“タコ殴り”三人娘
この作品はロバート・ロドリゲスの『プラネット・テラー』と共に“グラインドハウス”イベントとして全米で公開された。敢えて“B級映画”を意識して“超A級”をわざわざ大金かけて“B級”に加工したことや、意図的なキャストの交換、そしてフェイク予告篇までこさえた遊び感覚に“インディーズムービー精神”が感じられて、実に爽快な映画だったこの“グラインドハウス”形式は、一度我が映画制作団体でもやってみたいと思っている(笑)
さてこの映画、大まかにいって前半・後半に分かれるストーリー仕立てだが、『プラネット・テラー』で主役の勇ましい“元ダンサーのサイボーグ的女戦士”を務めたローズ・マッゴーワンを始め、うら若き女性を“デスプルーフ”仕様のスタントカーでこともなく惨殺してしまう前半もなかなかなものの、やはり、主人公の殺人鬼スタントマン・マイク(カート・ラッセル)が、女性たちの手荒い報復に会えなくKOされる後半のストーリーの方がお気に入りだ(笑)
ラスト、強面と化した件の若い女性たちに計39発のパンチ・キックを食らう"タコ殴り"攻撃を受け(あたかも「あしたのジョー2」における金竜飛の必殺攻撃「チョムチョム」の餌食となったが如き)、ボロ切れのようになっていくマイクの姿は、同じしがない中年オヤジとして彼の方に感情移入しなければならないはずなのに、それまでの彼の悪行三昧を考えると、とても爽快で可笑しくて、借りたDVDをそこだけ何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も……再生しては悦に入っている、くだらないことを繰り返してしまった(苦笑)
馬鹿で凶暴な殺人鬼のオヤジを、正義の鉄槌で撃破する『デス・プルーフ』の“タコ殴り”三人娘こそ、“アクションヒロイン”の称号を与えてやってもいいのでは、と思ったりする(笑)
もっとも、この殺戮に唯一参加しなかった、何故かチアガール衣装のリー(メアリー・エリザベス・ウィンステッド)が個人的には一番のお気に入りだったりする(笑)