神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

日活アクションの王道フォーマット

 東映の任侠路線や実録路線が始まるずっと前、60年代映画産業華やかかりし頃の、俗に言う「日活アクション」のフォーマットは、本当に“予定調和”なパターン化された娯楽活劇そのものだった。

 例えばマイトガイこと小林旭の「渡り鳥」シリーズなど、さすらいの風来坊である主人公の小林旭が毎回どこかの街にたどり着けば、必ずそこには善良なる老舗の共同体があり、そこの気丈な娘は浅丘ルリ子。そしてそこには必ず共同体を食い荒らす邪悪な組織があり、そのリーダーは大抵金子信雄か安部徹。その愛人は決まってキャバレーの踊り子・白木マリ。またマイトガイを敵対視する宍戸錠演じるライバルも登場して、一時はマイトガイを窮地に陥れるが、何となく和解。やがて組織の横暴(配下の暴力団員を使って、店や倉庫への嫌がらせなど)に堪忍袋の緒が切れそうになった時、組織の徹底的な介入をきっかけにマイトガイやルリ子の怒りが爆発。結果、最終的にはマイトガイに荷担する錠の活躍もあって、組織のボスはあえなく射殺か“御用"となって、事件は解決。そのまま、マイトガイの風来坊はあてのない旅を始める、といったお約束のドラマ展開が、おそらく最終作であろう『渡り鳥故郷へ帰る』まで延々続けられた(同じくマイトガイの『流れ者』シリーズも、フォーマットはほぼ同じ)。

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 ところで、手前味噌ながら、「広島発ヒロインアクションムービー」シリーズ最新作の『女子高生戦士☆英あいり』を日活アクションになぞらえて説明するならば、キャバレーで歌姫ルリ子と踊り子マリがトラブルを起こし、マリのパトロン金子が、配下の暴力団員を使ってルリ子たちが経営するキャバレーに執拗な嫌がらせを仕掛ける。途方に暮れるルリ子の店に訪れたのが、風来坊のマイトガイ。そこでマイトガイから闘いのレクチャーを授かったルリ子が、再び嫌がらせに来た輩を、身につけた拳法で一蹴する、ていった感じのドラマに仕上がっている。というわけで、この作品は"80年代東映系ヒロインアクションドラマ"を超えて、極めて「日活アクション」の世界観が色濃く出ている作品となっている。

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 そんなわけで、キャスティングのネーミングも、悪役以外の男優の芸名は全て日活時代のマイトガイの劇中名を当てはめたし、女優の芸名も「笹"本"礼子」「芦"沢"いずみ」「浅"倉"ルリ子」「吉"木"小百合」と、全て日活アクション"パールライン"の女優陣の名をもじって命名した(;^_^A  まあ全ては"確信犯"だったわけだヾ(--;)

 今時、こんなことに拘る自主映画人はいないと思うけど、今時メジャーでもやらなくなったこんなノリを渇望していらっしゃる方もいるんじゃないか、って思って、これからもこんな作品も愚直に続けていきたいと思ってる(;^_^A