完全無欠の女性ヒーロー
私感ながら、我が考える“ヒロインアクション”の定義は、「敢えて女性にアクション“ヒーロー”を演じさせる以上、フィクションなまでに『完全無欠に強いキャラ』として描かなければならない」っていうものだ。それ故、なまじヒロインを危機的状況に陥れて、女性の身体能力そのままに、屈強な男たちに蹂躙させるような(ようは「ピンチ」に陥れるような)“ヒロインアクション”は“ポルノ”に過ぎない、と考える。だから、アクションのドラマツルギーに「主人公の成長」があるといっても、また連続ドラマ化すると一概に強いヒーロー描写ばかりでは困るといっても、やはりヒロインは「完全無欠なヒーロー」でなければならない、って部分には拘るね。
その点、顔見せ程度の出演シーンとはいえ、『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』におけるワンダーウーマンの完全無欠な闘いっぷりは、タイトルに名だたる2人の男性ヒーローを明らかに凌駕していた。大地を裂かんばかりの奮闘ぶりは40年近くの“ブランク”を補って余りある活躍だったよ(;^_^A
そう言えば、初代(正確にはパイロット版に続く2代目)のリンダ・カーター嬢演じるところのTVドラマ版『ワンダーウーマン』は、プロトタイプながら、スーパーヒロインという名は余りにもふくよかで女性的で、しかも現在に繋がる露出度の高いコスチュームに身を包んで、且つ彼女の肉体からは想像もつかないようなパワーを炸裂する、という、後の斉藤由貴版「スケバン刑事」に代表される80年代東映系ヒロインアクションのテイストも内包した、それはそれで素晴らしすぎるヒロインアクションドラマだった(;^_^A
今回のカル・ガドット嬢は、ミスイスラエルの栄光に輝く女優ながら、実際に徴兵されてイスラエル兵として従軍した過去を持つ、筋金入りの“女性ヒーロー”だ。今回公開される『ワンダーウーマン』では、そんなイスラエル(ユダヤ)人の彼女が、第2次世界大戦を舞台に、ナチスドイツ軍を蹴散らしていく、という『イングロリアズバスターズ』もかくや、と思うぐらいの“因縁ファイト”を展開するらしい。近年のイスラエルによるアラブ人に対する非人道的な所業を見聞きするにつけ「ホロコーストの悲劇を“逆”に忘れたのか」という不快感を覚えてしまうので、このイデオロギー的な側面は敢えて意識しないように考えるとして、それでも彼女には完全無欠な強さを、スクリーン上で魅せてほしいと願っているよ(;^_^A