神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

B級娯楽としての『激突!』

 久しぶりにスピルバーグの『激突!』を観た。尤も初見から今まで何度も何度もTV放映され、それを何度も何度も観てきたから、久しぶり、といってもストーリーは全て織り込み済みだ(;^_^A

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 さて、この作品でスティーブン・スピルバーグ監督はその評価を上げ、後に『ジョーズ』でメジャー監督の足がかり(厳密に言えば『続激突・カージャック』から)を掴むのだが、本来テレフィーチャーとして制作されたこの『激突!』が、さも映画史に残る超問題作としてもてはやされることに、今回観てなんだか違和感を覚えた。

 確かに、普通乗用車と古びたタンクローリーだけを使って、あれだけのサスペンスフルな映画を生み出すスピルバーグの能力には今でも舌を巻くが、改めて観ると、そこまで持ち上げて“神格化”するべき作品だったのか、甚だ疑問に思った。むしろ上質のB級娯楽映画といえるのではないか、と。

 スピルバーグの計算された演出も、どちらかといえば“自主映画的な凄さ”であり、その次元で論じるならば評論家受けする映画なんだろうけど、この作品に事細かな映画技法的理論を持ち込んであれこれ考えるより、ただただドキドキハラハラしながら手に汗握って観ればいいんだと思う。そんな目的で撮った作品に、監督が独自の作家性を折り込んだに過ぎない。あたかも黒澤映画を論じるような感性で本作を語るのはちょっと見当違いなような気がする。何か皆、この『激突!』と特別視するけれど……本当に『土曜映画劇場』(←これ分かります?)の枠が似合う映画だといえる。

 肩肘張らず、素直に楽しんでこそ、この手の映画は輝きを増すような気がするね(;^_^A