神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

『こいのわ 婚活クルージング』~広島が映える熟年ラブストーリー~

 最近ハマりにハマっている『リンキング・ラブ』。金子修介監督がその前に撮影を開始して、結局封切り順は逆に後になってしまったのが、『こいのわ 婚活クルージング』だ。カープファンを自認する金子監督が、その地元・広島を舞台にした“大人の恋愛ドラマ”……ていうか、“大人を少し超えた熟年男”の「老いらくの恋」をコミカルに且つ切実に描いた作品だった。そうだった! 本当はこの『こいのわ』を先に観てから『リンキング・ラブ』に行こうと思っていたのに、結局(以下略)………(;^_^A

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 地元にいながら知りもしなかったのだが、広島では県を挙げて婚活が組織的に実施されているようで、それをテーマに本作は制作されることになったそうだ。しかも一筋縄ではいかないのが本作の特徴で、主人公の門脇誠一郎は御歳65歳のバツイチ男! おそらく「エディオン」を模したと思われる地元の大型家電量販店「KSエレキング」の創業者ながら、役員会で突如緊急動議によって取締役社長を解任されるも、数百億にも上る多額の資産を持つ大富豪という設定である。演じる風間杜夫は、ずっと“粋な青年”を演じ続けている役者、という印象が強かったが、実年齢はもう役柄よりも上の69歳なんだそうで……今までの理知的なイメージとはかけ離れて、何とも強情で口下手な“広島のオヤジ”を熱演していたよ(;^_^A 物語は、彼の2度目の伴侶を見つけるための婚活が中心に展開していくんだけど、誠一郎の秘書兼運転手・大丸役の八嶋智人を筆頭に、ヒロインの同級生にして恋敵となる綾香役の小橋めぐみ、花嫁候補の女医・美鈴役の白石美帆、“後妻業”の女・優子役の中山忍(『ガメラ』!)、婚活の現場で働く世話好きおばさん・宏美役の藤田朋子といった蒼々たるメンバーが、脇を固め、そして広島を舞台にコミカルな恋愛ドラマを彩っている。近年で“今”の広島を舞台にしたメジャーの映画としては、かの『サルベージ・マイス』が上げられるが、それ以上に圧倒的な美しさで広島の普通の街並みが、瀬戸内の風景が描かれていて、観ていて嬉しかった(;^_^A

 さて、誠一郎の相手役となるヒロインは東京の弱小出版社の記者として勤務する広島が地元の未婚女性・山本ナギなんだけど、演じるのは片瀬梨奈。こちらも設定35歳で実年齢も当時35歳と、まさにリアル年齢! そんな65歳と35歳がいがみ合ったりくっついたり、避け合ったり嫉妬したり、と「つかず離れず」の関係を保ちながら、誠一郎が企画した婚活クルージングをきっかけに急接近する、という展開で、ついに「不順異性交遊撲滅」とばかりに深夜の船内を監視して回った挙げ句、「ミイラ取りがミイラ」となって、思いがけず“交渉”を持ってしまう。そこへ何も知らない彼女の親友が、誠一郎への仄かな恋を告白して………という王道ストーリーがラストに向かって怒濤の如く突き進んでいく。

 同じ監督作品の『リンキング・ラブ』は、まさに“お伽噺”のようなノリで、主人公・美唯(田野優花)の未来の両親で、その当時から結婚まで意識しているはずの茂手木 健一郎(白州迅)と真塩由美子(石橋杏奈)の関係も“プラトニックラブ”の域を出なかったのに、本作では上記のように情交シーンも(そのものは映さないまでも)登場し、また老後の介護も将来相手にお願いしなければならない熟年男の苦悩・心配もストレートに描かれていて、何とも“生臭い”作品ではある。ただ物語は何とか収まるところに収まって、ややブラックな結末はあるものの、『リンキング・ラブ』と同様、予定調和なハッピーエンドを迎える。これまた王道の物語に仕上がっている。そうそう、『リンキング~』にも「ASG16」のセンターメンバーとして登場する未浜杏梨が、誠一郎の財産目当てで親から差し向けられる花嫁候補の一人として登場してたっけ(;^_^A それに広島作品だから、過去当方の“広島発ヒロインアクションムービー”シリーズに出演してくれた役者さんが、台詞・テロップのある役からエキストラに至るまで結構出演していたのがホント嬉しかったよ(^^)

 ところで、エンディングタイトルに「服部妙子」の名前を見つけてある感慨に囚われた。おそらくヒロイン・ナギの母親役だったと思うんだけど、この服部妙子は、「帰ってきたウルトラマン」のテロチルスの回(前後編)でゲストの石橋正次と絡む盲目の女性役で………否、77年に日テレの昼ドラとして放映された(タイトルも含めて)“超問題作“『犯される』で“文字通り”暴行を受ける主人公の団地妻・光子を演じたその人である(当時、本当に彼女が暴行魔から悲鳴を上げて逃げまどう番宣CMは真っ昼間から普通に流れていた!)。ちなみに暴行魔役はまだ“ギラギラ”していた頃の平泉征(!)。

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 かの服部妙子嬢は、今では御歳、風間杜夫と同じく69歳になってしまったらしいが、未だこうやって現役で映画に出続けていることが、とても喜ばしいことだ。尤も、平日の昼故決して観ることは出来なかったものの、私を含む当時の思春期の若者にとって、タイトルだけである種の「トラウマ」を植え付けられたかのドラマのヒロインだった過去は、思い出すだけで何やら頭の先がむずがゆくなってきそうな感慨に囚われる(;^_^A まさに「こんな所でお目にかかれるとは」って感慨かなヾ(--;)