神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

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『ランペイジ 巨獣大乱闘』~これぞリアル『大怪獣総攻撃』だ!~

 2001年に公開された『ゴジラモスラキングギドラ 大怪獣総攻撃』で、金子修介監督は、当初ゴジラに対抗する護国聖獣をバラン、アンギラス、バラゴンにする予定だったが、営業サイドの要望によりバラゴンのみ残し、バランとアンギラスを、モスラキングギドラにそれぞれ変えざるをえなかったのだそうである。今回この『ランペイジ 巨獣大乱闘』を観て、ふとそんなエピソードを思い出してしまったよ……というか、本作で18年前の金子監督の描いた夢が現実になったような作品だったね(;^_^A

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 宇宙空間で開発された、動物を巨大化させると共に、あらゆる動物の特徴(長所)も植え付ける遺伝子のサンプルが、事故により地表に落下し、それを浴びたゴリラ(ジョージ)、オオカミ(ラルフ)、ワニ(リジー)が怪獣化して、シカゴの街で暴れ回るってのが本作の内容なんだけれど、怪獣化した三匹の特徴は、まさに東宝特撮そのもの。オオカミのラルフは、ムササビの特性により前足と後ろ足の間に幕を広げて飛翔するし、ヤマアラシの特性により体中にハリのようなトゲを無数に生やしている(そしてそのトゲは敵に向かって撃ち出すことも可能。その容姿はまさにバラン(バラノホーダ)そのものだった。またワニのリジーも、尻尾は「アンキロザウルス」のような形状をしており(と語る劇中の台詞あり)、背中には剣山のようなトゲが所狭しと並ぶ。これはまさにアンギラスではないか! 共に原型がオオカミやワニであることを忘れてしまう位、完璧に"東宝"怪獣化していて、仮にレジェンダリーがバランとアンギラスを独自解釈でゴジラシリーズに登場させたら、きっとこんな姿になるだろうって思えるくらいの完成度だった。それでいて、アルピノで白いゴリラのジョージは、キングコングというよりは『コングの復讐』の"コングの息子"キコの様だから何ともややこしい。

 尤も、ストーリー展開の中では、電波によって3匹の怪獣を操ろうとしたり(『怪獣大戦争』?)、空と陸との違いはあれど、輸送中のゴリラが暴れ回ったり(『キングコング対ゴジラ』?)と、どこか往年の東宝怪獣特撮のテイストを兼ね備えており、当時のファンとしてはニヤリとさせられたね(;^_^A

 人間側の主人公として「人類の中で怪獣と互角に渡り合えるのは彼をおいて他にない」"ロック様"ことドウェイン・ジョンソン(最近すっかり売れっ子ですなぁ(;^_^A)が登場し、遺伝子学者・ケイトとタッグを組んで、親友のジョージを救うべく奔走する。そこに、最初は敵対していたが、その命を救ったことが縁で、彼らの強い味方になる政府の捜査官・ラッセルが絡み、違法の遺伝子研究で今回の事件の原因を作ったエナジン社経営者のワイデン姉弟を追い詰め、解毒剤を手に入れようとする。当初は憎っくきワイデン姉弟の暗躍によって、なかなか煮え切らないまま物語が進行していくが、ディビス(ドウェイン・ジョンソン)がラッセルを救い、その義理を果たすためラッセルが彼らを後方支援し始める辺りから、俄然テンポ良く「勧善懲悪」のストーリーが展開していく。ワイデン姉弟の“因果応報な”むごたらしい最期も、実にスカッとする小気味よさだ。ラストも、「こんな所、日本映画の真似しなくていいよ」って思うくらいな"ウェルメイト"な結末と思いきや、いきなり「これぞハリウッド!」って唸るくらいの、脳天気なハッピーエンドへと変化していく。そこがまたいいんだよなぁ(;^_^A

 気分的には一足早く『Godzilla: King of the Monsters.』を観てしまったような感じだが、楽しめる作品だったよ(^^)  それにしても、金子監督の撮りたかった原案の『ゴジラ・バラン・バラゴン・アンギラス 大怪獣総攻撃』の没怪獣バラン、アンギラスがこのような形で"復活”したのは何とも感慨深い(;^_^A

 ちなみに、よくこんな物語考えついたなぁって思ってたんだけど、実はこれって1986年にアメリカのミッドウェイゲームズ(この社名っていかんともしがたい(;^_^A)の開発した「RAMPAGE」ってゲームをベースにしているんだそうな。なるほど、道理でそれぞれの怪獣に名前があったってわけか……(;^_^A