神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

『バトルシップ』~思いがけない“大艦巨砲”!~

 昨晩『バトルシップ』を観た。公開当時は“大コケした映画”との印象が強く、それ故「怖いもの見たさ」で観賞したんだけれど、なかなかどうして、痛快な映画だったよ(;^_^A

 物語を掻い摘んで紹介すると…………NASAが生物存在の可能性のある天体にメッセージを送ったところ、それをきっかけに高度な文明を有したエイリアンが地球侵略に乗り出す。彼らの第一目標は、そのメッセージを発信したパラボラのあるハワイ・オハフ島周辺。折も折、近海では日米共同軍事訓練(リムバック)が実施されていて、件のエイリアン落下場所に一番近かった米駆逐艦2隻と海自のイージス艦みょうこう」が調査に乗り出すものの、エイリアンの電磁波によって、彼らはオハフ島と共に外界と遮蔽されてしまう。その後、エイリアンの攻撃によって「みょうこう」と米駆逐艦1隻は大破沈没するものの、最後に残った駆逐艦ジョン・ポール・ジョーンズ」に救出された日米の生き残りメンバーが、エイリアンの陰謀を打ち破るべく奮闘する、という話だった。

 エイリアンの目的は、自分の星に援軍要請の連絡を送ることなのだが、彼らの通信衛星は襲来の際に地球の人工衛星接触・大破してしまい、彼らは苦肉の策としてオハフ島のパラボラをその代用品として使用しようとするのを、如何に「ジョン・ポール・ジョーンズ」の面々が阻止するか、というのが最大のクライマックスとなるのだが、それに至るまでの艦艇による戦闘シーンや、知略を巡らした神経戦なども、盛りだくさんに描かれていて、実に楽しませてもらった。それも内容は至って単純で、荒唐無稽さや予定調和ぶりは否めないが、それ故面白かったといっていい。最初は圧倒的な力でとても太刀打ちできそうにないエイリアンたちと彼らの戦闘マシーン“バトルシップ”が、徐々に解明されるに従って、最後の方は通常兵器で破壊してしまう辺りのおおざっぱさも良かった(;^_^A

 しかしこの作品で一番“燃える”のは、3隻の軍艦が全て撃沈されたのち、他の艦艇が全くいなくなっていた真珠湾で、唯一鎮座する第二次大戦で活躍した戦艦ミズーリ(甲板で敗戦の調印をしたのが有名)を動かしてエイリアンとの最終決戦に臨むシーンだろう。近代兵器しか操作できず途方に暮れる生き残り達の元に、続々登場する元ミズーリ乗組員の退役軍人たち。彼らの協力によって、ミズーリは往年の雄姿を復活させて、観光用に停泊していた錨を断ち切って、太平洋の大海原に乗り出していく。このシーン、とにかく退役軍人たちの年は追いながらも武骨なたくましさにただただ感激して観てしまった。普段はアメリカの“退役軍人"にはいいイメージをもっていなかったが、この映画の中では別格、といっていい。しかも、最終決戦で、エイリアンの超大型バトルシップに対して、日本海海戦のにおける郷平八郎司令官の作戦「敵前大回頭」かくやと言うべき奇策を駆使して、主砲の一斉攻撃によってバトルシップを撃沈するシーンは、まさに手に汗握るシチュエーション! こんなところで往年の"大艦巨砲"主義が花開くとは、思ってもみなかったよ(;^_^A

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 ハリウッド映画の中で一人気を吐くナガタ一佐こと浅野忠信の演技も、従来の醒めたようなとぼけたような芸風はなりを潜め、沈着冷静ながら情熱を内に秘めた役を好演していたと思う。ここら辺も物語に忠実な、ストレートな演技だったと思うよ(^^)

 もっとも、そんな本作がコケた理由もわからなくはない。エイリアンの来訪の意図や、戦闘の意思がないものには攻撃を加えない理由が今ひとつ明確ではなかったり、最初は圧倒的だったエイリアンが、徐々に解明されていくにしても後半やけに弱くなったりなどなど、都合良すぎる展開も若干鼻につく。しかしながら、この映画がB級作品ならば十分許される訳で……CGを含め超A級の体裁で作られていながら、内容はB級テイスト、という部分が受け入れられなかったのではないか、と推測する。だから観客は「期待を裏切られた」と思ったんじゃないかな?
 
 でもそんなA級体裁に目をつぶれば、実に楽しい、そしてある種"欲張り"な映画に仕上がっていたと評価したいね(;^_^A