神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

斉藤由貴と南野陽子~『スケバン刑事』におけるそれぞれのアプローチ・思い入れ~

 先日、本来ならば“癒し系”美女と呼んでもいいはずの斉藤由貴が、昭和60年代のある一時期、それまでの、そして今日に至るまで彼女のキャラクターを翻して「麻宮サキ」足りえたのは、彼女の“眼力”にあったと記述した。それに対して、『スケバン刑事Ⅱ 少女鉄仮面伝説』によって「スケバン刑事」人気を不動のものにした二代目麻宮サキ(早乙女志織)役の南野陽子は、“南野陽子のまま”で、スケバン刑事を演じきったと思っている。

 

 

 斉藤由貴と同様、“虫も殺さないような”アイドルといってもいい南野陽子が、斉藤由貴のように演技的に“メタモルフォーゼ”することなく彼女のキャラクターのまま精一杯「麻宮サキ」を演じ続けたことは、別の意味で賞賛に値するし、それ故彼女は、昨年末の「ダウンタウンガキの使いやあらへんで」年越しスペシャルで、御年「知命」を超えながら、往年の土佐弁を駆使してスケバン刑事を演じることができたのであろう。この件に関しては『少女忍法帖伝奇』の風間三姉妹浅香唯大西結花中村由真)しかり。その点、4代目麻宮サキ松浦亜弥)の母親役は務めたものの、上記の4人と異なり、決してバラエティーで「麻宮サキ」を演じない斉藤由貴の思いも分からないではない。あの初代『スケバン刑事』のロケ現場が、彼女にとっては“異空間”だったのだろう。

 

 さて、今年6月23日のCS「歌謡ポップスチャンネル」にて「80年代女性アイドルソング 南野陽子ベストテン」なる番組が放映された。このシリーズでは過去「松田聖子」「河合奈保子」「柏原芳恵」といった80年代を一斉風靡したアイドルの曲を厳選して流してきたが、今回の番組で、「恥ずかしすぎて」でデビューした南野陽子が、そのアイドルとしての人気を不動のものにした2nd以降のシングル曲「さよならのめまい」「悲しみモニュメント」「風のマドリアル」はすべて『少女鉄仮面伝説』の主題歌・挿入歌だったことが判明した。そこから推測するに、やはり南野陽子にとって『スケバン刑事Ⅱ 少女鉄仮面伝説』は、彼女の存在を世に知らしめる格好の番組だったことがうかがえる。その後の彼女のブレイクには、この番組の存在が不可欠だったのだろう。

 

 確かに傍から見れば『スケバン刑事Ⅱ 少女鉄仮面伝説』は荒唐無稽のバカバカしいドラマで、下手をすると清純派だった南野陽子のキャリアに泥を塗るかもしれない、って思われる作品だったかもしれないけれど、そんな番組に彼女が真摯に取り組んだからこそ、本作は初代をはるかに凌駕し、映画化されるまでのヒットを遂げたのだろう。だから南野陽子は今だ本作を大事にし、年末の茶番のようなバラエティーにまで出演して、ウン十年ぶりにかの“土佐弁”と共にセーラー服姿を披露してくれたのだろう。そう考えると、未だに南野陽子スケバン刑事であり、逆に今の斉藤由貴はもはやスケバン刑事ではないのである。あくまで彼女がスケバン刑事足りえたのは、昭和60年代のわずかな期間だったのだろう。

 

 確かに斉藤由貴の“眼力”には南野陽子は叶わなかっただろう。だが、ありのままの姿で果敢に前作以上の破天荒な設定(鉄仮面など)を臆することなく演じた南野陽子のおかげで、ええオッサンである私も、今だ『スケバン刑事」について言及できるのは非常にありがたい。

 

 いつか斉藤由貴南野陽子浅香唯を同じフレームで観てみたいものだ。旅企画でも何でもいいから、どこかの局が実現してくれないかなぁ……