拓三は2度鋸に引かれる……
過日、思いがけない形で、とうとう、かの『徳川女刑罰絵巻 牛裂きの刑』を垣間見てしまった! 決して予告編でもなく、またyoutube上によくUPされているオープニングタイトルテロップでもない。だから、中盤の“牛裂きの刑”も観てしまった。本当に牛で八つ裂きだった。
猛り狂う黒牛と泣き叫ぶ女囚の小刻みなカットバック。潮路章演じる長崎奉行がまさに「酒宴の余興」よろしく酒を煽りながら刑執行の命を下すやいなや、鞭を入れられた牛の疾走と共に、引き抜かれる女囚の足、そしてそこから連なる、ずるずる引き出される内蔵の描写……まさに予想通り、というか予想を超えたグロテスクさだった……
映画のラストに用意されていた、川谷の拓ちゃんの鋸引きの刑のシーン。本当に血飛沫巻き上がる凄惨極まりない斬首のシーンだった。しかも、彼の首が完全に胴体から切り離されたと同時に映画はエンドを迎える。この凄さ……さすが牧口雄二監督の面目躍如、といったところだろうか……もう二度と観たくないくらい強烈な映画だ。
ところで、拓ちゃんこと川谷拓三は、本作以外にもこの稀なる「鋸引きの刑」を劇中受けていたことが判明! それは1978年放送のNHK大河ドラマ『黄金の日々』。ここで拓ちゃんは火縄銃で信長を撃とうとした逆賊・善住坊として登場。捕らえられ晒されて、またもや鋸引きの刑へ。ここでもかつての仲間であったお仙に泣きながら竹鋸を引かれ、やはり絶命する。
川谷拓三の武勇伝は枚挙に暇がないが、この「劇中『鋸引きの刑』に二度晒された」という事実も、彼の燦然たる“勲章”の一つとして、いつまでも記憶にとどめたいと思う。