神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

苦悩するマイトガイ

 今広島で異様に盛り上がっている映画といえば、何といっても『孤狼の血』! 警察もとい「広島じゃけぇ、何をしてもえぇんじゃ!」といわんばかりのド迫力で席巻しているようだ。しかも「広島ムービー」とはいえども、舞台は一昨年の『この世界の片隅で』同様広島県呉市。同地で2011年、広島発ヒロインアクションムービー『特命探偵☆葛城アキ』を制作した身としては、呉市が脚光を浴びるのは嬉しい限りだ。いっそ、「今全国から注目を浴びている呉市ロケの活劇」ってことで、関東の方でまた『葛城アキ』を上映してくれないかなぁ(;^_^A  それにしても、今回は架空の年「呉原市」となっているけれどいっそ『県警対組織暴力』の時に使った「倉島市」にしてくれたらよかったのになぁ……あの時は呉市広島市がゴッチャになったような設定だったし……ヾ(--;)(ちなみに、『県警対組織暴力』の併映作品は、"矢代忍"こと我らが志穂美の悦っちゃんが"女多羅尾伴内"となって大活躍する究極のヒロインアクション『華麗なる追跡』!!)。

 ところで、その影響下で、現在日本映画専門チャンネルでは往年の東映実録映画が多数放映されていて、先週など、『沖縄やくざ戦争』『暴力金脈』『実録外伝大阪電撃作戦』『暴力金脈』といった、松方弘樹主演のダークでヘビーな3本が一挙連続放映されて、目眩がしそうになったが、そんな折、同じCSのチャンネルNECOでは、日活のマイトガイ主演「流れ者」シリーズが集中放映されていて、先日流れたのは『南海の狼火』。私が生まれる遙か前の1960年公開作品で、俗に言う"日活アクション"の逸品である。

 ここに出てくるマイトガイこと小林旭は、イカす若者で、クールな立ち居振る舞いの胸の内に熱い正義感をもった、爽やかなキャラとして描かれている。ヒロイン・浅丘ルリ子との儚い恋や、ライバル宍戸錠との葛藤を経て、悪の黒幕・金子信雄の悪事を鮮やかに暴いていく……そんなキャラを嬉々として演じているように見えて仕方がない。

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 転じて、同じブルーレイプレーヤーに録画した、その直近の『実録外伝大阪電撃作戦』を観てみると、ここでのマイトガイの役どころは、日本最大の広域暴力団「川田組」の筆頭若頭で、自分は直接手を下さず、部下を手氏足のように使って、跳ね返った弱小愚連隊を完膚無きまでに抹殺する、そんな非道な幹部を演じている。まさに「日活アクション」で彼が敵対していたはずの、金子信雄や安部徹辺りが演じていた悪の黒幕役を、ここでは己が演じている。先の『南海の狼火』から16年が経過し、細身の爽やかな青年然としたマイトガイも、すっかり肥えてヘアースタイルもオールバックで、変な意味での風格を湛えている。

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 しかしながら、黒幕として絶対的な権力を振るうマイトガイだが、その演技にはどこか躊躇というか苦悩のようなものを感じてしまう。きっと前述の金子信雄や安部徹あたりでは決して感じられない苦悩ぶりが……

 もっとも、苦悩はするけれど、決して情けをかけるわけでもなく、冷徹に松方弘樹を、渡瀬恒彦を、情け容赦なく抹殺するのも、"東映マイトガイ"の特徴である(;^_^A