神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

「二枚目」と「麗猫」の粋なカップル

 かつてテレビ界でテレ朝の「土曜ワイド劇場」と日テレの「火曜サスペンス」が2時間ドラマの双璧だった時代、しばらく「ウルトラ」他少年向け怪獣特撮ドラマから離れていた円谷プロダクションが、それぞれの枠内で独自のサスペンスドラマを制作していた。主に雰囲気は「怪奇大作戦」「恐怖劇場アンバランス」風味の作品ばかりだったが、そんな雰囲気がCM界から飛び出した「映像の魔術師」こと稀代の演出家・大林宣彦監督との相性もよかったのか、彼の演出による2本の2時間ドラマを制作している。共に「火曜サスペンス」の枠で放映された『可愛い悪魔』と『麗猫伝説』が、この度、日本映画専門チャンネルの「24時間丸ごと 映像の魔術師・大林宣彦」の枠で22日深夜から放映されるのは、映画と違いなかなか鑑賞の機会に恵まれない往年のテレビドラマ故、実に意義深い。

 そんな中で、とりわけ気になっているのが『麗猫伝説』。まだ未見ながら、入江たか子・若葉親子が共演ってのが凄い(;^_^A  何を隠そう、入江たか子こそ、かつて邦画界で一世を風靡した(そして最下層のゲテモノ映画と揶揄された)「化け猫映画」の第一人者女優であったからだ。

 この「化け猫映画」というジャンル。非業の死を遂げた主人公が化け猫となって超人的な能力を有し、憎っくき悪党を翻弄し敵を討つ、というフォーマットで撮られてきたジャンルで、日本におけるヒロイン三極のうちの一つ「悪女(ヴァンプ)」から派生した、ヒロイン像である。そんな世界で活躍した彼女が御年72歳になって、再び「化け猫」として出演したのが、このテレフィーチャーだったりする。しかも本作で娘の入江若葉と“二人一役”をするって言うんだからたまらない(;^_^A  『待合室 -Notebook of Life-」(2006)における寺島しのぶ富司純子の“二人一役”に遡ること23年前に、すでに実現していたっていうんだから驚きだ。まさに「化け猫魂継承」の瞬間だったと言える(;^_^A

 この『麗猫伝説』の同年、入江たか子は同じく大林監督の『時をかける少女』に出演、主人公・芳山和子の友人・深町一夫(高柳良一)の祖母という設定で、上原謙との老夫婦役を何とも切なく演じ切っていた。それにしても、稀代の二枚目俳優として邦画界の表舞台で大活躍してきた上原謙と、「化け猫女優」として邦画界の最下層に位置していた入江たか子を夫婦役で共演させるとは……まさに大林監督らしい“粋なキャスティング”といえるのではなかろうか……(;^_^A

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