黒木特佐は“悪の華”
『女囚セブン』に於ける“悪党の親玉”こそ、内藤法務大臣なのだが、表向きは“庶民派”を標榜し次期総理大臣の呼び声も高いが、その裏では極悪非道の限りを尽くす、といったキャラが、どこやらの与党議員を彷彿させるくらい強烈で、恰好の悪役ぶりである。演じる高嶋政伸も、最近は、いかにも偽善者的な“オリエンタルスマイル”と共に、すっかり悪役が板についてきて、彼と香川照之がドラマに登場するだけで、すぐに「あ、こいつが悪の黒幕だな」って思ってしまうもの(;^_^A

しかしながら私が持つの高嶋政伸のイメージは、何といっても『ゴジラvsビオランテ』に登場した、スーパーエリート幹部・黒木特佐だったりする。当時兄の政宏が同じ東宝配給の『ヤマトタケル』や『ジパング』で主役を張っていた頃、まだデビューして間がないながらこの役に抜擢されて、しかもなかなかの好演だったと記憶している。
この黒木特佐、防衛大を主席で卒業した秀才であり、ゴジラ迎撃の命を受け、いきなり部隊のトップとして現場に登場する。上田耕一演じる山地統幕議長ら“小姑”のような古参自衛隊幹部の皮肉をものともせず、冷静な分析力と非情な決断力によって、ゴジラ掃討に全力を傾ける。

「勝った方が我々の敵になるだけです」
「私の仕事は敵に勝つか、負けるかです」
「私の仕事は敵に勝つか、負けるかです」
台詞も秀逸である。
こんな黒木特佐の“独断独行”ぶりや、全てを知り尽くしたような、古参幹部を手玉に取った鮮やかな実行力は、あたかも『女囚セブン』の神渡琴音を彷彿させる。それが今やそんなキャラの主人公の敵役なんだから……隔世の感があるね(;^_^A