神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

本当にホラー映画のせいか?

 かのクエンティン・タランティーノ御大絶賛のホラー『血のバレンタイン』。昨日、行きつけのレンタルショップの“毎週金曜日旧作レンタル料105円”を当て込んで借りに行ったところ、生憎その店にはなく……結局ネットを検索して、その断片的なものを観賞したんだけれど…………流石タランティーノが思い入れているだけあって、かなり過剰なホラーだったよ……

 この物語は炭坑町が舞台で、丁度バレンタインの日に落盤事故で生き埋めになった男が、あろうことか仲間の肉を食らって生き残り、その結果精神を病んだ上に「バレンタインを祝う奴らは許せない!」とばかりに、ガスマスク姿の出で立ちで、バレンタインに浮かれる若者たちを片っ端から凄惨な手段で犠牲にしていく、という、典型的な80年代ホラーの逸品だ。中でも、当のタランティーノも絶賛な、ガスマスク男が廃坑に来た娘を散々ねちっこく脅した挙げ句、いきなり顔をつかんで宙づりにし、とがった水道管に後頭部(延髄辺り)を突き刺して絶命させる、というシーンには、心底唖然とさせられたよ………まさに“悪趣味”の極致だ……

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 ところで、よく犯罪者がこの手のホラー・スラッシャー映画の影響を受けて殺人に及んだ等とうそぶけば、たちまちホラー映画は激しいバッシングの嵐にさらされて、下手をすれば上映・放映・DVD発売禁止に憂き目に遭ってしまう。しかし、それを認めてしまうと、世の人間はみなその該当のホラー・スラッシャー映画を観れば一応に殺人鬼になる、ということになる。当然そんなことはあるわけないのだし、こんなの犯罪者に言い訳以上の何ものでもないはずだ。取調官が「馬鹿!甘ったれるんじゃねぇ」と頭の一つも小突けばそれでおしまいの話なんだよ。

 翻って、かの「ポケコンGO」に夢中になって運転中も操作し、その挙げ句に前方不注意で歩行者を轢き殺してしまった場合はどうか? このケースはホラー・スラッシャー映画の件とは裏腹に、間違いなく「ポケモンGO」がなければ、被害者は命を落とさずにすんだはずである。加害者の無謀な不注意はあっただろうが、そもそも「ポケモンGO」がなければ起こりえなかった事故だ。でもこれをきっかけに「ポケモンGO」の使用や販売の中止という事態がホラー・スラッシャー映画の自粛のように起こらないのは何故か。マスメディアのバッシングが起こらないのは何故か?

 それはひとえにナイアンティック(米企業)とホラー配給会社の企業的規模、マスメディアへの影響力によるものだろう……だから、これから先「ポケモンGO」のせいに何人の命が奪われようと「ポケモンGO」はなくならないだろうし、どっかの馬鹿野郎が殺人の動機をホラーのせいにして言い訳する限り、ホラー・スラッシャー映画は言われなきバッシングを受け続けていくのだろう………

 やっぱりおかしいだろ!
※内容に一部誤表記があったので訂正しました。