バーバレラに憧れて
ロジェ・バディム監督の『バーバレラ』にオマージュを捧げる劇場映画がある。それが『CQ』だ(下がその劇場版ポスター)。
監督はコッポラの息子で、それはそれでしっかり『バーバレラ』をリスペクトして創られた映画ではあったが、如何せん、同じように本作に憧れていた私にとっては、今イチ内容がしっくり来ない作品だった。
この作品は映画中映画(劇中劇?)の体裁で撮られていて、しかも作品の中の映画『ドラゴンフライ』の主人公と現実の演じる女優とを“一人二役”として描いている演出の妙や、本編の主人公を自主映画人(仕事は劇映画の編集マン→やがて監督へ抜擢)に設定している辺り、本当ならばうんと感情移入できそうなはずなのに、どうも物語に入り込めなかったのは、本作の監督が『バーバレラ』の全てにオマージュを捧げているからではないかと感じた。
単にジェーンフォンダの“エロティックなコスプレ”や“ヒロインとしての活躍”のみで『バーバレラ』に憧れていた私とは、そもそも志が違っていたようで………(笑) 真のマニアからは支持を受けたのかも知れない。
主人公・ドラゴンフライを演じる女優がモデルのアンジェラリンドヴァルといって、このエロス且つ無機質的な劇中映画のヒロインを演じるのに実に相応しい、“クールな美女”で、それがまた“ヒロイン好き”心をくすぐるわけだが、『バーバレラ』に対して感じた感情と同じく、やはりこの女優のカッコイイ活躍をメインにした作品であってほしかった。