映画的“ゴラク”はド真ん中の“緩い”ストレート!
今日、広島サロンシネマのサイトで確認したところ、ずっと「公開予定」のままだった、リック・ベンソン監督のヒロインアクションムービー『ANNA/アナ』の公開が7月31日(金)に決まったことを知った。新型コロナウイルス禍で封切日が遅れ、やっと決まった6月5日の封切さえも、中四国では愛媛のみという残念な状況が続いていただけに、それから2月遅れての広島“上陸”も今はほっとした思いだ。これで「月一回は劇場映画観賞」7月のラインナップは決まった……ってギリギリじゃん!(;^_^A
j ところで、本来ならば本作をはじめ『ブラック・ウィドウ』『ムーラン』そして『ワンダーウーマン1984』と、昨年度末の『チャーリーズ・エンジェル』『ハーレイクインの華麗なる覚醒』を受けて、「2020年に入ってからは洋画のヒロインアクションが百花繚乱じゃあ!」(この書き方、デイリー広島版の見出しみたいじゃ(;^_^A)と思っていたのに、件の新型コロナウィルス禍で公開延期が続き、気が付けば、今年度は4月の『野獣処刑人ザ・ブロンソン』、5月の『スーパーティーチャー熱血格闘』と来て、6月も『エジソンズ・ゲーム』と、ヒロインの香りがほとんどしない、男たちの熱き戦いの映画ばかり観ている。しかし不思議なことに、だからといって「ヒロインアクションムービー」に対する飢餓感があるかといえば、そうでもない。とりわけ『野獣処刑人ザ・ブロンソン』や『スーパーティーチャー熱血格闘』など、何度も何度も観たくなるような衝動を覚える素敵な作品だった。
幸いにして、現在の「月一回は劇場映画観賞」で観賞した作品は、未だDVDレンタルが始まらない『スター・ウォーズ:スカイウォーカーの夜明け』と、封切後で当然ながらソフトの販売はまだまだ先の『エジソンズ・ゲーム』を除いては、すべてDVDで“追体験”が出来た。しかし今年度に入ってからの2作品のように何度も観返したいって思う作品はタランティーノ監督の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』ぐらいで、肝心のヒロインアクションの方では、完全無欠に強い『キャプテン・マーベル』くらいだった。家族サービスの一環で観賞した『アラジン』や『天気の子』は別としても、今以上に高揚感をもって劇場に足を運んだその他の作品が、「まあ、劇場で観たからそれで充分」って思ってしまうのは、おそらく、上記の4作品が、主人公の苦悩や葛藤が少なく、完全無欠に強くて、悲劇性の少ない予定調和な展開なのだからだろう。そして『野獣処刑人ザ・ブロンソン』までそれが当てはまるか微妙なところだが、どれも全編よどみないハッピー・エンドである。
世の評論家は、そんな映画を「薄っぺらい」「深みがない」「成長がない」「人間が描かれていない」って揶揄するんだろうけど、事実“完全無欠”で”予定調和”で“勧善懲悪”な物語は、ストレス発散に持って来いだし、素直な感動は受け入れやすいし、まさに感情移入しやすい。
バッティングセンターでも、通い慣れた常連ならば敢えて難しい変化球を求めるだろうけど、やっはりビギナーやストレス発散に音連れた客は、一番打ちやすい、ド真ん中の緩い“ホームランボール”を要求するだろう。誰もバッティングセンターで空振りなんかしたくないだろうから。
そう考えると、筋金入りの映画ファンを唸らせるような作品も必要だろうけど、手軽で単純な、木本峪感情移入できる主人公の活躍を描いた作品が、疲れた気持ちで劇場に訪れた観客の救いになることもあるんじゃなかろうか。そんな多様な選択肢を提供するのが、映画制作会社や劇場の使命であり、また我々にとっての楽しさでもると思うよ。