神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

可憐に咲いて華麗に散った東宝特撮ヒロイン

 往年の東宝特撮映画のヒロインとしてまず脳裏の浮かぶのが「水野久美」「白川由美」「星由里子」といった面々(続いて「河内桃子」「浜美枝」「若林映子」「藤山陽子」「小林夕岐子」……さらには「根岸明美」「八千草薫」「前田美波里」「高橋紀子」「菱見百合子」「藍とも子」あたりも……)。そんな中、ゴジラ女優としても印象深い星由里子が、他の2人と違い、意外にも昭和期東宝SF特撮映画の出演は『世界大戦争』『モスラ対ゴジラ』『三大怪獣地球最大の決戦』の3本しかない。ただ『モスゴジ』に関しては、チャンピオンまつりや1978年『ドラえもん』の併映に始まって、TVでも度々放映されたので、その分だけ「星由里子=特撮映画女優」というイメージが定着してしまったのであろう。

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 私も、彼女の演技で一番深いのは『モスゴジ』の毎朝新聞キャメラマン・中西純子役だ。『世界大戦争』同様宝田明とのコンビで、ハッピー興業の熊山(田島義文)と互角に渡り合う気丈な振る舞いをみせたかと思うと、インファント島の件では、人類平和を高らかに語り、情に訴えてまんまと島の原住民からモスラの貸し出しに成功するしたたかさ(ドラマ上そんな意図ではなかったのだろうけど、核実験の脅威氏晒され続けた挙げ句に、被爆国でありながら文明国家である日本人のために余命幾ばくもない親モスラを差し出すインファント島民が、不憫でならなかった……)もみせ、幅の広い役を演じきっていたと思う。彼女の場合、ちょっとお転婆で行動的な姿の中に時折乙女の優しさ・弱さが垣間見られる……そんな役どころがいつも感じられて、実に魅力的だった。そんな芸風が、後に「若大将シリーズ」のマドンナ“スミちゃん”こと中里澄子役に活かされたのではなかろうか。

 また彼女は、「特撮映画に出演したことを“黒歴史”と考える女優」ではないか勘ぐったこともあったので、後に『ゴジラ×メカギラス G消滅作戦』に出演し、博士役を嬉々として演じた時には、晩年に『ゴジラvsデストロイア』に第一作と同じ「山根恵美子」役で河内桃子が出演した時と同様に、実に嬉しかったものだ。

 今まさに、過去の特撮作品がいろんな形で脚光を浴び、当時の出演俳優はどこでも引っ張りだこで大活躍をしている。そんな今だからこそ、件の星由里子女史にも、もっともっと活躍してほしかったな……合掌

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※映画の印象は『モスゴジ』だけど、スチールはやっぱりこれ! 今見ても改めて胸が締め付けられる一枚!




 映画「若大将」シリーズのマドンナ役などで知られる女優の星由里子(ほし・ゆりこ、本名清水由里子〈しみず・ゆりこ〉)さんが16日、心房細動と肺がんのため京都市内の病院で死去した。74歳だった。葬儀は親族のみで営む。後日お別れの会を開く予定。

 1958年、東宝の「ミス・シンデレラ娘」に選ばれ、翌年、映画「すずかけの散歩道」で女優デビュー。61年の「大学の若大将」で加山雄三演じる大学生の恋人・澄子を演じる。この作品はヒットしてシリーズ化され、「銀座の若大将」「ハワイの若大将」「エレキの若大将」など計11作の映画で加山と共演した。他にも、「世界大戦争」「モスラ対ゴジラ」「クレージーだよ 奇想天外」など、数々の東宝娯楽映画で美しいヒロインを演じた。

 後年はNHK連続テレビ小説あぐり」や「科捜研の女」などのテレビドラマへの出演、「2時のワイドショー」の司会など幅広く活躍。舞台「佐渡島他吉の生涯」では菊田一夫演劇賞を受賞した。16年には映画「校庭に東風(こち)吹いて」に出演した。