神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

『女囚セブン』ラストは陳腐な“メロドラマ”に……

 ようやく気持ちが整理ついたので、改めて一昨晩の『女囚セブン』最終話について……

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 元来私がこのドラマに惹かれたのは、何といっても最近にない、昭和のB級アクション映画・ドラマにあった外連味溢れる展開だった。特に剛力彩芽演じる主人公・神渡琴音の、それこそ『0課の女 赤い手錠』の杉本美樹や、映画版『子連れ狼』の若山富三郎の演技を彷彿させるような“完全無欠”ぶりにあった。ドラマ自体も、昭和のドラマにあったある種強引すぎる“予定調和”“勧善懲悪”なストーリーでよどみなく、大いに楽しませて貰ってきた。

 しかしながら最終回直前の第7話で「あれれ?」っていった感じの展開になり一抹の不安を感じていた。あれだけ完全無欠ぶりを誇っていた琴音が、悪い意味での“予定調和”な悪党の罠に馬鹿馬鹿しいくらい簡単にはまってしまう展開、狼狽する“らしくない”姿をさらした上に、他の6人に支えられるという情けない状況を迎えるに辺り、「これでいいのか」とドラマを観ながら自問自答したものだ。

 それでも。最終回の予告に「女囚脱獄」「女囚vs総理大臣」の文字が踊り、琴音自身も最後の切り札だがある云々と語るシーンもあったので、さぞやラストは、前回のもやもやを払拭してくれるパンチの効いたストーリーになると期待していたんだけれど……実際には思いがけない「メロドラマ」の羅列で、言葉を失ってしまったよ………

 まだ放映されて3日も経っていないので、ネタバレしないようにするのが大変ながら……最終話は琴音をはじめ収監中の同房女囚6人がまんまと花園刑務所を脱獄するところから始まる。そこで彼女らは先に出所した元同房の楠瀬司(山口紗弥加)と合流し、かねてから計画していた、諸悪の根源である次期内閣総理大臣筆頭の自衛党・内藤法務大臣高嶋政伸)との対峙をめ目指すのだが、そこで他の6人の女囚&元女囚が、琴音のために“捨て石”になるストーリーが控えていて、そんな“無駄死に”な展開がまず愉快ではなかった。しかも、その“無駄死に”のシーンで、メンバーの抱えるそれぞれの「メロドラマ」が始まってしまい、明らかに画面で“作戦”の意思表示をした矢島千鶴香(橋本マナミ)以外、この陽動作戦が計画的なのか、メンバーの勝手な行動に寄るものなのか図りかねる展開で、現状が琴音にとってチャンスなのかピンチなのか分からない状況は正直辟易したね。しかも、前回に匂わせていた“最後の切り札”も、すでに内藤側の手に奪われていて、こんな手詰まりの状況でクライマックスを迎えるのかと思うと、暗澹たる気持ちになってしまったよ……

 そして、仲間の貴い犠牲の果てに(この展開は嫌い……)、遂に本丸・内藤法務大臣の許まで到達するのだが……そこに至る直前、何故か自衛党のVIPしか入れないはずの場所で、彼女は育ての親の女将・一条と出会い、前回司が手に入れた内藤の唾液のついたコップから入手したDNA鑑定のデータを受け取るんだけど、これが別の意味で“最後の切り札”になるという期待よりも、おそらくうすうす感づいてはいたものの、このハードな物語世界を一気にぶち壊してしまう恐ろしい展開が内包されているんだろうと思いうと、まずます残念な気持ちになってしまったね……

 琴音を前にして精一杯粋がる内藤だったが、琴音から“切り札”のDNA鑑定を観させられると、途端彼女の前にひれ伏して嗚咽も漏らす。一番観たくなかった展開だ。しかも、その直後の場面で最初に高笑いをするのは琴音の方。このDNA鑑定が何を意味したのか“ネタバレ”したくないので表現が難しいんだけれど、いずれにしても、ここで先に高笑いをするのは、今までのストーリー展開からいって、内藤の方でしょう! 絶対的なデータを観させられても、開き直って「もはやこれまで!」と狂気に走らなきゃ真の悪役とはいえない。しかも、ここから、「実は内藤も昔は清廉なる志を持っていたのに、正解のどす黒い荒波にもまれ、致し方なくこんな酷い所業をせざるを得なかった」っていう、絶対やってはいけない“禁じ手”の展開が始まり、「実は内藤もいい奴だったんだ」って思わえてしまうラストの「メロドラマ」ぶりには、心底失望したね。じゃあこの『女囚セブン』って何だったの? こんな陳腐なラストを観させられるために、今までこのドラマを支持していたのか、って思うと泣きたくなたtね。折角現政府とドラマとをクロスオーバーさせるテレ朝の骨太な社会派ドラマだと思って応援していたのに……まだ確認してはいないけど、ラスト2話は脚本家が別で、妙な“忖度”をしたんじゃないか、って勘ぐりたくなるくらいだったよ……

 最後まで完全無欠を貫いてくれたら、主演の剛力彩芽にとっても、新境地を切り開く意欲作になったはずなのに……最後の彼女の表情は「アンビリ」のMCと余り変わらなかったよ……番組終了後の、打ち上げの花束を貰う主要キャスト(高嶋政伸まで!)の“素”の表情も、このドラマを興ざめさせるのに十分な“演出”だったね……