神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

デジタルリマスターは。オリジナル重視か? リニューアルか?

 現在、日本映画専門チャンネルでは「『ゴジラ』シリーズ4Kデジタルリマスター最恐画質8ヶ月連続放送」なる企画が進行中である。当然これは『ゴジラvsコング』の5月14日公開を当てにしての企画だが。今回の上映延期で、とんだ計算違いになったようだ。延期が決まってしばらくたった最近になって、番宣の「5月14日公開」が「近日公開」に変更されたけどねヾ(- -;)

 

https://www.nihon-eiga.com/osusume/godzilla4K_2021/

 

 その「4K」シリーズで、先日放映されたのが、第4作にして、先の東京五輪の年に公開された『モスラ対ゴジラ』。本作は『キンゴジ』同様、今まで劇場で地上波テレビ放送でBSでCATVでビデオでDVDで、オリジナル版から「チャンピオンまつり」バージョンまで、何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も………観てきた作品だが、初見が小学生の頃のテレビ放映だったために、既に劣化した状態での観賞だった。それ故、そして何度も観続けたが故に、今回の4K(2Kダウンコンバート)では、その鮮明さが明らかにわかって、結構楽しめた。

 

 

 冒頭の「東宝マーク」にオリジナルの「TOHO SCOPE」の文字がついてるだけでも嬉しいのに、それすらあたかも新撮映像のよう。そしてオープニングタイトルも違和感なく鮮明だったし、何といっても背景の青空が鮮やかな真っ青で、「57年前の公開当時、観客はこんな鮮明な『モスゴジ』を観てたのか」なんて感慨に浸ってしまった。

 

 

 内容に関しては、一部セリフを諳んずることが出来るくらい覚えているので、今更新たな発見はなかったけれど、成虫モスラゴジラが闘う第一ラウンドの死闘では、改めてモスラの生命感に感動した。おそらく一部コマ撮りも用いているんだろうけど、操演で描かれているはずのモスラの表情が実に豊かで、あたかもレイ・ハリーハウゼン御大の「ダイナメーション」を彷彿させる“生きてる感”が出ていて、今までの記憶以上に楽しめた。それに、ゴジラ相手にどう考えても勝ち目はないはずなのに、よく見ると結構互角というか、かなり優勢に戦いを運んでいたんだなぁって、今更ながら感じた。

 

 さて、その死闘シーン、モスラが飛来するシーンに、一部操演用のピアノ線が映り込んでいた。そのことに関して、「映画秘宝6月号」の記事によると、今回の4Kスタッフは、敢えて映り込んだピアノ線などはそのままにしたのだそうだ。勿論、技術的に消すことは簡単で、実際、昨今のワイヤーワークはすべてCGで消されたりしているんだけれど、「消してしまえば戻せない。将来の子供たちが観る時が来て、そのために『消さなければ』と判断した時に消せばいい」とのスタッフの思いが色濃く表れての“ピアノ線残し”だったそうである。

 

 それで思い出すのは、『スター・ウォーズ』第一作(エピソード4)におけるデジタルリマスター作業のことだ。この時は監督を務めたジョージルーカズの指揮のもとに作業が行われたようだが、その際1976年の制作当時は技術や予算の面で妥協したシーンを、CGを駆使して全面的に数か所改正している。中でも後からジャバザハットをCGでそれまでの人間の映像と差し替えたシーンなど有名だ。勿論、そんな改変をしていけば、確かに作品のクオリティーは高まるが、オリジナル版の消失に繋がり、オリジナルの持っている制作当時の時代感も損なわれる。その点は、敢えてピアノ線を残した日本のゴジラ4Kスタッフとは異なる考え方だ。

 

 もっとも、『モスゴジ』の方は、本多猪四郎監督も円谷英二特技監督も鬼籍に入って久しいので、彼らの意向が聴けない今となっては、「残す」方にシフトするのも致し方なかったのかもしれない。もしルーカスと同様存命していて、デジタルリマスターの現場に立ち会っていたならば、一も二もなく「直せ~!」って命令したかもしれないけどね(;^_^A

 

 思えば私も、拙作『女子高生戦士☆英あいり』再上映の際に、当時インサートカットを撮り忘れて急場しのぎで夏のシーンに別の映画の冬のカットを挿入していたのを新撮の夏カットに差し替えたり、“ラスボス”鴨池靖兵衛がスナックで戯れるシーンの冒頭にスナックの看板を挿入したりと、オリジナルから変化させたバージョンを作った。もっとも、オリジナルの方もちゃんとバックアップしてはいるけれどね(;^_^A