神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

『BRAVE STORM ブレイブストーム』

 広告代理店としてスタートし、その後日本特撮ドラマの先駆けとなる『月光仮面』を筆頭に、数多の少年向け(特撮含む)ドラマを世に送り出した宣弘社。後発の円谷プロ東映(テレビ映画部門)が『ウルトラマン』『仮面ライダー』でメジャー人気を獲得するが、ややマイナーな感のぬぐえない宣弘社やピープロといった会社の作品も、逆にマイナーなるが故に個人的にはとても好きだった。

 さてその宣弘社だけど、世代的には『ガッツジュン』『シルバー仮面』『アイアンキング』『スーパーロボット レッドバロン』辺りを観てきた。そのうち『シルバー仮面』と『レッドバロン』を融合した作品が制作されるということで、その観賞を心待ちにしていた。そしてDVDながらこの度ようやく本作『BRAVE STORM ブレイブストーム』観賞が叶った(^^)

イメージ 1

 時は2050年、35年前に突如地球侵略を始めたキルギス星人によって人類は絶滅の危機に瀕していた。そこで春日5兄弟の次男・光二は父の開発した強化スーツを身に纏って「シルバー仮面」に変身し、星人の基地から侵略兵器・ブラックバロンの設計図を奪い出し、光三・はるかと共に2013年にタイムスリップ、彼らの祖父に当たるロボット工学の権威・紅健一郎の元に転がり込む。そこから健一郎の手によってブラックバロンを凌ぐスーパーロボットレッドバロンが開発されるが、その気配に気づいたキルギス星人先遣隊の魔の手が彼らに迫る、という形で物語が展開する。

 本作で特筆すべきは、全くの新しいストーリーながら、オリジナルの設定が“小ネタ”のように全編にちりばめてある点につきる。あいにく「光子ロケット」「SSI」は出てこないものの、「春日5兄弟」や「ロボット工学の権威・健一郎と操縦者・健の紅兄弟」、「チグリス星人」、「エイリアンを見分けられる特殊眼鏡」等々、オリジナルを知る者にとっては思わずニヤリとさせられる設定が目白押しだ。またオリジナル自体が共にどこか“トラウマ必至”のダークな雰囲気を持っていた故に、本作も近年の邦画にありがちな暗いトーンで描かれているが、その実オリジナルを凌駕するくらい、思いがけない“予定調和”な結末を迎えるのもすばらしい。それこそオリジナルで受けた“トラウマ”が癒されるくらいの展開だ。

 クライマックスの銀座→永田町にかけてのレッドバロンとブラックバロンの死闘は、監督のインタビューにもあったが敢えて白昼で繰り広げられている。これは、近年のハリウッド“KAIJU”特撮が決まって夜の暗闇の中で展開することに同様にストレスを感じていたので、実に爽快だった。しかも粗が目立ちがちな白昼でのシーンにも関わらず、CG特撮は十分観賞に堪えうるものだった。そういえばブラックバロンが登場する勝鬨橋のシーンは、てっきりミニチュア特撮と思っていたら、特典のCG合成映像で、これまたCGで撮られていたことを知った。“ミニチュアの質感を表現するCG”なんて何とも不思議だが……

 ちなみ本作はタイトルバックを除く尺は1時間15分程度。そんな時間枠でこれだけの壮大な地球侵略をテーマにした骨太なストーリーを描き出すとは……脚本と監督を務めた岡部淳也氏の才能は大したものだと思ったね。
 
 そんなわけで、出だしこそ重苦しく始まる本作だが、ドラマが展開するに従って“予定調和”なストーリーが怒濤のごとく突き進んでいく。とにかく本作は迷いなくハッピーエンドを信じて観ることに尽きる。ある種今時TVドラマでも珍しいくらい安心して観られる作品だから。

 ところで、オリジナルを知る世代にとって一番のシーンはラスト数分に待っている。それもそのシーンが終わった直後、キャストタイトルを観た時に初めて気づくだろう。「そうか、この映画は2作品だけのリメイクではなかった」ってね(;^_^A  

 それにしても、僅か数十秒だけの出演ながら、寺脇康文が一番“おいしい”役だったと思うよ(;^_^A