ローズ・マッゴーワン 一人舞台!
『プラネット・テラー』を観賞して、この作品はまさに「ローズ・マッゴーワン一人舞台」の完全なる“ヒロインアクションムービー”だと思ったね また、改めて「B級映画にヒロインアクションはよく似合う」ことを再確認も出来た。
本来、ロバート・ロドリゲスとタランティーノの“お遊び”に端を発した「グラインドハウス」の一環で撮られた本作は、タランティーノ『デス・プルーフ』がスラッシャー(殺人鬼)映画だったのと同様、「ゾンビ映画」というB級独特のテーマで撮られている。だから随所にフィルムの傷があったりフィルムが飛んだり焼けたり、というエフェクトがCGでわざわざ描かれていたり、途中肝心なシーンのフィルム巻の紛失によるストーリー飛ばし、なんて、過剰なほどの“B級ファンサービス”が施されていたわけだが、主要キャストにブルース・ウィルスが配置されていたり、SFX技術がかなり高度だったりして、作品の実際のクオリティーはまさにハリウッドA級映画の仕上がり(ストーリーのことはとりあえず置いといて、だけど)。そうなると、「B級監督が予算とキャストと技術をつぎ込んで『頑張ればA級映画だって撮れるぞ!』と豪語する」的な作品として観たいのに、実はA級監督が“わざ”とBテイスト撮った作品なわけだがら、なんともややこしい………
ストーリー的には、B級を目指す割には登場人物が多すぎ。特にゾンビに取り囲まれたバーベキュー屋に立てこもったメンバーは実際の半分でいいと思った。また、件のバーベキュー屋の店主JTは、バーベキィーのコンクールで優勝したいと“究極のソース”を研究している設定だったが、逃避行の途中で「ついに究極のソースのレシピを見つけたぞ」なんて“死亡フラグ”を上げまくり、折角幾多の苦難を冗談のような展開で乗り切るものの、結局終盤でヘフェードアウト。それにしても彼と彼の弟である署長の死に様は、あまりにも意味がなかったぞ
随所に過去のホラー・スプラッター映画のパロディーを交え、特殊メイクのトム・サヴィーニに役者でも登場し自分の身体を使って“究極のスプラッターシーン”を描き出す“心意気”もあり、件のローズ・マッゴーワン(チェリー)は究極の戦闘マシーンと化し、ラストは『バイオハザード』のミラ嬢も凌駕するぐらいの“救世主”となる点など、過剰に“娯楽”に徹した作品に仕上がっていたと思う。
ちなみにローズ・マッゴーワンは『デス・プルーフ』にも登場し、そこでは殺人スタントマン・マイクによって車内でボロ切れのようにあっけなく殺される“ファーストガール”を演じている。それで今回CSで「グラインド・ハウス U.S.A.バージョン」を観たとき、本作の方が『デス~』より先に上映されていることを知った。そうなると、究極の戦闘マシーンがその直後いとも簡単に殺人鬼の毒牙にかかる、という流れを彼らは選択したことになるが……その選択は間違ってなかった、と強く思ったね