神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

松山容子にみる日本ヒロインアクションの歴史

 ボンカレーのあの人”こと松山容子。先日の日記をきっかけに彼女の“ヒロインアクション"遍歴を調べていくうちに、改めて松山容子こそ「日本のアクションヒロインの先駆け」の称号がふさわしい女優だと感じたね。
 
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 彼女が“ボンカレーの顔”に抜擢されるきっかけとなった時代劇『琴姫七変化』の映像を見つけたが、その中で彼女は、男装の麗人・芸奴・白頭巾・女盗賊・若殿・火消しの纏い持ち・巫女と、まさに“七変化”の大活躍!。“お姫様”役がぴったりの端正で可憐な顔立ちのまま、威勢良く戦う姿は、観ていて本当に惚れ惚れする
 
 また、主題歌で見事な歌声を披露する『旅がらすくれないお仙』も、女渡世人お仙(松山)と女スリお銀(大信田礼子)の珍道中を描いた痛快時代劇で、彼女が“渡世人”を演じると言うだけで、ちょっとしたヒロインアクションだ
 
 
 そしてかの『○くらのお市』シリーズへ引き継がれていくのだが……ここで注目すべき傾向がある。彼女が人気を博したドラマ『天馬天平』で演じたのは男装で闘う姫君・千也姫。そして姫君(女)という正体を持ちながら、ある時は男、ある時は女、と女性の容貌のまま“変化”する『琴姫七変化』。女性のまま“渡世人”を演じる『旅がらすくれないお仙』。実はこの変遷は、かの“日本ヒロインアクションの研究書”「戦う女たち 日本映画の女性アクション」(四方田犬彦 鷲谷花 編)に書かれている、日本のヒロインアクションの変遷とそっくりなのだ。
 
 元はといえば“女剣劇”に端を発したヒロインアクションは、当初“女性が男性を演じる”のが主流だった。それが美空ひばりの時代になって、“女性(姫)だが、戦うときは男装”に変化していき、藤純子の『緋牡丹博徒』シリーズで初めて“女性の肉体で女性が演じるアクション(剣劇)ヒロイン”の誕生と相成った、と書には記されている。まさに松山容子の“ヒロイン芸歴”とマッチするではないか。
 
 また、志穂美悦子のように、可憐だが自らも本格アクションをこなせる肉体(体力)を有する昨今のアクションヒロインと比べて、松山容子の、体力というより殺陣の器用さからくるヒロイン像は、むしろ『スケバン刑事』シリーズの斉藤由貴南野陽子浅香唯・五十嵐いづみ(これは『少女コマンドーいづみ』)といった“無理矢理アクションヒロイン”のプロトタイプといえるのではないか、と思った次第である。だからこそ、今、松山容子のキャラクターを再確認して、小躍りするほどの感激に浸っている
 
 
 ではその現在における正統な継承者というと……実はこれが“広島発アクションヒロイン”の神宮寺真琴(実際7変化して活躍)であったり、葛城アキ(容貌・態度とアクションのギャップの激しさ)であったりする
 
 ちなみに、今回の記事のきっかけとなったボンカレー。この“松山容子”パッケージは、今や沖縄でしか販売されていないそうだ。それがたまたま広島の店頭に並んでいたというもの。そしてたまたまその時にそのスーパーで買い物をしてたまたまこのパッケージを見つけるとは……やはり“映画(ヒロイン?)の神様”はまだまだ私のことを見捨てていないようだ