神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

貴方は「ベラ・ルゴシ」!

 最近家族は『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズにハマっていて、ジャック・スパロー役のジョニーデップにご執心だ。でも、私の中でジョニー・デップ出演映画中、未だに一番好きなのは、かの“世界最低の映画監督”エドワード・ウッド・JRの半生を描いた作品『エド・ウッド』である。

 憎めないけど、撮り上げた作品のみならず、性格や所作に関しても“サイテー”なエド・ウッドが、それでも映画を撮ることをこよなく愛するが故に、周りを巻き込んでいく“サイテー”ぶりを発揮してしまう、というパラドックスな展開に共感を抱いたものだった。私もインディーズながら、何としても映画を撮りたくて、その過程で周りに不義理のしっぱなしだったことを痛感しているだけに、彼の所業が何とも切ない。そんなエド・ウッドのナイーブな心情を、件のジョニー・デップは見事に演じきっていたと思う。昨今のジャックスパローのような威勢のいいハッタリヒーローの方が違和感があるくらいだ(;^_^A

 そんな『エド・ウッド』において、これまた往年の栄光にすがる落ちぶれた怪奇俳優ベラ・ルゴシエド・ウッドの交流が何とも微笑ましく、自分も若い頃、こんな年配の仲間がいてくれたらなぁ、なんて羨ましく思ったりする。この怪優ルゴシを演じたマーティン・ランドーの枯れた演技は実に良かった。私も本物のベラ・ルゴシの、あのアクの強い顔は映像やスチールで十分知っていたので、スチールで見る限り、マーティン・ランドーのルゴシには違和感を覚えたが、実際作品を観ると、まさに“ルゴシ”だった。中でも、『怪物の花嫁』で、自分の研究所を尋ねてきた科学者に自分の境遇を語るシーンは、カット割りや画角まで忠実にオリジナルを再現していたとはいえ、まさに劇中のルゴシの演技そのものだった。確か彼はこのルゴシ役で、その年のアカデミー賞助演男優賞を獲得したと記憶している。

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 巷ではマーティン・ランドーといえば『スパイ大作戦』のローラン・ハント役が有名らしいが、私の中ではやはり怪奇俳優ベラルゴシを熱演した『エド・ウッド』につきると思っている。そう考えると、彼の逝去がかのモダンホラーの旗手ジョージ・ロメロ監督の死の前日だったことは、何とも象徴的だ。これはSFホラー界にとって大いなる損失だったのではなかろうか……合掌


 マーティン・ランドー氏(米俳優)米メディアによると、15日、合併症のためロサンゼルスの病院で死去、89歳。

 ニューヨーク出身。風刺画家から演劇に転身し、ヒチコック監督の「北北西に進路を取れ」(59年)に出演。66~69年に日本でも放送されたテレビドラマシリーズ「スパイ大作戦」の変装名人ローラン・ハンド役で人気を博した。「エド・ウッド」(94年)で落ちぶれた俳優ベラ・ルゴシ役を演じ、アカデミー賞助演男優賞を受賞した。(2017/07/17-13:03)