のジェイミー・リー・カーティス!)が不倫していると疑ったハリーが、国家の秘密諜報能力を駆使して彼女を調査するなんて、馬鹿馬鹿しいシチュエーションもあったりする、文字通りの“バカ映画”である。

 そのクライマックスが、ソ連製の核弾頭によって米軍のペルシャ湾岸撤退を要求するテログループ「真紅のジハード」に拉致されたハリー夫婦が、逆にテロ軍団を壊滅させる、という展開になっていて、テロ軍団を撃破したものの、彼らの手によって起爆された核弾頭の閃光とキノコ雲を間近に観ながら、「ああ、洋上で良かった」とばかりに、キノコ雲を背景に熱いキスを夫婦で交わす、という「流石脳天気アメリカヾ(--;)」を彷彿させるシーンがある。

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 実は、今までこのシーンがラストだと思いこんでいたが、今回再見して、この後にもっと愉快な“本当のラスト”が存在することを知った。この後、ハリーは米軍のハリアー(何か駄洒落っぽい(;^_^A)に乗り込み、テロ集団のリーダー含む残党を蹴散らしにマイアミへ飛び、圧倒的な火力でビルに陣取るテロ組織のメンバーを惨殺した挙げ句、娘の救助と平行して、ハリアーの機体に飛び乗ったリーダーごと対空ミサイルを発射し、敵のヘリごと惨殺する、というお決まりの“残酷馬鹿アクション”を披露してくれている。

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 その勧善懲悪ぶり・爽快感は格別の快感なんだけど、いくらテロ集団とはいえ、米軍の不当な中東介入に抗議する、という真っ当な主張をする、我々と同じ有色人種であるアラブ人の集団を虫けらのように殺していく描写や、核兵器の閃光と爆風を浴びながら平気に振る舞う「核」に対する“加害者”故の無知さ加減には、後から尾を引くように違和感を覚えた。

 まあ、本来「娯楽の殿堂」であるべき映画は、そんな些末なディティールなんか無視して楽しむべきものなんだけれど、ある一定の“良心”は守るべき何じゃないかな、なんて感じてしまった。

 もっとも、かつて民主党の象徴とも言うべきケネディ家の姪と結婚しながら、安易に共和党支持者そしてその支援で加州知事になったくらい節操のないシュワルツェネッガーのことだから、致し方ないことなのかも知れないけれど……