神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

「轟天号」から「轟天」へ…東宝特撮系超兵器の変遷

 先日、この「神宮寺真琴のつぶやき」の二年前の拙ブログ「スーパーノアの“夢”を轟天に乗せて……」(https://blogs.yahoo.co.jp/jinguji_ipf_s1986/28113151.html)にコメントを頂いて、これを機にこの件を交えて、いろいろ記述していきたいと思う。

 先に観賞した『妖星ゴラス』に登場した国連VTOL機のデザインがそのまま「ウルトラマン」の科特隊・ジェットビートルに流用されたり、怪獣マグマの着ぐるみが「ウルトラQ」に“トドラ”として登場したり、と、本作と円谷プロ黎明期との関わりは深いが、その円谷プロでウルトラヒーローをはじめ、メカなどを含めて多くのデザインを提供した、作曲家の冬木透氏同様多大なる貢献をした美術の成田亨氏の存在も、東宝特撮と円谷プロとの“橋渡し”の一人として忘れてはならない。

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 氏の東宝特撮におけるデザインとして、実現したものといえば、ここでも何度か言及した『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』における“サンダ”“ガイラ”のデザインだが、それ以前、1966年公開予定ながら頓挫した企画『空飛ぶ戦艦』が実現していれば、その作品の中で氏が小松崎茂御大と共にデザインしたメインメカの「スーパーノバ」や敵組織「MOO」の戦斗艦が実際に活躍していたことだろう。

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 そんな氏のデザインのうち、いくつかは「ウルトラセブン」のウルトラホーク1号や3号に流用されている。この度コメントを頂いた「マイケルたかお」さんの指摘にあった成田氏のデザイン集『U.W.W』の中では、ホーク3号となった元のデザインは、超大型空中戦艦(空母?)で、3号では乗組員の窓と思っていた(よく考えたらほぼ1人で操縦する小型戦闘機なのに何故コックピットが2つある?)2カ所の四角い部分が、実は中からピブリダーのような戦闘機を発射するカタパルトの役割をしていた様である。だからオリジナルは少なく見積もってもホーク3号の十倍近くあるとてつもない巨大空中戦艦だったようだ(だってそのカタパルトからホーク3号クラスの戦闘機が飛び立つんだもの)。そう考えると、ホーク3号が格納して輸送していたはずのマグマライザーが、実は設定上ホーク3号より大きいって矛盾が生じたのも頷ける。だって元々とはとても大きかったんだから……(;^_^A

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 そしてホーク1・3号とも異なるデザイン案が、実はMJ号になったのかもしてない。そう考えると、成田氏はまさに図らずも東宝円谷プロとの橋渡し的存在であった、と言わざるを得ない。それだけに、もし実現していればその後の円谷プロ超兵器の歴史は大きく変わっていたと思うけど、やはり『空飛ぶ戦艦』は実現してほしかった(そして観たかった)なぁ……

 ところで、『海底軍艦』の轟天号に始まって、その姉妹編となるはずながら実現しなかった『空飛ぶ戦艦』、そのデザインが花開いた円谷プロの『ウルトラセブン』や『マイティジャック』、そして『空飛ぶ戦艦』のスーパーノア・戦斗艦のドッグファイトを海底を舞台にしながら実現した『緯度0大作戦』における“α号”“黒鮫号”の戦闘シーンを経て、やがて『惑星大戦争』で宇宙に飛び出す轟天に結実する東宝円谷プロを巻き込んだ日本特撮超兵器の変遷。そんなことに思いを馳せるものにとっては、この8月に公開される日本映画専門チャンネル東宝特撮王国」のラインナップは、是非『海底軍艦』と『惑星大戦争』の“新旧「轟天」競演”にしてほしかったなぁ……(;^_^A まあ実際の『海底軍艦』と『緯度0大作戦』の2本立てでも、かすってなくはないけどね(;^_^A