インディペンデントの“聖戦”
先日のアサイラムじゃないが、アメリカにおいて『サメ映画』は実に多い。でもこの流れは何といっても1975年にスピルバーグがユニバーサルで撮った『ジョーズ』(JAWS)の大ヒットから始まったのは間違いない。そのため、その後「雨後の筍」の如く、今日に至るまで作られた有象無象の「サメ映画」は、全て『ジョーズ』の二番煎じ、ということになっている
また、かのロジャーコーマン御大は、『ジュラシックパーク』の公開前に『ダイナソー・クライシス』を、そして、ジョージルーカスの『スターウォーズ』(STARWARS)に対抗して『宇宙の七人』を制作(そしてマカロニSF『スタークラッシュ』を輸入公開)している。
こんなことを書くと、インディペンデント団体が、常にメジャーの“柳の下のドジョウ”を狙って、低予算B級“便乗”映画を粗製濫造している、そんなマイナスイメージを、つい抱いてしまいそうになる。けれども、元をたどれば、1970年代に上記の『ジョーズ』や『スターウォーズ』によって、それらインディペンデント団体の収入源であったB級SF・怪獣映画が、メジャーの手で取られることになった、つまりスピルバーグとルーカスによって、、メジャーがインディーの“シマ荒らし”をしたといっても過言でない事態がその背景にあると言っていい。つまりそれまでメジャーと棲み分けがされていたはずのインディーのテリトリーが侵されたことに対する自衛手段が、まさにメジャーの上前をはねるような二番煎じムービーたっだのではなかったのか。
元々は、コーマン御大がピーター・フォンダらと組んで『ワイルド・エンジェル』をAIPで撮ったのをきっかけに、メジャーで『イージーライダー』が撮られ大ヒットした(本当だったら自分が撮って儲けたはずなのに、とコーマン御大は酷くご立腹らしい)という例もあるように、本来インディペンデントはメジャー以上に独創的で先鋭的な映画を撮る世界であったらしい。まあメジャーと比べて自由度も高そうだし。
だから「サメ映画」を二番煎じと揶揄することなかれ! これもまたインディペンデントのメジャーに対するある種の“宣戦布告”みたいなものだから………Σ(゚д゚;)