神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

『コング髑髏島の巨神』  ~かくしてコングは島に留まる~

 『コング 髑髏島の巨神』をついに観賞。レジェンダリー版“チャンピオンまつり”の一翼を担う作品だけに期待はしていたんだけれど、やはり「GODZILLA」と違って「KONG」は元々ハリウッド“原産”なんで、今までの“KAIJU“感が一気に薄まるのではないか、と懸念していたが、どっこいしっかり“カイジュウ映画”していたよ(;^_^A

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 物語は過去のコング映画同様、先ずは地図にない秘境の島(髑髏島・スカル島)の発見から始まるが、時代設定がベトナム戦争終結時、しかも島を発見したのが人工衛星のランドサットってのがやけにリアルで嬉しくなってくる。しかもその前に前説があって、遡ること太平洋戦争の末期に、この島に不時着した日米パイロットが、その使命感から死闘を繰り広げているところに、コングと思しき影が迫って来るというオープニングにはワクワクしてしまう。

 やがて件の髑髏島に調査団が上陸することになるんだけれど、そこに『GODZILLA』にも登場したモナークの関係者がいたり、その間にも過去怪獣(ゴジラ?)の出現を匂わせる台詞があったりと、細かいところまで「レジェンダリー版“チャンピオンまつり”」に律儀な小ネタが散りばめられていて、思わずニヤリとさせられる。こういう共通の世界観って、虚構の物語のシリーズには重要なことだ(例えば、『地球防衛軍』と『宇宙大戦争』には、役者は異なれど「白石江津子」が登場するとか、『ゴジラ対メカゴジラ』と『メカゴジラの逆襲』には連続して大門正明が出演してるとか……)。

 コングの登場もセンセーショナル! いきなり“問答無用の巨木投げつけ”から、あっという間にベトナム戦争を生き抜いた猛者のヘリ部隊を完膚無きまでに全滅させてしまう。何かヘリコプターに対して激しい憎悪を抱いているかのように……もしかして本作はジョン・ギラーミン版『キングコング』ラストへのオマージュというか“落とし前”だったりして(;^_^A このあまりにも激しすぎる大虐殺に、とてもコングが人類の側に立つなんて、考えられなかったけど、結局は島の原住民の守り神だったりするから、凄い展開だ。

 ところで、よくギラーミン版で指摘されていたのは、スカル島に大蛇以外のモンスターが登場しないということ。しかし逆にピーター・ジャクソン版は、CG効果も相まって、モンスターがうじゃうじゃ出るし、その残虐極まる人体破壊には正直辟易した。それでいうと本作はピータージャクソン版に近いんだけど、あそこまでどろどろ殺伐とはしていなかった。尤も最大最悪のモンスター・スカルクローラーや、『ジュラシックパーク』のヴェロキラプトルに匹敵する、成りは小さいが狡猾でどう猛な翼竜・サイコバルチャー辺りの殺戮ぶりは、観ていて気分が悪くなってしまったけど。

 それにしても、本作では人間が虫けらのように無駄にどんどん殺されていく。その際たるものは、ヘリ部隊のコール大尉の“死にっぷり”で、自らの命を犠牲にしてスカルクローラーを葬り去ろうと、爆弾を抱えて敢えて食われようする捨て身の作戦に大見得切って挑むんだけれど、あろうことかスカルクローラーに、長い尻尾で払われて遥か向こうへはじき飛ばされ、哀れ岩壁に激突してあえなく爆死するという、まるで漫画のような無駄死にぶりを晒してしまう。そんな中、冒頭に登場した元米パイロットのマーロー元中尉が、「母国に帰って妻とまだ見ぬ息子に会いたい」「ビールを飲みながら地元シカゴカブスの試合を観戦したい」等々、目一杯の“死亡フラグ”を立てまくりながら、結局奇跡的に帰国してその夢を果たすのは、なんだか“邦画的良心”をハリウッドムービーながら感じてしまったよ(;^_^A

 そういえば、劇中、大河で傷を癒やし水を飲むコングを、突如大蛸・リバーデビルが襲うんだけれど、これって噓か誠か『キンゴジ』のファロ島の大蛸へのオマージュなのだそうだ。またメインキャラのスカルクローラーさえ、RKO版初代『キングコング』で、コングの難を逃れて崖の穴に潜んだドリスコルを襲う、等身大の“後ろ足のないトカゲ”のリメイクとして登場したらしい。あんなマイナーなキャラが、メインのピン怪獣として甦るなんて、何とも小気味よい話じゃないか(^^)

 結局、物語は、生き残ったメンバーが救助されて終わる、という、『ジュラシックパーク』シリーズのような結末を“一応”迎えるんだけれど、思うに、過去のコング映画で、コングが島から連れ出されなかったのは、本作が初めてではなかろうか(東宝特撮の『キンゴジ』や『キングコングの逆襲』さえも、コングは島から人間たちにさらわれる)。そう思うと、もしかしたら、この作品は、コングの息子が登場し原題も『Son of Kong』である、1933年版『キングコング』の続編『コングの復讐』のリメイクっていう“裏設定”があったんじゃないかな。そういえば、今回のコングは両親を殺された青年のコングって設定だったし……

 何はともあれ、CGを駆使したダイナミックな映像はさすがハリウッド、って感じだったけど、東宝特撮ファンの感性にも十分応えうる、面白い映画に仕上がっていたと思うよ(;^_^A

 エンドロール後の“オマケ映像”はいささかわざとらしくて「やり過ぎだろ」って思ったけど、その三大怪獣が登場する新作も、もう撮影は終わってるんだそうだね!