神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

延髄で楽しめ、『シャークネード4』!

 ホントアメリカ人は鮫が好きらしい。もっともこの兆候はスピルバーグの『ジョーズ』に端を発したのではないか、と思うが……そこで大量に生産された「サメ映画」を一同に介して、24時間ぶっ続けで放映するのが、ムービープラス恒例のの「サメフェス」。今年は『ダブルヘッドジョーズ』『トリプルヘッド(以下同文)』『ファイブ(~以下同文)』と“複数ヘッドジョーズ”シリーズ一挙公開や、『ロストバケーション』『ロボシャークvsネイビーシールズ』、果ては先の『ジョーズ』でも触れられている「巡洋艦インディアナポリス(広島長崎の原爆をテニアン島に極秘輸送した艦)撃沈」による、洋上生存者とサメとの死闘を描いた『パシフィック・ウォー』のような社会派に至るまで、まさに「これでもか」のサメ!サメ!サメ!のてんこ盛り! もっともこんなの嬉々として観ているのもどうかと思うが……

 そんな中で取り上げるのが『シャークネード4』。この映画は、大量のサメを伴った竜巻“シャークネード”と人類の闘い描くシリーズの一本である。こんな“おバカもここに極まれり!”といった荒唐無稽な企画がシリーズ化されていること自体驚きだが、おそらくシリーズ第4作であろう本作品は、その荒唐無稽さに極限まで突き詰めた感のある「やり過ぎ」映画だった。

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 このシリーズの世界は、何度も“シャークネード”に襲われているらしく、その危機に何度も救ったのが英雄のフィン・シェパード。しかし前回の闘いで妻・エイプリルを喪った彼は、アストロX社の天候安定システムによってシャークネードの危機を回避できるようになった(はず)の世界で、残された家族と共に平穏な暮らしを送っていた。しかし最後のシャークネード襲来から5年後、ラスベガス郊外で再び砂竜巻“サンドネード”が発生し、アストロX社の経営者が建てたサメをテーマにしたリゾートホテル内で大量に買われていたサメを飲み込み(そもそもそんなホテル何故建てた?)、強大なシャークネードと化して全米各地を襲う。その猛威には天候安定システムも通用せず、更に、グランドキャニオンの岩石を巻き込んで“岩石ネード”油田の石油を巻き上げて“石油ネードに“ファイヤーネード”、雷を巻き込んで“ライトニングネード”、果ては原子力発電所を襲って“ヌークリア(核)ネード”と、次々に恐ろしい属性を身につけ、もう“シャーク”なんてどうでもいいくらい、無敵の竜巻に変貌、アメリカは壊滅の危機を迎える。それにシェパード一家が団結して挑む、というのがこの作品のあらすじだ。

 近年、CG技術によって、どんな無茶なカットも安価で撮れるようになったことから、ストーリーも映像も「ここまでやるか」と思うくらいのハチャメチャぶり。おかげで複雑な人間相関図など、分からないというかどうでもよくなる。サメたちは情け容赦なく人間を次々食い散らしていくし、人間たちもサメから逃げているのかサメに向かっているのか分からないくらいの右往左往ぶり。それを薄っぺらいCG合成が何の間もタメもなく描き続けていく。きっとメジャーが大まじめに撮れば一大カタストロフィになるであろう物語が、何ともあっさりと、多くのユーモア・ギャグを降り舞えて展開していく。これこそまさに、“B級アメリカン”パワーのなせる技か(;^_^A

 ところで、この欲張りな映画には、前作で命を失ったフィンの妻・エイプリルが、マッドサイエンティストの彼女の父親によって無敵のサイボーグに改造される、という設定まであって、これがしっかりヒロインアクションしているところが、なかなか面白かったよ。しかもこんなコテコテの作品の中で、サイボーグの苦悩とか親子の絆といった、この手のキャラには欠かせない描写も律儀に挿入されていて、もうコップから溢れそうなネタてんこ盛りの作品だったね。それでいて各ネタがスカスカってのがいい。

 もう大脳は机の隅にでも転がしておいて、“延髄”で楽しむ映画だったね! それにしてもこんな映画を大挙して垂れ流すムービープラスって凄い!