神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

“非リアル”なヒロインアクションを描くには……

 映画界の金字塔『ベン・ハー』の、中でもクライマックスの四島馬車レースシーンにはいつ観てもただやだ圧倒される。まさに本物の迫力。今のようにCG技術が存在しなかった1950年代故、本物を作らざるを得なかった、というのが実情だろうか、そのおかげで現代に古代ローマが蘇ったような、こんな凄い映像を観ることが出来たのだから、本当に当時のハリウッド映画人の心意気に感謝感謝である(^^)

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 その点、『三丁目の夕日』などは、これと全く逆のベクトルで、同じように昭和30年代の東京をリアルに描き出しているが、この技術の行き着く先は、実写のアニメ化……というか“実写”という概念自体希薄になっていき、役者も単なる“画像データ”の一部になってしまうだろう。いずれはゲームのような映像の進化したものが、映画の主流になっていくかもしれない。

 そんなことを危惧するからこそ、特撮フルCGの『シン・ゴジラ』よりも特撮とCGのブレンド具合が最高な“平成ガメラシリーズ”や『ゴジラモスラキングギドラ大怪獣総攻撃』辺りに思いを馳せてしまうのだろう。

 しかし、こと“ヒロインアクションムービー”という視点で考えると、現在の技術向上は追い風であるといえる。特殊効果に頼らない生身のアクションとなると、やはり男同士のものに軍配を挙げざるを得ないし、元来“瞬発力”という点では男性より非力な女性にとって、アクションそのものにリアルさが乏しい。志穂美悦子武田梨奈のようなアクション女優は例外中の例外で、せいぜい過去の女囚映画やズベ公映画に於ける、素手かせいぜい匕首を振り回しての“キャットファイト”ぐらいしかあり得なかったもののだ。

 だが、昨今のワイヤーアクションやCG技術によって、リアルではない世界観を構築することが可能となった。そこでリアルなアクションというよりも、異空間で荒唐無稽なヒロインのアクションを技術を駆使して創り上げることが可能となった。ある時はサイボーグ、ある時は未来の強化スーツに身を包んだ戦闘少女、そしてある時はセーラー戦士と、彼女らが生身の人間とは異なるスーパーヒロインであることを容易に観客に視聴者に納得させられるようになっていった。

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 それは私が常々提唱している「虫も殺さないような娘に無理矢理啖呵を切らせてアクションさせる」という80年代ヒロインアクションの王道の実現にも繋がっているわけで、そう思うと、徹底的なリアリズムと最先端の映画技術が今後共存していくことを祈念してやまない。