神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

『サンダ対ガイラ』は「チャンピオンまつり」のプロトタイプ?

 『フランケンシュタイン対地底怪獣』と並ぶ“東映フランケンシュタイン”モノの『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』なんだけれど、その怪奇性から、70年代に席巻した「東宝チャンピオンまつり」のラインナップにはそぐわない、って、以前当ブログに認めたことがある(https://blogs.yahoo.co.jp/jinguji_ipf_s1986/28555858.html)。

 ところが、今回の「東宝特撮王国」では、最初に予告編を流してから本編放映、って流れだったんだけど、その予告編を観る限り、あながちそうでもないのかな、なんて思いに駈られてしまった。何というか……普通の怪獣映画の予告篇に仕上がっているからだ。


 出だしも、いきなりサンダ・ガイラが明るい陽光の中、海上で戦っているという、ほぼラスト近くの戦闘シーンにタイトルが被さるし、(予告編故かもしてないけれど)ガイラが直接的に人間を襲うシーン(冒頭の船乗りを追っかけるシーンや空港・ビアガーデンにおける人間鷲掴みのシーンなど)はインサートされていない。それに何といっても、予告編とはいえ、サンダに「やめろ!」、ガイラに「いやだ!」という、かの『地球攻撃命令 ゴジラガイガン』の本編で一度限り用いられた悪名高き「吹き出しシーン」が使われているのである。これを観る限り、東宝が本作を『フラバラ』に続く怪奇特撮映画としてではなく、単なる怪獣映画として、子供たちの観賞も当て込んで撮っていたのではないか、って思ってしまった。しかも、封切時の同時上映がアニメの『ジャングル大帝』と人形劇の『つるのおんがえし』だったらしいし……(ちなみに『フラバラ』の同時上映作は『海の若大将』)。

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 確かに、当時単なる怪獣映画と思って観にいった子供たちが、ガイラの凶悪な表情のUPに泣き出し、トラウマになってしまった云々の記述を読んだこともあるが、それでも本作は、「フランケンシュタイン」というおどろおどろしいサブタイトルと、ガイラが人間を喰らうというショック描写、そして夜を中心とした特撮という点を除けば、意外にも普通に「怪獣プロレス」な映画に仕上がっていたと思う。“東宝自衛隊”超兵器「メーサー殺獣光線車』を中心とした血湧き胸躍る「L作戦」も展開するし。

 勿論、海彦山彦伝説をアレンジした兄弟同士の哀しき骨肉の争いとか、描写だけではないストーリー上での悲しさ儚さなどが幾ばくかの後味の悪さを伴って、それがトラウマ化する一因になってはいると思うが、上記の描写的怖さに関しては、大映の『大怪獣空中決戦 ガメラ対ギャオス』でも、ギャオスは人間を喰らうし、夜の戦闘シーン、ましてやガメラの場合は流血もある、それでも子供向け映画、ってことを考えると、この『サンダ対ガイラ』も、後に子供向け企画である『東宝チャンピオンまつり」のラインナップに入れてみても別に構わなかったんじゃないかな、って今更ながら思ったね。

 そう思うと、観たかったなぁ、チュンピオンまつり枠の『サンダ対ガイラ』。とはいうものの、封切時の同時上映ラインナップを見ると、もしかしてこの上映が「東宝チャンピオンまつり」の“プロトタイプ”だったかも……!!