一年越しの『思い、思われ、ふり、ふられ』
ここんところ、『ゴジラvsコング』『夏への扉』『星空のむこうの国』『ブラック・ウィドウ』『ザ・ファブル 殺さない殺し屋』と来て、今月に入っても6日に『キネマの神様』を観るなど、ほぼ毎週のように劇場に足繁く通っているのに、今日はDVDで観たばかりの『思い、思われ、ふり、ふられ』の感想について(;^_^A 実は先頃、某レンタルショップが全ての作品を110円で貸し出すという企画をしていて、ここぞとばかりに、「月に一度は劇場で映画観賞」の「一度」に拘ったために泣く泣く見逃した作品をこれでもか、と借りまくり、こんなに忙しい中、観まくるという“暴挙”に出たヾ(- -;)ヾ(- -;) 今回の『思い、思われ、ふり、ふられ』も昨年の封切当時、ポスタービジュアルにあった主演の浜辺美波のセーラー服姿が眩しくて、一瞬食指が動きそうになったが、その頃はハリウッドのスペクタクルやアクション活劇が中心だったんで「こんなテーマの映画、柄にもない」とスルーしてしまった作品でもある。でも今や『花束みたいな恋をした』も「砕け散るところをみせてあげる』も上記の『夏への扉』も観るようになった身としては、怖くもなんともない、とばかりに、土曜日の午前中、イッキ観させていただいた(;^_^A
もういい歳のオッサンと化した身としては、彼ら彼女らはもう“子供”のような存在だが、ぞれでも浜辺美波も福本莉子も、生き生きとして爽やかでメッチャ可愛かったなぁ………(;^_^A
本作は、幼馴染が互いに住むマンションへ、「双子ではない同年代の姉弟」である同級生が転校してきたことから始まる、すれ違いの恋の物語である。小さい頃から何事につけても“奥手”で、幼馴染以外にはなかなか心を開けない市原由奈、その幼馴染で映画監督になるのが夢の、恋には無頓着という乾和臣、もともと同級生で一時は互いに恋愛感情を抱きながら、それぞれの親の再婚によって、いきなり恋愛感情を持ってはならない姉弟の関係を余儀なくされた(いかにも少女コミック的な設定の)山本朱里・山本理央の、「血のつながらない異母姉弟」という4人が、まさにタイトルの如く「思い、思われ、ふり、ふられ」を繰り広げる物語である。
この物語で、頭一つ飛びぬけて存在感を示すのが、キャリアの上でも一番であろう、山本朱里役の浜辺美波。それにしても、普段は少女然としている浜辺美波が、本作で実に“老成”した複雑な設定の演技を魅せていて、底抜けに明るそうな振る舞いとは裏腹に、実にストイックに生きている様が、物語が進行するにつれてにじみ出るような展開で、当初は由奈の物語に見えていた本作の真の主人公が、実は朱里だったということが徐々にわかってくる。
奥手の由奈を演じるのが、以前話題にした、今、家電メーカー「コロナ」のイメージガールを務める福本莉子。彼女は『映像研には手を出すな』における「超生徒会」の“斬り込み隊長”阿島九役が実に印象的だったが、それ故、本作の殆ど面と向かって会話が出来ない、病的なまでに引っ込み思案の由奈とのギャップはすさまじいものがあった(;^_^A もっとも本作と『映像研には~』はほぼ同時期の撮影のようで、それだけ彼女の演技スキルの高さが伺える。
男性サイドの主人公である理央役の北村匠海と、和臣役の赤楚衛二の二人は、共に今回初めて知った俳優だが、自由奔放の自信家に見えて、実は繊細な性格の持ち主である理央と、朴訥で無頓着で、それでいて朱里の気持ちを素直に受け入れられない和臣を、それぞれ見事に演じきっていたと思う。
物語自体、結構ドロドロした人間模様に包まれてはいるんだけれど、この4人の“イケメン”俳優たちが演じると、その“エグ味”は緩和され、何となく爽やかな恋愛ドラマに仕上がっていた。劇中この4人恋愛が幾重にもクロスオーバーしていき、紆余曲折の後(その過程で後からわかる伏線の張り方も絶妙!)、結局落ち着くところに落ち着くという、ある種の”安定感”もlこの作品の特徴だった。また4人の成長ぶりが見事に描かれていたような気がする。(それは随所に組み込まれた4人4用のモノローグでうまく表現されている)。
そういえば、朱里(浜辺美波)の母親役が戸田菜穂(彼女も広島出身)だったのには、時の流れを感じさせた。最近観た映画の中でも、『砕け散るところをみせてあげる』では原田知世と矢田亜希子が共に男子高校生の母親役を演じていたし、そう思うと彼女らのアイドル(若手女優)時代を知っている私も、えらく歳をとったものだ(;^_^A
ところで、今日本作を観終わって、特典映像にあった予告編を観ていた時に、一緒に観ていた中学生の娘が気づいたんだけれど、本作って今日から丁度1年前の2020年8月14日に封切られいたんだね。奇しくも封切後丁度1年越しのの初観賞となってしまったようだ(;^_^A